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第84講:大転落

株で失敗しちゃったおじさんに引き続き、今度は先物で失敗しちゃったおにいさんのお話(^^ゞ


相場

は、バクチと昔から申します(^^ゞ兜町という東京証券取引所のあった場所がありますが、ここは古来バクチ打ちのサムライが、借金のカタに鎧兜までひっぱがれて橋の上から身投げした所なんだそうです。
さて。今回の債務者は、田舎から上京してきた純朴な青年であります。純朴さが祟って、青年は以下の要領にてTOKYOの街に飲みこまれてしまいました。


一本の電話から

すべてが始まりました。青年が会社で仕事をしていると、一本の電話。それは、先物取引業者でありました。その先物取引業者の営業マンも地方出身者で、東京へ出てきて思うように成績が上がらない、というような話をし、純朴なわれらの青年は、似たような境遇に同情しちゃったのであります(;_;)ときに。あたくしの所にも先物取引業者から電話がありますが・・・

業;投資で資産運用を!(^^)/
取;カネほしきゃ駐車場代値上するさ(^^)
業;現在の利回りでは・・・(^^)
取;年29%で街金やるから出資しない?(^^)
業;・・・(((^^;/~

と、とりつく島がなくて皆さん沈没しとります(^^ゞ
あっちも商売ですから、こちらもシビアに。こういう人間をその気にさせるのが、優秀なセールスマンというものでしょう(^^)


取引開始

青年は「しょうがないなあ^^;」と思いつつも、電話があんまりしつこいので、預金100万円を投下して先物に手を出すことになりました。
ところで。この先物取引ってのは、現在1トン1万円のものを、3ケ月後とか半年後に1トン8千円で買うとか1万2千円で買うとかいう将来の権利の売買であります。でまあ、市場ってのは売手と買手がいるから成立するもんでして、ぼたもちを作るお菓子屋さんがたとえ1万2千円出しても小豆を買いたい時に、8千円で仕入れた人がそれを売れば、売手はトンあたり4千円得します。逆に、1万2千円出して買ったけど、どうしても処分したくて8千円で手放した場合は、トンあたり4千円損します。そうやって、笑う者の陰には泣く者がおるという、まるで貧乏くじをひきあう貸金業者のような世界であります^^;
さて。この先物取引では、払った額(これを、委託証拠金という)の10倍のカネが動いていることになっております。というのも、実際の取引額の1割を証拠金として払うしくみになっており、青年のように百万もつっこんでしまうと、実取引額は1千万ぐらいなわけです。パイがでかいと、損得もでかい。
得していれば、当大夜逃げ学のネタにならんのですが、損したのでネタになっとります(^^ゞ


崩壊

なんと。投資して一晩寝たうちに、ロシアが金だか放射能だかを放出して相場崩壊^^;
同じロシアものに投資するなら名産ウランとか大バーゲン中の核兵器にでも投資すればいいものを・・・われらが青年は、これから値上りすると信じて3ケ月後の買注文をしとります。ということは、相場が値下がりを始めた所から青年は損をしております。グラム千円のものが950円に下がると、グラムあたり50円損します。青年の投資額は1千万円(=10,000グラム分)ですから、損の単位も1万倍となってマイナス50万円に^^;
取引にあたって業者に預けた証拠金は100万ですから、損した50万円分アシが出たことになります。すると、営業マンが「※追加証拠金ください(^^)」(※俗に「おいしょう」という)と言って、損した50万の穴を埋めるべく、また50万を持ってゆきます。もちろん青年は、最初になけなしの預金をはたいております。おカネなんてないですから、借りてこないと払えません。そうかと言って今、取引をやめてしまうと50万しか帰ってこなくて損をしてしまいます。そこで、とりあえず50万を借りておき、しばらく様子を見ることにいたしました。


続落

ところが。相場は続落して、5日で750万円も損してしまいました^^;
この間、わららの青年は

業;追証ください(^^)

を毎日のようにやられて、日々

債;ああ50万円(;_;)
債;ああ100万円(;_;)

とまあ、まるでクーデター時の空港のように、おカネがとびたってゆきます^^;それを、青年は借りたおカネでやっております^^;たった半年ほどの間に借りたおカネが壱千萬円!^^;借りたおカネの返済額が給料を上回りはじめ、こっちの方も支払不能になってまいりました。


決断のとき

が、青年にもやってまいりました。

債;もう、払えない(;_;)
債;だれも、貸してくれない(;_;)
債;損はふくらむばかり(;_;)

と、青年は大損を覚悟で、先物取引を清算することにいたしました(;_;)
累積損失、じつに1600万円!純朴な青年の同情が、これほどの損失を産んでしまいました。


取立人登場(^^ゞ

取;おわ~^^;
取;かわいそ~^^;

と、案件を手にしたあたくし。特殊破産案件として回ってきております。
なにしろ、破産宣告前1年以内どころか破産宣告の前々月にうちのカネを借りておりますので、破産法366の9”信用取引を用いた財産取得”にあたって、免責不許可の申立むき案件ということで、免責バスターのあたくしの手元へまわってきたわけです(^^ゞ

取;やんの?これ?^^;
ボ;ほれ、反撃指令出たばっかしだし(^^ゞ
取;かわいそ~^^;
ボ;でも、好きだろそういうの(^^ゞ
取;まあ、そうなんすけど~(^^ゞ

とまあ、こんな具合で資料をしらべ、免責に異議申立(^^ゞしかし、内心
取;まあ、こんだけ悲惨な状況であるし^^;

取;ぼく一人だけ異議申立しても・・・
取;裁判官が止めてくれるだろう(^^)

と、他力本願な思いと共に

レッキとした定職あるサラリーマンが、欲かいてやった先物取引で1,600万も損したなんざ、浪費ってんじゃないすかねえ?

という趣旨で異議申立いたします。
ところが。その異議申立が通っちまったのであります^^;

取;おわわ~^^;
取;ごめんよう(^^ゞ

とまあ、東の方を向いて手を合わせ、それでもしっかり案件を給与差押に送っちまった取立人でありました(^^ゞ

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