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第43講・助け舟
休みですが、天気がわるくて暇なので原稿をかくことにしました。北九州に行ったせいか、とっても北九州ローカルなネタです(^^ゞ
されど48万
今から2週間ぐらい前。裁判所からきた書類を見た取立人は、めずらしく「しゅん」としております。
前からご紹介しております、うちをだました同業者。
「免責までは、何してもいいのだ!」とばかりに家を強制競売にかけるわ、電話加入権を差押えるわで、ものすごく強硬な債権者をやっております。「どーしたんですか~(^^)」会社のおねーちゃんに声をかけられても「ふ~(T_T)」と、すかすか。
当初「まるハダカにしてやる~(^^)」と、てってーてき差押作戦に出た私。
「おっしゃ!電話おっけー(^^)」「うわ~、強制競売開始決定だあ~(^^)」
などと大喜びしておりました。電話はともかく、家を叩き売ることに取立人は命をかけ、彼が
「ぼくは破産した」
「家も、とられた」
「ああ、かなしい」
と、夕暮れのJR九州・篠栗線の線路をトボトボ歩いて行く姿を夢に見ていたのであります(^^ゞ
ところが。
当初の物件評価1000万に対して、抵当権だの滞納してた税金だのが嵩んで、やつの債務は1048万円。
すると、たった48万円の違いで一般債権者のうちは取るところがない。そこで、裁判所から
「おたくに配当出そうもないから、競売やめるかもしれん」
という通称無剰余通知がきてしまった。そこで、取立人は「ああ、夕暮れの篠栗線が・・・(T_T)」と、夢やぶれて悲しんでいたのです。
助け舟がきた!
別件の電話差押は順調に進んで金弐萬円也で売れました。主眼の不動産がコケそうなので、債権届出をしてもちっともおもしろくありません。どうしても、夕暮れの篠栗線をとぼとぼ歩かせたいのです(^^ゞ
「こうなったら、県内の全金融機関の預金をかたっぱしから」
「こんどの旅行ん時(ようするに、今ですな)に、銀行名メモしてこよう」
などと、思考が超過激な方向へ漂流をはじめております。
休みも明日に迫った頃。再び、裁判所からのお手紙。
「とうとう、取消か~(T_T)」
と、かなしい思いで持ってみると、異様に重たい。
「ん?」封をびりびり破いてみますと、なんと
平成11年(ヌ)1号
通知
① 平成11年○月○日、二重開始決定がなされました
(事件番号平成11年(ケ)1号)。
と、書いてあります。
夢ふたたび
二重開始決定とは、ある不動産に2本の競売申立があって2本目の開始決定がでた、というもの。それも、やってくださったのは第一抵当権者。
ということは、こうなるとぜったい確実に家は叩き売られるのです(^^)
「ばんざ~い\(^^)/!」と、一転してこんどは抵当権者の本店所在地の方を向いて朝っぱらから万歳三唱。
なにしろ、破産という火事場へ行って競売で油を注いだまではいいが、競落不能に陥ったところへ抵当権者の競売。
まるで鳥島へ行って火山見物してたら出れなくなり、そこへ偶然自衛隊の船がきたのでさっそく「お~い(^^)/~」と手を振ったら助けてもらえたようなものです(^^)
すっかり元気になった取立人は、この際配当なんざどうでもよく
「こんどは夕暮れの鹿児島本線をとぼとぼ歩かせてやろう!(^^)」
「夕暮れの福岡空港で飛行機見上げてタメ息つくのもいいぞ(^^)」
とまあ、目標を数段上げております(^^ゞ
取立人は、とても劇的な展開に深く感動して(もとい、喜んで)おります。
まあ「運も実力のうち」といいますし(^^ゞ
取立人は案件の束から自分の気に入ったのを一番最初に選ぶ権利を持っておりますので、目にとまっちゃったのが運のつきですな(^^ゞ