第46講・債権者的快感
そういえば、例の「夕暮れの篠栗線」計画は、電話加入権はうっぱらったし家の入札期日も決まったしで、彼は着々と「ああ、かなしい」に向かって歩んでおります(^^)
そんなこんなで、どんな商売にも「こりゃあ、キモチいいぞ(^^)」と思う瞬間があるもんですが、きょうは債権者的快感をあなたに・・・
強制競売
本日の債務者は、新築なった取立人宅から車で10分ぐらいの所に住んでおります。わが自宅の完成を記念して、強制競売の申立をいたしました^^;
本日の物件は、たいへんな優良物件です。なんと、無抵当。ということは「家、売れちまうぞ(^^)」と言って、すきなように債務者にあそんでもらうことができます。
事情
さあ。さっそく、泣きの電話が入ってまいりました(^^)
おもしろいもんで、債務者というのは縷縷自分の置かれた現況をしゃべり、結論を一番あとでしゃべる傾向があるので「事情はあとから聞くから、どうしたいのだ?」と最初に釘をさしておかないと、いたずらに時間ばっかりかかります。
ただし、きょうは最初っからたっぷり会話を愉しむつもりですので、煙草を吸いながら聞き流しております(^^)
以前の記録を見ると、去年のいまごろ訴状が届いて月何万円か払うということで再契約の書類を前担当が送っておりますが、まったく返送がなく、連絡もよこさないのでこいつの家を叩き売ることに。
そんなつもりだろうが、こんなつもりだろうが、この債務者は私に当たったということからして既にがけっぷちに立っております(^^ゞ
気持ちいいひととき
ウズウズしながらも、一応事情は聞いてやったので、おたのしみの時間がまいりました(^^)
「きみ・・・」おもむろに、口をひらく取立人。
基本的に、債務者を信用してはいけません。ケツに火がついているときは、みんなこうなんです。
が、一旦おさまってノド元をすぎれば、み~んな未収ぶっこくのです(^^)
宣告
さあ、待ちに待った宣告の時がやってまいりました。前から一回こういう案件をやってみたかったので、自分が納得できるよう、この宣告は極力ドラマチックにいきたい。
そんなわけで、演出のためにしばらく無言でおり、もったいをつけながら気分をもりあげております(^^)
煙草を消しながら鼻から最後の煙を抜いて
「いま、債務者が泣きついている」
「これから無慈悲な宣告をしなければならん」
「ああ、ぼくはなんて非情な債権者…」
「西部警察の、大門刑事みたいだわ(^^ゞ」
と、とってもハードボイルドな気分になったところで…
一度、これやってみたかったんです。
いっつも「剰余ないかもしれん(滅多に、ない)」「こりゃあ、熱いうちにカネふんだくっておかなければ」という不毛な案件ばかりでしたので、今回、どうやってもカネになる案件で債務者に最後通牒を渡すのが競売も担当するようになってからの夢でありました(^^)
取立人はすっかり満足しておりますので、何も耳にはいっておりません(^^ゞ
やがて債務者はあきらめたのか、絶句。お互いしゃべることもないので「では、そういうことでご検討くださいね~(^^)」と、明るく言っておしまい。
数日後
お昼に牡蠣めしを食べてすっかり元気になった取立人のもとに、午後いちで無抵当くんから電話。
「明日、払います。おいくらですか?」とまあ、なんだか酒屋のつけを払うみたいに言う債務者。「ちいと待っておくんなはれ」約2分後、お勘定ができあがりました(^^)
おかんじょう(^^)
翌日、これらのおカネたちが耳をそろえて帰ってきました。
やはり、長年憧れたことだけあってキモチよかった(^^)
が、こんどの機会にはぜひ競落させてやろうと思っております(^^)