Periscope
昨日の記事でも触れたが、先月の僕にはモチベーションが全く上がらずただただ暇な時間を過ごすだけの期間が数日間あった。
毎日作家の福西のこしの家に行き、ひたすらアプリゲームなどをして帰るだけの毎日。
気付いたらホームスケイプというアプリゲームのステージが2000から3000近くまで進んでいた。
この日もいつもと同じように福西の家で、「素晴らしいプレイでしたね、たたたさん!見事な一手でした!!」と、オースティンというハゲた手足の長いおっさんに画面越し50回ほど褒められたところでそろそろ帰るかーと最後の一服をしながらTwitterのタイムラインを眺めていると芸人仲間のアントワネット山口生(王子)がライブ配信をしていた。
なんとなく配信を覗いてみるとどうやら丁度始めたばかりのタイミングらしい。
内容は「コロナの影響で仕事がなくなり暇になったので料理風景を定点で映しながら視聴者からのコメントと会話をする」というものだった。視聴者数は数人でコメントもまちまちだった。
ここにも同志がいたか。なんて一瞬思いかけたが、とどまった。王子は暇になったことを利用して料理映像というエンタメをしっかりと提供している。
かたや僕はゲームで得たポイントで家具を選んで設置し、そのインテリアをハゲた手足の長いおっさんに褒められて悦に浸っているだけだ。同志だなんておこがましい。
すると僕が参加したことに気づいた王子が「おーたくちゃん!暇かい?」と喋りかけてきた
これを読んでいる皆さんの大半はご存じないだろうが、その昔僕と王子は約1ヶ月ほど「よく噛んで食べるズ」というコンビを組んでいた。なので今はライブ共演こそそんなにないもののまあまあ近しい間柄である。
そーなんすよーなんて返したりしてると
「暇なら来ちゃいなよ〜、一緒に食べよう〜」と誘われた。
ここで思い出したのだが王子の家は僕の家と福西のこしの家の中間にある。帰り途中に寄れる。悪くないだろう。
しかも王子も丁度減量期らしく(僕もダイエット企画を始めたばかり。それはまた別の記事で。)作っているのが鶏胸肉とタラを使ったダイエットに最適な高タンパク低脂質メニューらしい。
悪くないだろう。
最近の僕は出かけることもないから会話する相手といえばハゲた手足の長いおっさんのオースティンか、ハゲかけたずんぐりむっくりなおっさんになりかけの福西のこしくらいだ。人肌恋しい。悪くないだろう。
スリー松蔭寺も揃ったし、何より面白いことが起こりそうな匂いがぷんぷんする。
「行けます!!!」
「おーまじ??近く来たら教えて〜」
ということで急遽王子の家、失礼、宮廷にお邪魔することになった。
行くことが決まってからもしばらく福西と一緒に王子の配信を眺めていた。
すると突然「Bonjour」というフランス語のコメントが表示された。
「ん??え??」と困惑する王子。
僕らも新手の荒らしか?なんて言っていたらどうやら本物のフランス人がこの配信にたどり着いたらしい。
「えー…ボンジュール!えー…アイムクッキングナウ…えーと、たくろー助けてー!」
たじろぐ王子。無視するたくろー。
それでもなんとか王子は知っているフランス語や英語でフランス人の方とコミュニケーションを取れていた。
王子すげえなーなんて思っていると
「Hola!」という今度はスペインの方からコメントが来た。
「えっ!また!?なんで??」
すると「привет там!」とまた別のロシア人がコメントする。
あっという間にグローバルクッキング配信になってしまった。
慌てる王子。爆笑するたくろーと福西。
流石に僕もずっとダンマリを決め込んでいたわけではなく、福西と2人でコメントを翻訳しながら王子の手助けをしたり爆笑したりしていた。
どうしてこんなにも外国の人が参加するのかというとTwitterのライブ配信機能はPeriscopeというアプリと連動していてどうやらそっちから流れてくることが多々あるらしい。
そのことを王子に伝えると
「あーなるほどねー!英語勉強しようと思ってたからちょうどいいわ!!」
と言い、日本人視聴者達と僕が同時に「嘘つけ!!」と心の中でツッコんだところで僕は福西宅を後にし、宮廷に向かった。
15分ほどバイクを走らせ到着するとまだ配信は続いていた。視聴者はそのロシア人1人になっていた。
「え〜高タンパク…ハイプロテインメニュー…」
何回高タンパクって言うんだ。冗談抜きにこの日僕は20回は高タンパクというワードを浴びせられた。
しばらくロシアの観光地談義などに華を咲かせているとそのロシア人が仕事に戻らなければということで配信からいなくなり、視聴者数が0人になった。
「どうもー、ライブ配信やってますよー」
視聴数0人の配信カメラに投げかける王子。
もはや同時刻に事件が起き、容疑をかけられた時のアリバイ証明にしか使えない配信を続ける王子。
「今、アントワネット山口が英語を学ぶための配信をやってますよ〜」
嘘つけ。元々そんな目的でやってなかっただろ。
今度は僕だけが、心の中ではなくしっかりと言葉でツッコんだところで丁度料理が完成し、王子のスマホの充電もギリギリになったので配信は一旦終了。2人で食卓を囲むことにした。
「いや〜Periscopeってのはすごいな〜。外国人と喋れるんだな〜英語の勉強になるわ〜」
どうやらさっきの王子の言葉に嘘偽りはなかったらしい。本当に英語を学びたかったみたいだ。
「いいっすよね〜こんな形で英語学べるのって」
なんて返しながら王子が振る舞ってくれた高タンパク低脂質メニューを美味しくいただいた。
なんだかんだ王子としっかり話すのは久しぶりだから互いの近況を確かめ合うためにいろんな話題を投げかけたが、どこか王子は上の空。
「ん〜なるほどね〜…Periscopeしたいな〜」
ん??
賞レースの話なども振ってみた。
「そうね〜…Periscopeしたいな〜」
「食べてる様子をPeriscopeしたいけどな〜スマホの充電がないからな〜…充電しながらやればいいか??届くコンセントはここ…ダメだこのコンセントは生きてない…Periscopeしたいな〜」
完全にPeriscopeの虜になっていた。生きてないコンセントって何だ。
王子、とりあえず食事終わるまで充電して、食後にPeriscopeしてはどうでしょう?とできる家来の立ち振る舞いをしてみた。
「うむ。そうだな。」
そこからは満足のいく互いの近況、そしてこれからの話ができた。
食事も終わり後片付けも済んだので、それじゃ王子、配信やります??と投げかけると
「ん〜いいや、もうPeriscopeは」
完全にPeriscopeに飽きていた。満腹になったことであんなに溢れ出ていたPeriscope欲がなくなっていた。
まだ解明されてないだけで人間は睡眠欲、性欲、食欲、Periscope欲の4大欲求を持っているのかもしれない。
それならということで僕も程なくして帰路についた。
その後、寝不足で空腹のセックスレス王子がどこかでPeriscopeをしていたのかもしれない。確認はしてないが。
これからはまだPeriscopeを知らない人にPeriscopeを教えるのを少し躊躇することになるだろう。
この話は「サメゾンビのシン・オジラ」でも話してます
https://m.youtube.com/watch?v=UFRuVXJgweE&t=7s
※30分〜頃から