
パレットクラブ絵本コースはじめました 第5回 絵本編集者 山縣彩さん
過去4回で絵本作家さんと編集者さんで違うなと思ったのは、作品や課題に対するツッコミ具合や講師と受講生の距離感。パレットクラブは実技以外の他コースの聴講も可能なので、時間の許す限り聞いているtorisun。イラストレーターさんとアートディレクターさんで視点が異なるように、描き手側ではない編集者さんの方がシビアな意見をくれると思った。『どんな評価がされるんだろう…』というドキドキと、『今までの講義を踏まえて精一杯取り組んだんだから大丈夫!』という期待が入り混じって始まった。第5回目は絵本編集者の山縣彩さん。
憧れた絵本の編集者
母が家庭文庫をしていたことで幼い頃から本が身近にあった山縣さん。
ポプラ社・ブロンズ新社を経てフリーの絵本編集者として活躍しています。
torisunの持っている最近の絵本だと、えがしらみちこさんの『そしておめでとう』やkodomoe付録の『おやつトランポリン』。そして全巻持ってる『くまのがっこう』も!私が絵本作家に興味を持ち始めたのはくまのがっこうからでした。そんな憧れの絵本の編集者さんにラフを見てもらえる日が来るなんて・・・
知ってると得する絵本作りのルール
前半は絵本作りについて。
「絵本は自由に」と言うけれど、これを知っていると知っていないとでは違う。
『ユリ・シュルヴィッツの教科書』の内容を元に教えてくれました。
※以下、覚書きみたいなものなので乱文失礼
絵本=絵だけで大体の大きな流れがわかる。絵と短い言葉の世界が基本
物語=言葉が中心+挿絵
絵本とは連続・順序を表す
編集者は『読者が絵本に入り込めるか』『集中して最後まで読める内容か』をよく見ている。
絵本の世界に引き込めるようにする作業。
子どもが本に集中してもらえる気遣いをする→進行方向の統一、場所はどこか、同一人物なのか
まだ数年しか生きていない子どもが一番わかるのは『身近な日常の表現』。
なるほどと腑に落ちると読み進めてもらえる→ページをめくる(めくる間に次を予想する)→だけどその予想を裏切る
匂わせヒントを散りばめながら最終ページまで連れてってあげる
アクションの完結。不穏や絶望で終わらせない。最後はきちんと終息させる。
読者が「思いを寄せる特別な誰か」→個性的な人物造形、努力している・決意など心や起きる出来事の「豊かなディテール」
文字が綺麗に入る絵本がキレイ
カメラワークと空間
何度もラフを描いてどの空間の見せ方が一番伝わるか実験する
漫画みたいにならないように。
参考絵本:ユリ・シュルヴィッツ著『よあけ』『あるげつようびのあさ』
講評に臨む前に
後半は絵本ラフの講評。今回はページ数など特に決まりはなかった。
でもtorisunなりに今までの講義を踏まえて以下の点に気をつけて作成してみた
気をつけた点
・面白さと今までの実経験、日常で感じたことをモチーフに描く
・今回は動物主人公ではなく人物にする
・デフォルメしすぎない(リアルめに描いた方が自分の表現に合い、伝わりやすい)
講評前に自分なりに気になっていた点
・主人公の語り(妄想)で進む話なのでブレて感情移入しにくくなっていないか?
・食べ物など各アイテムの表現や扱い
実際のラフを一部抜粋↓
そして講評へ
山縣さんがパソコン上でラフを読み進めながら、左から右へ行く小さな子どもたちをカーソルでなぞる。なんと『かわいい~』と言ってもらえた!
・小さな子どもたちの描き方→かわいい
・ページのめくりが想像の上をいってる
・カメラワークや表情いい
・主になるアイテムがブレるので統一感を
・(一部あえて描いていなかったが)料理に使う調味料はもっと具体的にしちゃって大丈夫。読者に正確に伝える。
・主人公のブレは気にならない、でも主人公以外の子どもたちに統一感を持たせるともっと主人公との差が出て生きる
絵本の言葉のリズムを自分の考えていた通りに読でくださったので
『あ!表現したかったこと、絵本を通じて伝わってる!』と感じた。
何より『絵本になりそう』と言ってもらえたのが、本当に本当に嬉しい~!泣
(だって憧れのくまのがっこうの編集者さんだよ!)
嬉しさついでに、手直しの流れや問題点も、その日の子ども寝かしつけタイムにほわわんと出てきた。いつもなら自分の中の価値観でえーい!やー!と無理矢理ピースをはめ込んで、悩みながらも描き上げてはコンクールで玉砕だった。でも今回は描いていて楽しい。こうやったらより伝わるんじゃないか?と試してうまくいった時にそう感じる。
頭の中の面白いを外の人に伝える
山縣さんが講義の最後に言った言葉。自分の頭の中のアイデアをいかに『魅力的に』『わからない相手についてきてもらうか』。
noteを書いて、読んで、書き直して…
相手により伝えるためのこの作業、実は絵本作り似てるのかも…と感じたtorisunでした。さあ手直し楽しむぞ!