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私は本当の意味で「もののけ姫」を見ていなかったのかもしれない
先日、川崎にある映画館チネチッタで「もののけ姫」を見てきました。
「もののけ姫」は私がジブリ映画の中で最も好きな映画で、たぶん軽く100回以上は見ています。小さい時になぜかハマりにハマり、週3くらいで見ていた記憶があるくらいです。
大人になってからも何度か見ていたのですが、今回シアターで再上映される、しかもチネチッタの「LIVE ZOUND」という超絶音響×RGBレーザーという高画質な上映方法で見られるということで、既に2回見てきました。(あと3回は見たい)
要所要所の台詞を空で言えるほど、VHSの紙製のケースがボロボロになるほど繰り返し見た映画なのに、「私は本当の意味で『もののけ姫』を見たことがなかったのかもしれない」と思うほどに衝撃を受けたので、その感想を綴りたいと思います。
1,音楽が生オーケストラか!?というレベルの衝撃
LIVE ZOUNDすごい。本当にすごい。信者になりそう。
「アシタカせっ記」が今まさにオーケストラによって奏でられている気がする。低音が身体にビリビリくる。もう耳が幸せすぎて開始3秒でゾクゾクと鳥肌が立ちました。
LIVE ZOUNDでもののけ姫を彩る久石譲の音楽を聴けるだけでも、1,100円がお得すぎて10回は軽く見たい気持ちになります。
2,これまで聞けていなかった音までしっかり聞こえる。シーンの本当の良さに気づく
音響周りで特に印象に残ったのが、シシ神によって銃創を治癒され、翌朝アシタカが目覚めるシーンです。
苔から水滴が滴り、アシタカの顔に落ちることで、彼が目を覚ますという場面。
これまでテレビ画面で見ていた時は、水滴が落ちる音なんてほとんど聞こえていなかった気がするけれど、ここにしっかりと音が入っているんです。
完全な無音からの、水滴がパタリと落ちる音の響き。ゆっくりと目を開けるアシタカ。
この瞬間のなんとも言えない感動は、映画館で見ないと上手く伝わらない気がします。
あと、ここにも音が入っていたのか!と驚いたのは、首を探したデイダラボッチがタタラ場に近づいてくる場面。
山の斜面の向こうからドロドロが越えようとしてくる時に、ゴゴゴ……と地鳴りのような音が響くんです。
それを聞いたトキたちがハッとして山の方を見ると、ドロドロが来ている。実はそういうシーンだったことに、生まれて初めて気づくことができました。
その他にも、モロたちが縄張りとしている水辺のせせらぎ、篝火の音など、自然系の音も本当にはっきりと聞こえて、ものすごい臨場感がありました。
3,小声の台詞もしっかり聞き取れる
「もののけ姫」って、声がかなり小さくなるシーンが度々ありますよね。これが映画館だと、声は絞ってあるけれどはっきり聞こえるんですよ。
たとえば、
・ヒイ様に呼び戻されたエミシの村の人たちの声(「アシタカは!?」など実は色々話していました)
・エミシの村で長老っぽい男性が話すシーン「大和との戦に破れ五百有余年……」
・エボシ御前の秘密の庭で、病気の長が話すシーン(ここの台詞が本当に深く悲しくてとても好きです……)
・モロとアシタカが対峙する場面(「お前にできることはもうない」など、小声になる部分もしっかりはっきり聞こえます)
小声のシーンの台詞こそが実はとても深くて良かったりするので、これがはっきり無理なく聞こえることで、映画の良さがぐっと増しました。
4,画質ももちろん良かった
RGBレーザーってなんじゃ!?と思いつつ見に行ったのですが、決して三色のレーザーがライブ会場の如くシアター内を彩るのではなく、通常より高画質な上映方法のようです。
ここでびっくりしたのが、ジコ坊とアシタカが洞窟?のようなところで粥を食べるシーン。
「タタリ神の足跡を追ってここまで来たが、人里に下りた途端にわからなくなってしまった」と言うアシタカに、ジコ坊が「この辺りを見なさい」と示した方に何があるのか、テレビ画面だと暗くてよく見えていなかったんですよ。
映画館で見ると、これがはっきり見えました。
ジコ坊が示した方にあったのは、洪水か土砂崩れなどでぐちゃぐちゃになった民家らしきものの残骸と、土葬された無数の人たちの墓。
(おそらく)水害によってこの辺り一帯が被害にあい、それによってタタリ神の足跡も消えてしまった、というわけでした。
5,静けさの演出に気づくことができた
音響の良さによって、逆説的に、無音の場所にも発見がありました。
「もののけ姫」はぱったりと一切の音が止んで静かになるシーンが所々にあります。たとえば、シシ神が歩く幻想的なシーンなど。
「静けさの演出」にまで気づけたのは、映画館ならでは。
さらに、コロナ対策で席間隔が空いており、見に来る人のマナーも良くて咳払いひとつなかったからこそ際立って感じることができました。
結論:「もののけ姫」を映画館で見てくれ
つらつらと書きましたが、本当に、見ないとこの良さは伝わらない。
コロナ禍の最中なので川崎市近郊以外の人はチネチッタまで来るのはちょっと……という感じですが、たぶんLIVE ZOUNDがなくて普通に映画館で見るだけでも、「もののけ姫」という作品に集中して、これまでとは違った見方ができるはずです。
この機会にぜひ、シアターで「もののけ姫」を見てみてください。