ハイナントカゲモドキについて 序
筆者がハイナントカゲモドキというヤモリを知ったのはもう20年以上前になる。
ヒョウモントカゲモドキ、所謂レオパのノーマル以外の品種が日本国内でもちらほら出現しだした頃である。
当時小学生であった筆者にとって、黄色や白色のヤモリというだけでも驚きであったのに真っ黒なヤモリが紹介されたことは子供心抜きにしても衝撃的でしかなかった。
某爬虫類雑誌でその姿を見た小学生の筆者には言葉では言い表せないような感動があった。
「これが欲しい」
そう思ったことになんらおかしなことはない。
お年玉をかきあつめ、当時の小学生としてが大金である2万円を手に都内老舗爬虫類店へと向かった。
値札を見て愕然とした。
ペアで25万円。
しかもシェルターに隠れていて姿を見ることすら叶わなかった。
当たり前だが買うことは出来ない。
買えないものを店員に見せてくれということが出来ないことはさすがに子供心でも理解できたので、実物を見ることすら叶わずそのまま帰った。
その時に誓った。
大人になっても爬虫類を好きで飼育を続けていたらこれを絶対に手に入れると。
その後、諸々の事情があってしばらく爬虫類とは無縁の人生を送ることになるのだが、運命は巡り巡って大人となった筆者は再度ハイナントカゲモドキと邂逅することになった。
これまた経緯は割愛するが、結果的に筆者はWC(野生採集個体)のハイナントカゲモドキを遂に手中に収めることになった。
2015年のことである。
そして、これを書いている2024年、筆者の手元には30匹のハイナントカゲモドキがいる。
ここに至るにも平坦な道のりではなかった。
それまでに見聞きしたり経験したことをこの種の飼育を検討している方や何か問題に直面している方や飼育のプラスアルファを求める方へ伝えることができればと思っている。