2022.11.12のお話会に至るまで



"New Single『STAR』発売記念 オンライン個別お話し会&ペアお話し会開催決定!"



公式さんからのツイートを私は難しい表情で眺めていた。


複雑な気持ちだったからだ。

そもそもコロナ禍になってからのオンラインのイベントというものに参加したことがない。

私はもともとコロナ前の接触イベントが好きだった。
推しに会えることで、「同じ人間として存在してた」と思うことができるし、自分のためだけにお話をしてくれることに喜びを感じていた。
その空気感を肌で感じることも醍醐味であるように思っていた。(同じ空気を吸っているという気持ち悪い思想に走っていたことは伏せておく)

そのため、『オンライン』というものの価値をあまり理解出来ないでいたのが第1の抵抗のある理由であった。
もちろん推しが自分のために時間を割いてくれることには変わりない。
しかし、画面越しということで現実味が削がれてしまうのでは、という気持ちが拭いきれなかった。


そしてもう1つ理由がある。
それは、



とき宣の皆が尊すぎるからである。



は?なんだこいつ?
そう思われたことであろう。
いや、まったくその通りなのである。
自分でも何言ってんだ?と思わずにはいられない。

この感情を文章として書き起すにはあまりにも自分のボキャブラリーが乏しくて悲しい限りだ。

強いて言うなら


『神のような近寄り難い存在に感じている。』


とでも言い表そうか。
天界人というか……俗世を生きる私のような人間がたやすく触れてはならない方々な気がしていた。
あまりにも崇高な存在すぎるというか。

ここまで重度の思想ではないにしろ、共感できる人もいないことはないだろう。


悩みに悩んでいた私は、例の沼入り寸前(と私は認識している)の友人に相談することとした。


彼女は数々のグループを手広く推し、接触イベントもまるで推しの友人のように接することのできるコミュ力(りょく)モンスターなのである。


友人は手馴れた様子でトークの提案をしてくれた。
しかし私は自称ではあるがコミュ障の気のある人間だ。
推しという大好きな人にそんな流暢に話せないと喚く。
相手からしたらすこぶる厄介な人間だ。
それを許してくれるのだから本当にありがたい。


そもそもオンラインイベントというものが想像できなかった私に、動画などを駆使して丁寧に説明してくれた。
しかし、それを見た私はむしろ尻込みしてしまったのだ。



推しとの距離が、、あまりにも近すぎる、、


そう思ったのだった。
想像していたような画面越しに距離を感じるのではというのは全くなく、むしろ運営スタッフなど周りを取り巻く全てが排除され、自分VS推しの完全タイマン試合といった印象だった。

私はそのとき思い出した。
対面での接触イベントは好きだったが、大抵緊張と興奮が先行してしまい、走り去るようにその場を駆け抜けていたことを。
そんな私が走り去ることのできないオンラインというフィールドで、推しと接近戦のタイマンに25秒も耐えられるわけが無い。
推しの不戦勝は避けられない。


緊張による吐き気が増幅する代わりモチベーションはどんどん下がって行った。
友人は「女子ドルは女オタク来ると嬉しいって言ってくれるぞ!」と私のモチベーションの向上に全力を注いでいた。
神(推し)に嬉しいなんて言われた日にはますます死期が近づいてしまう…私にはまだ早かったのだ…
そう思い断念することを伝えると、友人は悲しみにくれていた。



その気持ちをツイートになんとなく投稿した。
今思えばやはり参加したいという気持ちが拭いきれなかったのだろう。
そこにリプライをしてくれた方がこんな風に言葉をかけてくださった。
「行けるなら頑張って行った方がいい。今のファンの数だといつまでやってくれるかわからないし、もっと尊く感じられるかもしれないよ。」



私の中でストンと腑に落ちた瞬間だった。

あぁ、私は幕張で何を見てきたのだろうか。
あんなに大きな会場でライブをした子達が、それでもなおこんなに距離の近いイベントの機会を設けてくれているんだ。
それを自分の醜態を晒すとかコミュ力がどうのとかくだらない理由でその機会を捨ててしまおうとしていたのかと自分がとても愚かに思えた。

皆さんから見たら至極当然のことかもしれない。
私もきっと何年も宣伝部員をしていたら当たり前の考え方すぎて気にも留めなかっただろう。
しかしオタク活動を離れていたものからすると、忘れていた考え方なのだ。
あまりにも存在が眩しすぎて、思わず直視することを避けていたのだ。

推しは推せる時に推せ

まさにその意味をしみじみと感じ瞬間だった。


上手く話せなくたっていい。
自分が新人宣伝部員でいられるうちに、今感じている新鮮な気持ちを推しに伝えよう。
1回分に気持ちを込めよう



そう考えながら申し込みページへ飛ぶ。


私は記憶を失っていたのだろうか。


ソロ4枚、ペア1枚を無意識に購入していたのであった。




ちなみに申し込みページのスクショを送り友人にその旨を報告すると、


「最高」
「レポよろしく」


とだけ返ってきた。


良い友人を持ったものである。









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