なつかし劇場/ウイリー・ライダー
高校生ともなりますと、バイクや車への関心が高まってまいります。
ダチ連中がピーター・フォンダのHONDAタクトやジュリアーノ・ジェンマのSUZUKIジェンマを購入すると。
ママチャリの小生は肩身が狭くなって参ります。
逆転を狙い、毎日24時までゲーセンバイトを続ける小生。
今更、ソフィア・ローレンおばちゃんが推薦する「ラッタッタ〜!」のロードパルで妥協は出来ません。
やはり男はギヤ付きのバイクでなければ。
決めましたのが、YAMAHAのポッケ。HONDAモンキーのパクリみたいな可愛いバイクですが。
ミスターバイクに、ホイールベースが短いのでウイリー走行も楽しめる、と紹介があり。
迷わす購入。
フルスロットルで発進すると。
オフロードバイクとは比べ物になりませんが。
数メートルのプチウイリー走行が楽しめます。
新車を買った嬉しい気分で、信号ごとにプチウイリーを楽しんでおりますと。
停止線に横並びしたのがDT250。
本格オフロードバイクです。
アドレナリンラッシュ気味のライダーの方が小生をガン見しながら、小刻みにスロットルを吹かし威嚇してまいります。
マズイです。
1日5回のウイリーをメッカの方向を向き行うという。
イスラム教ならぬ、ウイリー教の信者なのでしょう。
先程の小生のプチウイリーがそんな彼の逆鱗に触れたのです。
さては本格ウイリーを見せつけ、小生をへこますつもりなのか?
信号が青に変わると。
予感的中。
サーキットの狼のシグナルグランプリよろしく、速攻のスタートダッシュ!
エンジン全開で、60度の傾斜はあろうかという華麗なウイリーを決めます。
明治通りの覇者となったウイリーライダー。
「すげ〜!」思わず声を上げる小生。
しかし、その数秒後。
どこに待機していたのか。小生の後方から、サイレン音とともに100キロオーバーのスピードで白バイが出現。
わずか数秒でDTを追い越し、進路をふさいだのです。
キップを切られるウイリーライダーの横を法定速度の30キロで通過する瞬間。
気まずくなった小生が軽く会釈すると、ウイリーライダーは苦み走った笑顔で片手を上げ、挨拶してくれました。
都会の片隅でかわされたライダー同士の友情の物語は、騒音が響きわたる目抜き通りの緊張感を和らげる、一服の清涼剤となり。
後世に語り継がれる事となりました。
最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)
鳥裸族
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