なつかし劇場/007黄金ボタンを持つ男(拝啓、関東平野#185しゃばぞうさん朗読)
お馴染みの甘味処で、小さいヘラでもんじゃをすくいながら、へーちゃんが語りだした。
「第2ボタンだってね」
在校生女子が、想いを伝える儀式として、卒業生の学生服の第2ボタンを求めてくるというのです。
「知ってるよそれ、バスケ部のタカシが後輩に予約されたってよ」
タカシとは長い付き合いの小生。遊び仲間ではないけど、照れ屋のタカシが、先日、小生に打ち明けてきたのだ。
「いいなあタカシ」
と、こうちゃん。
もちろん、甘味処でくだをまいているのは、明日に卒業式を控えた、お馴染みの三馬鹿だった。
「ウチラは後輩いないしな」
「帰宅部だし、無理だわ」
その夜、仏壇の引き出しから金属磨きの「ピカール」を取り出し、せっせと第2ボタンを磨く小生の姿があった。
シコ、シコ、シコ、シコ
小生に思いをよせる、欲しがり屋さんの女子が、いないともかぎらないともかぎらないともかぎらない。
シコ、シコ、シコ、シコ
綺麗なボタンを女子に受け取って欲しいという想いの、ジェントルマン裸族。
童貞のお家芸、自家発電のテクニックで磨き上げていると、
「えっ?!」
ま、まずいです。ピカールの研磨効果が過激すぎたのです。
金ボタンのくぼんだ部分、陰影をつけるための黒い墨の塗装まで剥がれてしまったのです。
「マジか!」
ツタンカーメンの墳墓から出土した黄金の埋蔵品のように、キラキラと光輝き、他のボタンに比べて、浮きまくる第2ボタン。
「ヤベエ!」
このまま明日の卒業式にのぞんだら、クラスの笑い者です。
一晩中考え、
第2ボタン覆い隠し作戦を決行。
登校時は、墓前で悲しむ遺族のように、学生帽で第2ボタンを隠す、鎮魂の鳥裸族を演じ、
教室では、宇宙戦艦ヤマトの乗組員の敬礼のように、グーで第2ボタンを隠す、大和魂鳥裸族を演じきりました。
ついにやってきた下校の時、小生を待ち望む、ボン・キュッ・ボンの子猫ちゃんたちよ!
第2ボタンをきらめかせながらまだ見ぬ桃尻娘をさがし、徘徊しまくる小生。
誰もいない教室、体育館の裏、焼却炉の中、
そんな所に、いるはずも無いのに
「やっぱ、いないんかぁぁい!」
諦めて、トボトボと帰る帰り道。
「裸族うう〜!」
振り返ると、顔を赤らめた、くだんのタカシです。
見ると、なんと学生服の全部のボタンが無いではありませんか!!
「すげえなぁぁ!タカシ!」
第2ボタンを握りしめるように隠しながら、タカシを祝福する小生でございました。
最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。
(*´∀`*)
オレたち🐰🐹鳥裸族
(⌐■-■)しゃばさん長文すいません♥🐹
しゃばぞうさんに読み上げていただきました。↓↓↓↓↓🙏