2022
年が明けてほどなくして27歳になった。
いつの間にか春が冬に取って代わる。
季節の移ろいに気づいた頃、伸ばしていた髪を切った。
慌ただしい3月が過ぎると、凪の4月がやってきて、そして去っていった。
通っている教会で5月に洗礼を受け、クリスチャンになった。
特定の信仰を持つようになるとは、数年前の自分では想像だにできなかったと思う。
予測できないことと計算できないことが交わる瞬間にページがめくられる。
明日は分からないし、明後日はもっと分からない。
未来を見ようとしても翻弄されるだけだと知った。
今年の夏は旅に出たいと思っている。
学生時代のようにボロボロの服を着てヒッチハイクでもしたいが、感染症を持っているやもしれない行きずりの男を乗せてくれる人など、このご時世いない気がしてやる気になれない。
今思えば、何の気兼ねもなくヒッチハイクできていた時代(ほんの数年前までそこにあった)は豊かだった。
そういえば僕が学生の頃(といっても大学時代前半まで)はかろうじてマクドナルドやミスタードーナツで煙草が吸えたので、よく近所の店舗に通って煙を適当にふかしながら適当な小説を読んでいた。
あれもまた、振り返ると豊かな時間だった。
今の仕事にあまり興味が持てなくて、デスクに2つ並べたモニターを眺めるともなく眺めながら、ついぼーっとあてもない空想に耽ってしまう。
現実のこと(人間関係のこと、お金のこと、仕事のことーetc.)に集中して生きるのが昔からあまり得意じゃない。
大体いつも、「今ここ」にいながら「今」でもなく「ここ」にもない何かのことを半分くらい考えている気がする。
10代の頃から変わらない僕は、爺さんになってもこんな風に生きているんだろうか。
もう2022年も半分が過ぎるらしい。
来月には僕は更に日焼けするんだろうし、暑さから食欲は減退するだろう。
僕は平日を何とかやり過ごし、休日は美術館か図書館に行くんだろう。
どこかで誰かが泣いて、ミサイルは頭上を飛んで、僕は夜になるとビールを飲むんだろう。