【日記】凡庸な土曜日
Google Home Miniでクラシックを聴きながら、中野信子さん著『ペルソナ 脳に潜む闇』を読んでいた。
大きなマグカップに注がれたインスタントコーヒーに、レモン風味のメンソールのプルームテックを添えて。
メンソールはコーヒーと相性が悪い。少なくとも僕にとっては。でもそんなの土曜日の昼にはどうだっていいことだ。
Google Home Miniの音質が決して良いとは言えないことだって、僕は気にしない。
中野信子さんの本を読むのは初めてだ。
しかし、以前YouTubeで人工知能の進化がもたらす未来について興奮気味に語っている彼女を見て、何だか強く印象に残っていた。
たまたま彼女の夫の講演を以前に聴いたこともある。その時は信子さんと結婚していることは知らなかったのだが。
信子さんが述べるように、彼女の夫はどこか超然としている方で、明らかに独特のオーラを放っていた。それでいてどうしようもく柔和な印象を与えるものだからずるい人だな、などと思ったのを覚えている(もちろんいい意味で)。
たまたま一昨日別の本を買いにジュンク堂に行ったら新書の棚にこの『ペルソナ』が陳列してあって、なんとなしに手に取ってそのまま買ってしまった。
彼女の自伝的色合いが強く、興味深く読んでいる。
自伝自伝してないというか、脳科学者らしく脳の分析が所々に挿入されるのが独特で面白い。
僕自身と彼女の特質を重ねて共感しながら読む箇所もある。
女性だからという点で受ける差別や、研究者としての葛藤などに関しては自分の経験とは直接重ねられないが、日本という社会のグロテスクな姿へ眼差しの鋭さには胸がハラハラするような緊迫感すら覚える。
と、別に書評を書こうとしていたわけではなかった。
ただ、土曜日の昼間に適当なスピーカーでクラシックでも聴いて、インスタントコーヒーにメンソールのタバコを合わせて、最近買った本でも読んでいれば、十分に満たされた自分をそこに発見できる、ということをただ書きたかったのだ。
今日の夜は(たしか)東京に住んでいる大学時代の後輩とZoomで話をする。
法学部出身で、就職しても社会人学生として大学院に通うような後輩で、その勤勉さとストイックさに僕は驚嘆の念すら覚える。頭が下がる思いだ。
やはり勤勉さ、真面目さというのは一つの美徳であると僕は思う。あるいは、知への探求心。
そんな後輩なので当然法律にめっぽう詳しく、僕は学術会議にまつわる法律的な問題についての見解をぜひ訊いてみたいと思ったのだ。
ああ、そろそろ腹が減ってきそうだ。料理をするのがめんどくさい。
というか冷蔵庫にはろくに具材もない。食事ってめんどくさい・・・。
スーパーに買い出しに行くか、ほっともっとの弁当でも買いに行くか。迷うところだ。
空腹がいよいよ僕を駆り立てるまでの束の間、怠惰で凡庸で贅沢な土曜日の昼間を楽しみたいと思う。