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【第3回】識別最難関?! 渡り鳥解説〜ムシクイ編


秋の渡り真っ最中!

どーも、鳥好きのほっしーです!
意外と知られていないのですが、鳥の世界では現在、秋の渡りの真っ最中です。
昨日、我が家の庭にもムシクイの仲間が来ました。
ということで、今回はムシクイの仲間について話していきます!

秋のムシクイは識別最難関?!

ムシクイという鳥はあまり世間では知られていないので、どんな鳥か知らない人が多いでしょう。
下の写真を見て下さい。
図鑑のムシクイの仲間のページを開くと、こんな感じです……

野鳥図鑑のムシクイ科のページ。ほとんど一緒にしか見えない。
<フィールド図鑑 日本の野鳥(文一総合出版)より>

えっ!!!
全部おんなじやん!!ってなる方がほとんどだと思います。
そうなんです。ムシクイの仲間というのは姿形がそっくりで、熟練のバードウォッチャーでも見分けがつかないくらいなんです。
でも、そんなムシクイたちにも決定的な違いが1つあります。
それは、鳴き声です。
こんなに姿が似ているムシクイの仲間ですが、鳴き声はそれぞれ特徴があります。
ところが、春の渡りでは比較的よくさえずるムシクイたちですが、秋の渡りではほとんど鳴きません。なので、秋のムシクイは識別の最難関なのです。

識別してみよう!

さて、ここで昨日、我が家で観察されたムシクイを識別してみましょう。
観察されたのはこちらのムシクイです。

昨日観察されたムシクイの仲間。2024.10.7(月) 7:30ごろ撮影。(京都府)

大きさ、色、模様などから、ムシクイの仲間であることは間違いありません。
まずは観察地である関西地方で、比較的見られる可能性の高いムシクイの仲間をあげてみましょう。

・オオムシクイ
・メボソムシクイ
・エゾムシクイ
・センダイムシクイ

この4種類があげられます。
本個体は観察中に鳴かなかったので、鳴き声での識別はできません。
模様や色などの容姿から識別していきましょう。

センダイムシクイとの比較。観察された個体には頭央線がない。
<フィールド図鑑 日本の野鳥(文一総合出版)より>

まずはセンダイムシクイと比較してみましょう。
センダイムシクイには頭央線とうおうせんと呼ばれる線が頭の上にあり、他のムシクイとの識別点になります。
本個体には頭央線とうおうせんはないので、センダイムシクイではないことがわかります。

エゾムシクイとの比較。嘴の色や頭から背の色の変化に注目。
<フィールド図鑑 日本の野鳥(文一総合出版)より>

次に、エゾムシクイと比較してみます。
エゾムシクイは、あし下嘴したくちばしがピンク色であることと、頭部の色が濃く背中の明るい色との差が目立つことが、特徴としてあげられます。
ですが、本個体の下嘴したくちばしは黄色で、頭部から背中も一様の緑褐色りょくかっしょくです。これらの特徴はエゾムシクイではなく、メボソムシクイやオオムシクイの特徴です。
このことから、本個体はメボソムシクイかオオムシクイであると思われます。

次はメボソムシクイとオオムシクイの比較をしてみましょう。と言いたいところなのですが、ここで、残念なお知らせです。
実は、メボソムシクイとオオムシクイ、そしてコムシクイの3種類はメボソムシクイ上種と呼ばれ、野外において鳴き声以外での識別をすることはほぼ不可能と言われています。
この3種類は数年前までは同じ種として扱われていました。ですが、鳴き声の違いやDNA配列の違いから、別種として扱われるようになったのです。

メボソムシクイとオオムシクイでは分布域が少し違います。
メボソムシクイは、夏鳥として本州、四国、九州の亜高山帯で繁殖します。
オオムシクイは、北海道の知床半島や千島列島で繁殖し、本州では旅鳥として観察されます。
分布域の違いもあってか、この2種は渡りの時期も少し異なります。
秋の渡りでは、メボソムシクイが主に9月に関西地方を通過するのに対し、オオムシクイの渡りのピークは10月中旬です。

このことや、他の身体的特徴を踏まえると、今回の個体はオオムシクイの可能性が高いように思われます。
ですが、これはあくまで推定でしかなく、断定はできません。
今回の識別結果は、メボソムシクイ上種(推定オオムシクイ)としておきましょう。

今回も最後まで読んでくれて、ありがとうございました。
皆さんもぜひ秋の渡り鳥を見つけてみて下さい。
見つけたよーの報告待ってます!
野鳥に関する質問(それ以外の質問も大歓迎)やリクエスト(こんな話してほしい、こんな企画してほしい)などありましたら、コメントまたはInstagramのDMにどしどしお寄せください!
それでは、また!


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