【第4回】上昇気流に乗って渡るタカ 渡り鳥解説〜タカ渡り編
どーも、鳥好きのほっしーです。
今回は「渡り鳥解説〜タカ渡り編」です。
鳥好きでない人にはあまり知られていませんが、タカの仲間は多くの種が渡りを行います。
サシバ、ハチクマ、アカハラダカ、ハイタカ、ノスリなどが渡るタカの代表例です。
渡る時期は種類によって違う!
渡りを行うタカは何種類もいるのですが、渡る時期や見られる場所などはそれぞれ違います。
下の表を見てください。
例えば、夏鳥として日本で繁殖するサシバやハチクマは渡りの比較的早い時期に見られます。それに対して冬に多く見られるハイタカやノスリは遅い時期に多く見られます。また、朝鮮半島などで繁殖し東南アジアなどに渡るアカハラダカは主に九州以南で見られます。
さらに、この図からもわかるように、動きの敏捷な獲物を獲るタカほど渡りが遅い傾向にあると言われています。
今回は私が長崎県対馬市で観察してきたアカハラダカについて、主に話していこうと思います。
アカハラダカってどんな鳥?
アカハラダカはハトほどの大きさの小型のタカで、名前の通り、成鳥の腹部が淡い赤褐色です。分類としてはハイタカ属に含まれており、オオタカやハイタカの仲間となります。
中国東部や朝鮮半島などで繁殖し、東南アジアで越冬します。日本でも一度、島根県で営巣したことがありますが、繁殖は失敗しています。
秋の渡りの時期には、数万羽にもなる群れが渡りルート上で観察されます。
国内では、長崎県対馬市の内山峠展望所、長崎県佐世保市の烏帽子岳、沖縄県石垣市のバンナ公園の3ヶ所が大規模な渡りが見られる場所として知られています。
今回は対馬内山峠展望所での様子をお届けします。
アカハラダカの渡りで地球規模の壮大なエネルギーを感じる!
内山峠展望所では、対馬野鳥の会の人たちが、毎年9月の1ヶ月間観察とカウントを行っています。私はそこで一緒に観察させてもらいました。
アカハラダカの渡りは、日の出の少し前から始まります。双眼鏡で遠くの山の稜線をなぞるように探します。
この時間帯に飛んでいくのは、前日に対馬に到着した個体です。周辺の山々から上昇気流に乗って空高く昇っていきます。なのでこの時間帯はアカハラダカが近く(低いところ)を飛んでくれることもあります。
一緒に観察していた対馬野鳥の会の方が「アカハラダカの成鳥が旋回した時にお腹に朝日が当たってキラッとするのが美しくてたまらなく好きなんだ」と言っていました。それを観察できるのもこの時間で、成鳥の小群が現れた時は本当に美しくその方の言っていることにものすごく共感しました。
10時を過ぎると、今度は「大陸便」と呼ばれる、朝鮮半島を朝飛び立った群れが姿を現します。この群れは高高度で通過することが多いのですが、数が多く見応えがあります。
私が行ったのは9月28〜29日と渡りの終盤だったため、この時間はアカハラダカの数は少なく、チゴハヤブサとハヤブサがよく見られました。対馬野鳥の会の方によれば、ハヤブサはアカハラダカを襲うこともあるそうで、ハヤブサがいる時はアカハラダカの見られる数が少なくなったりするそうです。
また、2日目(9月29日)にはハチクマも何羽か見ることができました。ハチクマは内山峠展望所では秋よりも春の渡り時期によく見られるそうですが。
ピーク時には15時ごろまで渡りが続くこともあるそうですが、私が行った時は13時ごろには見られなくなり観察終了。渡りの終盤で、ピーク時に比べると数は少ないそうですが、それでも2日間で750羽のアカハラダカを観察できました。
秋の空を眺めよう
気持ちのいい風を受けながら青空を渡ってゆくタカを見送る時、この先通過するであろう何千キロもの地球のエネルギーを感じ取ることができます。
アカハラダカの渡り時期は終わってしまいましたが、この後もノスリ、ハイタカとまだまだタカ渡りは続きます。
晴れ渡った秋の空を見上げてみてください。
もしかするとあなたの頭上を、タカが渡っているかもしれません。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。
また次の記事を楽しみにしていてくれると嬉しいです。
長崎県対馬市での様子は後日YouTubeにも上げる予定です。ぜひ見てみてください。
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それでは、また!