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黒神話:悟空やってみた!④

第3章「夜生白露」、先日なんとか這々の体でクリアしたぞ!

というわけで、超ウルトラ級へっぽこゲーマーが
「黒神話:悟空(原題Black Myth: Wukong)」を
散々な目に遭いつつ亀の歩みで進む雄叫びプレイ日記その④でござる。

3章は原作での 黄眉大王・小雷音寺の回(第65回~66回)。
いつも通り最後には対応する西遊記原典の解説もするので、「ゲームやったけど原作あんま詳しくないや」って方には特に!流し読みでいいんで眺めてってほしい。
あとストーリーにかかわるネタバレは可能な限り避けるけど、こんなキャラいるよとか強敵の勝ち抜きネタとかはさくさく紹介しちゃうので、あらゆるネタバレダメ絶対、ってひとはすみませんがUターン。

まず冒頭。
幼い見かけで妙に恰幅のイイ小坊主が登場、(まァ原作厨なので正体は想像つくが)、イヤーそれにしてもマジ美しい画面やのう、と精緻きわまる仏像群が映り込む荘厳な背景にうっとりしていると、やがて金剛力士みたいな像からぺっと吐き出されるみたいに主人公出現。まずは何を置いても土地神の祠(HP/MP全回復・蘇りポイント)に辿り着かねば、と慎重にスタート。
さすがに2章分こなしているのでびくつきながらも安定して雑魚を蹴散らすことができ、順当に一番最初の祠を解放。
とにもかくにも雪景色がほんとに美しい。
続いて最初の中ボス 赤尻馬猴 も割合あっさり勝ち抜いてちょっと進むと猛烈に怖いビジュアルの土地神が「天命人を迎えに参った!」って現れ、主人公を鳥に変化(へんげ)させるや、超美麗雪景色マップをすごい勢いで飛び越えさせ、湖のほとりまで強制連行された。

小西天の土地神…こええよ!!

湖ではイベントが始まり、中ボス戦。敵はなんと 亢金龍 。おっおまえ敵かよ!(原作では二十八宿・星官のひとり、天兵でもちろん味方として出てくる)という驚きは、やがてふつふつとした怒りに変わった。

真っ白でキレイな亢金龍…が対戦相手としては怒りMAX

攻撃が!!! 届かない!!!! 巫山戯んな!!!!!(激怒)

まあ、その、2章分鍛えられたとはいえ所詮は超のつくへっぽこプレイヤーなのでこうした不測の事態には当然対応できるわけがない。ぼっこぼこにやられまくりかなりの時間を無駄にしてからようやく「ダメだ、やっぱ詳細な攻略系の動画確認しよう」となり、素晴らしい先人たちの戦歴を漁った。一番共感したのは10回以上リトライし続けた後に(私と似たような愚痴を漏らしながら)辛勝した方の動画。これなら私も同様の対策でできそう、と攻略法を覚え、ゲームに戻ってリトライ。
とはいえ、へっぽこなので攻略法が判ってもなかなか実行に活かせず、結局その後も大分長いことリトライし、手が痺れてもうダメかもという頃になってやっと勝った。億兆へっぽこ!
その後はイベント発生→エリアが切り替わり美しい雪景色から一転、気持ち悪い地下世界みたいなとこになり周囲も亡者だらけ、牢屋の中から始まる。牢から出るとすぐに切り立った崖っぷち。うへえ、と身の毛がよだつ。

事前に聞いていたのは「3章からは「落下死」が加わる」ということ。
ああ…これ落ちたら死ぬなあ…とゲーム画面なのに足下ぞくぞくしてきて、もうほんとにびびりの私は戦闘より落下死が怖かった。そしてびびりすぎてあり得ないほど落ち、あるいは突き飛ばされて落とされ死んだwww

そうっと歩いてると敵の飛び道具にふっとばされ必ず落ちる仕様ww 走れ!!

とはいえ、むかつく吹っ飛ばし敵妖怪を四苦八苦して倒した後はどうにか走り抜けられるようになる。慣れってすごい。
この辺りは実は取り逃しもある(中ボス倒しちゃったので出現しなくなったヤツとか)が、真エンディングにたどり着く要素とは関係ないので諦め、攻略サイトを確認しつつじわじわと進める。その後のストーリー上必須中ボスはやや苦戦したものの打ち倒し、気持ち悪いエリア「浮屠界」の地下層を脱出、地上に出て雪景色に戻る。そこで冒頭で倒した 赤尻馬猴 がまた待ち構えていてザ、2回戦となる。

以降の展開はストーリー上のネタバレ領域もあるので控え、把握できた中ボスの名前と概要のみ列挙。登場の順番通りではないのであしからず。
また、魂魄は取ったが名前が不明の妖怪、マップから消えたが魂魄もない中級敵もかなり居たがひとまず省略。後で名前わかったら追記しとく^^;
とにかく広大なエリア。おおむねは1本道とはいえ色んなとこに敵が隠れてるし(いきなり空中から降ってきてふっとばされたりするむかつくw)隠しイベントもかなり多い。雪に埋もれた雑木林はたいへん美しいが目印がないので迷子になりやすく、何度も同じ場所巡っては「?」になったりした。

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赤尻馬猴(1回戦・2回戦・3回戦):西遊妖猿伝(諸星大二郎氏のアレ)の通臂公みたい…っつっても通じない人いるか…老いた白髭黒顔のテナガザル、速い。3章クリア後はこいつに変化できるようになる
亢金龍(1回戦):
真っ白な龍 とにかく攻撃当たらない!(怒)
魔将・蓮眼:光背つけたどでかい菩薩スタイルの人型妖怪、レーザービーム打ちまくってくる。ちょっとした隠しエリアにいる。
魔将・妙音:何の妖怪なのわからんwwでかい(つうか中ボス系はたいがい有り得んほどでかい)四つ足の骨組み+頭に金の鈴?カラコロ鳴りそう
魔将・劫波:でかくてキモイ。これも何だかよくわからぬ、がに股二本足で赤い毒液?吐いてくる。
※NPCキャラである「小張太子」が魔将・四将は自分の部下であり、(斃して)救ってほしいと頼んでくるが、残り一名の魔将は戦闘になることなくアイテムとしてのみゲット
亢金星君(2回戦):亢金龍の人間形態バージョン。といっても竜体に戻るときもあるが、滞空時間が初回より大分少ないので幾分楽。ちなこのゲームでは何故か女性!になってる(そういう設定も有りかー!)
辰龍:NPCキャラだが初っぱな戦闘になって倒す必要あり。雷放ってくる厄介な龍頭の道士爺さん、つええ。結構苦労した。倒すとめちゃ文句言ってくるけど特定イベントこなした後は大事なアイテム提供してくれる
不白:アサシンとモンクを足したみたいな速くて怖い坊主(人型)。最初HP半分削ったとこで離脱し、少し進んだ場所で再度2回戦となるのだが2回戦目が祠から遠くて、しかも当然2回戦目のほうが強くて、やり直しに時間かかるのが地味にウザかった。かなりリトライ(定身術より安身術のほうが役に立った)
不空:一見普通の老住職、でも目がこええ。狐に変化(へんげ)した状態で会わないとイベントが始まらないという理由で妙な時間をくってしまった、そして当然倒すのもめっちゃ苦労した
不浄:ふとっちょ坊主。今確認したら月牙鏟ぽいの持ってて、ああなるほど「悟浄」に対応してるからか、って改めて芸の細かさに納得。
不能:…すまん、倒さずラスボス倒しちまった。動画漁ってみたらごつくて耳たぶでっかい坊主。不空、不浄、不能、不白、は大ボス黄眉大王の弟子なので、三蔵法師の弟子である「悟空、悟浄、悟能、白龍」に対応する名となっている、とのこと。
無量蝠:蝙蝠と仏像を足したwwみたいな異様な妖怪。特定イベント発生で出てくる。上空高く逃げる敵はきらいっ!
翠笠武師:ちょいめんどくさい手順のNPCキャラで最終的には対戦する。炎を纏ったフラフープみたいのを投げてくる火属性。攻撃パターンが私には相性良かったようでさほどリトライせずに勝てた(リトライしてないとは言ってないw)こいつを倒すと西瓜畑で某小坊主に、掌に「禁」の字を書いてもらえて「禁字術」という法術が使えるようになるのだ。めっちゃ大事!
海僧:両肩から触手が伸びるキショい妖怪僧(蛸?)。雪玉とか投げてきてうっかりすると凍り付いて麻痺→死ぬ。倒すとこいつに変化でき氷属性の攻撃ができて一部の敵に大変便利。私は寅虎センセーを倒すためにこいつをまず倒しに行った
寅虎(インコ):辰龍のイベントをこなした後に行ける隠しエリアに常駐の武器屋。武器装備強化昇級なんでもござれ(材料が足らんわ!)。

隠れ村の武器屋、寅虎センセーって呼んでる、むっちゃカッコイイ

メニュー画面から読める解説でかつての斉天大聖との逸話が書いてあって地味に萌えたが、…それはさておき
めっちゃくちゃ 強い!!!!!
恥ずかしながら私はセンセーを倒すのに4晩!かかった、もう諦めようかと思ったくらいぼっこぼこにやられた。びっみょーにタイミングずらしつつ連撃してくるので攻撃パターンを熟知してきちんと先読みしないと数回回避を
ミスるだけで簡単に死ねる。本当に死にまくってめっちゃセンセーの仕事の邪魔をしたww
死ぬといってもセンセーへのチャレンジはほんとにただの「挑戦」なので祠に戻ることすらなく、「挑戦終わりーハイ帰った帰った」な感じでHPも元通り目の前で復帰する(なのである意味一番時短ではある)。

あまりに勝てず本気でめげた私は、そうだちょっと気を取り直そうと「初めから」ゲームをやり直してみるという暴挙に出た。
そしたらびっくり、ちゃんと(ちょっと)上達していて、一番最初にちょい強雑魚妖怪で一晩かけたのがまるで嘘のように、序盤の中ボス3匹くらいまではLV.10程度で開始約2時間くらいで倒せた!えらいじゃん私!
よし、やっぱ諦めないで図太くしぶとくまだ頑張ってみよう、あと何十回か負けてもいつか多分勝てると思い直し、結局翌々日wにようやく辛勝。
勝つとこの人に変化して戦える、地味に強くて大変便利。ほんとありがとう勝ててよかった。

黄眉大王:3章ラスボス。広大な伽藍の小雷音寺、その奥にいる(この小雷音寺も荘厳でほれぼれするほど細部が作りこまれてて美しい)。

2回戦目は確定!で2回ダメージ入れてくる(ムービー・台詞付イベント)


こいつも1回戦のあとに、赤尻馬猴(3回戦目)をはさんで2回戦がある。でもって2回戦目のほうがダンチで手強かった。
…とはいえ寅虎センセーに比べれば楽だった! ほんとに!

青背龍:雷属性・龍顔の剣士。3章クリア後にゆっくり倒しに行った。地味に攻撃激強で焦った(迂闊に雷撃くらうと2撃で簡単に死ぬ)がなんとか倒せた。ていうか早速寅虎センセーに変化してがつがつ斬りまくったらとりあえず勝てた。「寅虎センセーに比べればたいしたことない!!」

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なお、ちょっとネタばれ領域だが、大事な要素なので軽く言っとく。
この3章では、途中、猪八戒が一時期サポーターとして戦闘にも参加してくれる(敵が複数居るときはとても心強い)。会話もしてくれるしうっかりダッシュで置いてくと「置いてくんじゃねえ」って怒られたりする。戦闘でダメージくらってHP減るとHPも回復してくれて優しい。ただ回復モーションが鼻水飛ばしてるっぽく見えるんだが気のせい?ww
ちょっと合流したらすぐ別行動になるんで実質一緒にいるのはほんの少しなんだけど、果てしない雪道を八戒と一緒にざくざく進むのなかなか楽しかった、多謝多謝、八戒!
ちな4章始まってからも冒頭は八戒一緒♥だったがあっちゅー間に別行動になった(まったくもー)。なのでそのあとどうなるか、は4章でまた確認することにして…。

さて、ハイ!!
ではここから、原典西遊記の小雷音寺の回(第65回~66回)の解説。

数行でまとめると、この話は

三蔵が悟空の忠告を聞かず妖怪の棲み処に自ら飛び込み全員捕まり、悟空はお宝に閉じ込められたが何とか抜け出し、天地に救援を求めて妖怪を攻めるも返り討ちに遭い逃げる、を何度も繰り返し、最後は弥勒仏が出てきて妖怪を下す(妖怪の手ごわいお宝は弥勒の持ち物でした~!)

という話なんだが、そのなんだかんだが超ど定番とはいえお愉しみの本領であろうと思うので今回は少し細かめに解説をば。

とある山中を行く一行。立派な楼閣の一部を森の陰に垣間見た三蔵は、あれは何だろうと言い出す。
孫悟空がそれを見て「雷音寺によく似たお寺ですね。けどあんまりいい気配じゃないので入っちゃダメです」と答えると、三蔵は悟空の忠告のほうはてんで聞かず「えっ雷音寺?じゃあ霊山についたということでは?」とそわそわしだしてしまった。
悟空は慌てて「ほんとの雷音寺への道はよく知ってるから絶対ここじゃないです、違いますってば!」と言うも三蔵はもう止まらず「ここまではるばるやってきた私の気持ちに水をさすな」と文句を言う始末。残りのメンツも「行ってみりゃわかるだろ」というので仕方なく実際に行ってみる。
たどり着くとそこはたいそう立派なお寺で、山門にはたしかに「雷音寺」と書いてある。三蔵はあわてて馬から降り、悟空に「ろくでなしのサルめ!私をだまそうとしたな!ここが雷音寺で合っているじゃないか」と怒りながらその場にひれ伏した。
怒られた悟空は冷笑し「一文字多いですよ、ちゃんと読んでください、ここは「小雷音寺」ですって、ぜんぜん違います」と返す。なるほど、よく読めば「小」が雷音寺の上に一文字。
三蔵が「小だろうが立派な寺には違いないし仏祖がおられるかもしれない、きちんと拝謁していかねば」とまだ譲らないので、悟空も反論。
「だからさっきも言ったでしょ、この場所ものすごく不吉な気配がするからぜったい入っちゃダメです!もし変なことになっても知りませんからね!」
三蔵「たとえ御仏がおわさずとも仏像は有るだろう、もし何かあってもおまえを恨んだりはしないよ」
すると山門の奥から「唐僧よ、わが御仏に拝しに参ったならぐずぐずするでない!」と声がかかったので悟空以外の面々は皆頭を下げて入っていき、悟空もそれに続いて嫌々足を踏み入れた。
中にはずらりとたくさんの羅漢や菩薩たちが並んでおり、三蔵やおとうとたちは圧倒されてしまった。奥へと進みながらいちいち丁寧に拝んでいくが、悟空だけはしらっと立ったまま。すると「こらっ孫悟空!なぜ貴様は拝まぬのか」と声が降ってきたので悟空は蓮台に座す者をじっと確認、やっぱり妖だと見定めると「うるせえ、よりによって如来さまを騙るたぁ、くそ妖怪!そこを動くなよ!」と叫び棒を振りかぶった、そのとき。
がっちゃーん!とすごい音と共にばかでかい金の鐃鉢(にょうはち※円盤型のシンバル、打楽器)が上から降ってきて悟空をその中に閉じ込めた!

ゲームでも出てたね、ばかでかいシンバル

慌てたのは残った三蔵、八戒、悟浄。気づけば周りは妖怪だらけで、あっという間に捕まってしまう。三蔵はそこで、やっとここは妖怪の棲処で悟空の言葉のほうが正しかったと後悔する…。
蓮台に座っていた仏の正体はもちろん妖怪の王。居並ぶ羅漢や菩薩たちもぜんぶ妖怪で、捕まえた3人は縄でグル巻きにして奥の牢屋へ連行。悟空は繞鉢の間に挟み込んで宝台の上に設置。3日3晩待つと宝具の力で中の悟空は溶けてしまうのだ。悟空さえ消してしまえばあとはゆっくり3人を蒸籠で蒸して食べちゃうぞ、という妖王の計画であった。

一方、鐃鉢の中の悟空は必死に法術を行使し抜け出そうとするが悉く失敗。鐃鉢はとにかくびったり悟空を閉じ込めていて身動きもままならない。
焦った悟空、咄嗟にすべての諸神を呼び出す呪文を唱えると、呼び出しに応じて六丁六甲神、五方羯諦、十八伽藍神が鐃鉢のまわりにわらわら集合し、呼びつけた当人に文句を垂れた。
「困りますよ孫大聖、私たちは三蔵法師の護衛をしてるのに、なんだっていきなり呼びつけるんですか?」
(※この場合の護衛とは、妖怪に捕まっても即座にけがをしたり殺されたりしないようにささやかな守護を与えることのみで諸神たちが勝手に妖怪を撃退したり防衛したりは「できない」のだ)
鐃鉢の中で悟空は逆ギレ。「あの師匠はおれさまの忠告を聞かなかったんだから殺されてもともとだろうが!それよりまずおれさまをここから出してくれ!こん中ときたら暗いし狭いし暑いし息が詰まって死にそうなんだよ!」
諸神たちは鐃鉢を外側から色々探るが、手に負えないとわかると羯諦のひとりを天宮に送り救援を要請。玉帝陛下も了承し即座に二十八宿の星官たちを派遣してくれた。
そうして到着した星官のひとり「亢金龍」が、自身の角を無理やりお宝の隙間に突き刺すことができた。悟空は亢金龍に「おまえ、痛いのをちょっと我慢してくれ」と言ってその角に小さな穴をあけ、その穴の中に悟空も超小さくなって潜り込む。その角を力一杯引っこ抜くことで悟空はやっと外に出ることに成功。
ところが悟空、怒り心頭で飛び出るなり元の大きさに戻って金箍棒で鐃鉢をガーンと一発、すさまじい音がして鐃鉢は粉々に砕けてしまう。そして当然その音で妖怪たちも事態に気がつき、たくさんの妖怪たちと、いっぱい呼びつけた諸神・星官たちのすさまじい大合戦となる。
妖王は黄眉大王と名乗った。悟空のことを知っていて、三蔵一行をおびき寄せるためにわざわざ小雷音寺を用意したのだと。もし悟空が勝てば見逃してやるが、負ければ全員ぶち殺してかわりにわしが西天に取経に行き中華に証果をもたらしてやろう、などと嘯く。
悟空はせせら笑い、じゃあおれさまの棒をちょうだいしろ!と迎えて妖王と打ち合いになった。だがこの黄眉大王かなり強く、五十合あまりもやりあっても全く黒白がつかない。一方周りでは星官や諸神たちが手下たち相手に割合押し気味…だったのだが、それを見ていた妖王が悟空相手に防戦しつつ腰にあった木綿のだん袋をほどいて上にさっと放り投げた!
なんと、袋は悟空を始めとし、その場にいたすべての天兵や諸神たちを全員あっという間に吸い込んでしまったのだ!
勝負は一瞬でつき、黄眉大王は袋をかついで凱旋、手下どもも喝采、一同寺に引き上げた。大王は袋に手を突っ込みひとりひとりつかみ出してはぎゅうぎゅうに縄で縛り上げ、全員を奥の間に放り込む。そのあと勝利の宴で丸一日、夜が更けるまで手下どもと酔いしれた。

夜中、妖怪たちがやっと寝静まった頃、縛られたままの悟空が耳を澄ますと師匠・三蔵がしくしく泣きながら鐃鉢に閉じ込められた悟空のことを心配する独り言を言っているのに気がついてちょっとだけほろり。
一応おれさまを思う気持ちはあるんだな…、まあ助けてやらにゃならんよなと気持ちを改め、敵が寝静まった今がチャンス!とばかりあっさり縄抜けして師匠のもとへ駆けつける。
三蔵びっくりしつつ色々尋ねると悟空は今までのことを説明。三蔵はすかさず「これからは何でもおまえの言うことを聞くから助けておくれ」と頼む。(フフフ…もちろんこの西遊記の中で彼は何度もこう言うのだが、ほとぼり冷めるとやっぱり悟空の言うことはきかないんだー)
悟空はまず師父の縄をほどき続いておとうとたちの縄もほどき、星官や諸神たち全員の縄も解いてゾロゾロと寺から外へ脱出。が、途中で荷物を置いてきたことに気づき悟空だけが戻る。他の者は外で待機することにして悟空は蝙蝠に化けて辺りを捜索、目指す大事な荷物をみつけた。と…そこまでは良かったが、かつぎ紐がちゃんとしてなかったのでかついで歩き始めた途端に荷物が解け、派手な音を立ててがっちゃーん!とばかり中身を床にぶちまけてしまった!
妖王がそのそばで寝ていたのだが即座に目を覚まし「誰かいるぞ!」と叫んで手下どもを全員起こし、灯りもつけて大騒ぎ。当然牢屋にいた面々が全員いなくなっている訳で、とっ捕まえろ!となる。
そこからまた、たくさんの妖怪と大勢の諸神たちとで大合戦。勝負はつかずほぼ丸一日戦い続けたが、もう日が落ちようという頃になって妖王が子分たちに合図の呼び子笛を吹き、腰の袋を取り出した。やべえ!とそれに気がついたのは悟空だけ。皆に「危ないぞ、逃げろ!」と叫ぶや天高く遙か上空まで飛び上がったが、他の者たちは何がなんだか判らないうちにまたも袋の中にぜーんぶ吸い込まれてしまった。
妖王はご機嫌で袋を担ぎ寺に戻り、またもひとりひとりつかみ出しては縄で縛る。三蔵たちは梁につるし、天兵たちは穴蔵に放り込んで蓋をした。

残った悟空、妖兵たちが旗をたたんで寺へ帰っていくのを遠目に確認してから雲を下ろしため息。しばらくしょげていたものの何とか気を取り直し、さあ次はどこへ救援を求めよう、二十八宿の星たちもまるごと捕らえられた今は下手に天庭に増援は求められないしなあ、と考えた挙げ句、武当山の北方真武、蕩魔(真武)天尊に助けを求めることにし、遠く武当山まで一日ちかく雲を飛ばした。
天尊は、玉帝陛下の命もなく勝手に自分が出陣するのは許されないが、手助けならということで亀、蛇、五大神龍の天将を貸してくれる。

行って帰って約二日。妖王がのんびり寺の中で「あのサルは今度はどこへ助けを呼びにいったかな?」と噂していたらちょうど手下がご注進。「孫悟空が亀やら蛇やら龍やらを連れて入り口でわめいてます」
黄眉大王が出ていき、天将たちに「おまえらはどこの奴らだ!わしの仙境を荒らしおって!」と怒鳴りつけると天将たちも負けずに「貴様を召し捕りに参った!」と名乗りを上げ、さあ大合戦、となる。
が、戦い始めて半刻ほど経った頃、妖王はまたも腰の袋を手に取った。悟空だけがそれに気づき、「皆の者、気をつけられよ!」と叫んで忠告するが、何に気をつけるのか天将たちは判らず、悟空だけが天高くはるか上空まで飛び上がって逃げ延びたが、残りは全員あっという間に袋の中。
悟空はまたまた1人で敗走し、しょぼくれた。(孫さま!袋のことちゃんと事前に説明しとけよ!!とはいいっこなしww)

もう何日も不眠不休で動いている悟空、しょぼくれながらも、さすがに疲れ果ててうつらうつらしていると目の前に日値功曹が現れて叱咤激励。
「大聖!寝てはいけません!師匠の命はもうあといくばくもありませんよ!さあ早く、救援を求めて!」
悟空はびっくりして飛び起き、相手が日値功曹と判るとぶち切れて「このへなちょこ神め!どこでお供え物かっくらってたんだか知らんが今頃のこのこ来やがって!気晴らしにぶったたいてやる!」と怒鳴りつける。功曹あわてて「てまえどもは観音菩薩さまのお言いつけで唐僧をお守りするのがお役目です、サボってた訳じゃありません!」と平身低頭。悟空も殴るのはやめて「お役目をサボってたんじゃないなら捕まってるみんなの様子を教えてくれ」と頼むと日値功曹は、三蔵や八戒、悟浄は梁につるされ、星たちは穴蔵に放り込まれて蓋されていること、ついさきほどそこに亀や蛇や神龍たちも放り込まれたので、ははあ大聖が連れてきた増援だなと思って、それで大聖の様子を見に来たのですよ、と説明する。
日値功曹「ともかく早く、別の救援を呼んでください」と言うと悟空ははらはら泣き出して「おれさまはもう天宮にも海底にも顔向けできないよ。観音に訳を聞かれるのもイヤだし如来を拝するのも辛い。ついさっき放り込まれたっていう龍やら亀やら蛇やらは真武天尊の身内なんだ、もう救援を頼めるとこなんてない…どうしよう…」
日値功曹はそんな悟空を励まし、今思いついたんですが、と盱眙(くい)山の国師王菩薩を訪ねるように言った。悟空はうなずき、すぐに雲を飛ばして盱眙山の蠙(ひん)城を目指す。一日近く飛んでたどり着くと、国師王菩薩は悟空がやってくることを予め承知していて、弟子の小張太子を門の外まで迎えにやってくれた。
事情を聞いた国師王菩薩は、しかし自分自身は行きたくとも先頃平定したばかりの淮河の水怪が、増水時期にはまた暴れる可能性があって離れられないから、とて、弟子の小張太子と配下の四神将を貸してくれた。悟空は彼らと急ぎ戻る。

あっそういえばこの辺りちょうど漫画にしたなあ、ってことでpixivのリンクも張っておく。(別の話も混じってるけどまあ気にせず!)うちの孫悟空はしっぽついてるカワイイ少年なのでイメージ違いすぎ!って怒る方もいらっしゃるだろうが、気にすんな!これがうちの孫悟空だ!(開き直る)


さて前回と同じように黄眉大王、部下のご注進で悟空が増援を連れ戻ってきたことを知って武器を携え出陣。
「今度はどこのどいつだ!?」と大王が問えば小張太子が自らの来歴を丁寧に語るが(※父は沙国王、元は病弱だったが師を得て不老長生となり、王位は捨てたが民のために浮屠塔を建て…など)、妖王は笑い飛ばし、バカにされた太子は怒って楮白槍を振りかざし部下の四将とともに打ちかかる。
黄眉大王はほんとに強くて、自慢の狼牙棒で攻めるも防ぐも自在、といった具合、しかもまたもや腰の袋をほどいて手に持った!
悟空、咄嗟に「皆の者、気をつけられよ!!」と叫んだが、やっぱり何のことやら判らない太子たちはあっという間に袋の中へ。悟空だけは急ぎ天高く飛び上がって難を逃れたが。(だからーー孫さま何でそんな大事なお宝の詳細をあらかじめ説明しとかないのおーーー??)

悟空、しばらくは雲の上で立って下の様子をうかがっていたが、やがて妖怪たちが去って行くのを見てから雲を下ろした。心底疲れ果て、万策つきてさめざめと泣き出す。
そうしてしばらく泣いていると、西南の方角に美しい瑞雲が降りてきて、辺りには妙なる香りの雨が降り出した。そして悟空へ優しく呼びかける声。
「悟空、わたしがわかるか?」
目の前には弥勒仏。悟空は地面に手をつき丁寧に礼拝した。「東来の仏祖さま、どちらへお出ましで? お通りとも知らず失礼いたしました」
弥勒は言う。「わたしがここに来たのは小雷音寺の妖怪のためじゃよ」
悟空はっとして「それはかたじけなく存じます」と礼を述べ、「ところでお伺いしますが」と手強いあんちくしょうの妖怪や持っているお宝について尋ねてみた。するとなんとあの妖王、弥勒仏の磬※を司る「黄眉童児」なる者で留守番をさせた際に弥勒の宝を盗み抜け出して人界に降り、仏になりすまして妖怪になったのだという。
厄介なあの袋は弥勒の「後天※袋」、ご自慢の武器である狼牙棒は、磬をたたく鎚なのだそうだ。

※磬:への字の形の、仏具(打楽器)。参考リンク↓

後天=明後日という意味の中国語。未来袋、とでも訳すのかな?

悟空は、そこまで聞いて急に態度が図太くなった。なにしろそもそもの原因が目の前の弥勒仏の童児だというのだ。
「こりゃあっぱれなお笑い和尚さんですね!!どんだけ苦労させられたと思ってんです??罪は免れませんぜ!」
弥勒は平然と答えた。「わたしの落ち度ではあるが、そなたたちの受難はまだ済んでおらぬ。まだこれからもたくさんの神が下界に下ってそなたたちに災難を与えねばならんのだ」…要するに全部如来さまの采配で、わざと災難は与えられているよ、ということ。
弥勒が「さあ、では妖怪を取り押さえにいこう」というと、悟空も切り替えて「やつは神通広大ですぜ、あなたは武器もなしでどうやってやつを捕まえるんです?」と問えば、弥勒はにこにこしながら策略を説明した。
「山の下に草庵を作り、瓜畑を作る。そなたは妖怪をうまくそこまでおびき寄せたら、熟した瓜の一つに化けるんじゃ。妖怪は必ず瓜を欲しがる。わたしがそなたの化けた瓜を妖怪に渡すから、やつの腹の中に潜って好きに暴れるがいい。その隙に袋を取り返し、その袋に妖怪を入れて帰るとしよう」
弥勒は、妖怪が悟空のあとを間違いなくおいかけてくるように、悟空に特別な術を伝授。指につばをつけ、悟空の掌に「禁」の文字を書いてやりげんこつを握らせた。やつの目の前でそのげんこつを開けば必ず後をついてくる、というのだ。
よし、と悟空、げんこつをしっかり握ったまま妖王へ再度、挑みに行った。

悟空が山門の前まできて「やいやい孫おじいさまがお出ましだぞ!さっさと出てこい!」と怒鳴りつけると部下たちが王へご注進。
妖王、今度は何を連れてきた?と問えば誰もいない、ひとりだけですと言うので「いよいよどこにも頼むツテが無くなったな」と笑いながら出陣。
「孫悟空め、今度という今度は万策つきて終わりだな!」とバカにするも、悟空はへっちゃらで、片手だけで棒を持ち挑む。妖王は、悟空が片手しか使わないことにすぐ気づいたが、悟空が「てめえ相手に両手を使ったら、あの袋を使わない限りてめえの手が4、5本あってももちこたえられんだろ?」とバカにし返した。妖王、「じゃあわしもあの宝は使わず、貴様と雌雄を決してやろうじゃないか」と真面目に正面から突っ込んできた。
すかさず悟空はげんこつを目の前でぱっと開く。それから棒を両手で持ち直し振りかざすも、大王は禁の文字の霊力に当たってしまい、袋を使う気配もなく後ろにも下がらず、ただひたすら悟空を追うようになった。
悟空は、わざと棒を空振りさせるとあとはささっと逃走。瓜畑に向かって逃げ、すばやく姿をくらますや、瓜にばけて畑の中に転がり込んだ。
大王、瓜畑までたどり着くとそばの草庵に行き、「この瓜は誰が植えた」と大声で呼ばわった。弥勒の化けた農夫が出てきて「てまえが植えました」と答えると「熟れたのをくれ、喉がかわいた」と言うので「はいはい」と、悟空が化けた大きな瓜をつかんで妖怪に差し出す。
あーんとひとくちで食べようとしたところで喉から飛び込み腹の中に入った悟空、妖怪の腹のなかで跳んだりはねたりひっぱったりけったりと大騒ぎ。
策略通りである。
(ちなみに悟空はこれ以外にも何度も、手強い妖怪の腹の中に潜り込んで勝ちを収めるという方法を使っている。ばっちいなーもー…と思ってしまうのは日本人の感性なんだろうか…)
妖怪が悲鳴をあげ助けを求めると、弥勒が正体を現じて妖怪に話しかけた。
相手が弥勒、すなわちご主人様とわかった妖怪、腹をさすりながらひたすら叩頭し許しを乞う。弥勒は腹の中の悟空に「もう許しておやり」と声をかけたが悟空としてはそれっぽっちで許せるはずもなく、結局妖怪が痛みで地面にばたりと倒れるまで暴れ続けた。
そのあと妖怪に口をあけさせ、ぴょいと出てくる悟空。妖怪はといえば、口ではごめんなさい言ってもまだ諦めておらず武器を握り反撃する気満々だったし、悟空は悟空で問答無用で棒でたたき殺そうと構えていたのだが、どっちも空振りに終わった。一瞬で弥勒が袋の中へ妖怪を収納してしまったのだ。妖怪の手にあった武器は磬をたたく鎚に戻り、弥勒が掴んでいた。
弥勒は袋の中の妖怪に問う。「おまえが盗んだ金の繞鉢はどこにある?」
妖怪「繞鉢は孫悟空にたたき壊されました」
弥勒「壊されてもかけらは残っているだろう、どこだ?」
妖怪「仏殿の宝台の上です」
弥勒は悟空に案内を頼んだ。悟空は手強い妖怪が目の前であっという間に収服されたことに感心し、喜んで先に立つ。ぴたりと閉まった山門も弥勒が手を触れただけであっさり開き、手下の妖怪たちは逃げ支度をしていたところだったが悟空が片端からぶち殺していき、やがてすっかり片付いた。
仏殿の宝台まで来ると弥勒は繞鉢のかけらを拾い集めて積み上げた。ふっと息をかけるとみるみる元通りに。それを満足そうに回収し、袋を携えた弥勒は悟空に別れをつげ、すぐに去った。
あとは捕まっていた面々の解放。最初に師父とおとうとたちを解放すると八戒が猛烈な勢いでご飯を漁りだし、悟空が長い長いなりゆきを説明する間に残りのメンツも食事を済ませる。(まずご飯!!ご飯だいじ!ていうか妖怪たちの残りご飯なんだが、精進料理なの?大丈夫?)そのあと地下の穴蔵に放り込まれていた天兵や増援の神将たちを順番に助け出し、三蔵はひとりひとりに礼拝し、更に順番にそれぞれの地へ悟空が送り届ける。
疲れ果てていた一行は、そのあと半日ほどもカラになった妖怪の根城で休憩したあと出発の間際、寺に火をつけた。灰燼に帰す小雷音寺。(※根城を遺しておくとまた別の妖怪が住処にするからという理由で大概こうして最後は火を放つ)
後顧の憂いもなくなり再び西へと旅立つ三蔵一行。いったいいつになったら本物の大雷音寺へつくのだろうか…。

てところでこの話はおしまい!
うーん省略できるところはかなり省略したんだがそれでも長い!ごめん!長過ぎた!(だってどうしても省略したくないおもろかしい台詞とか…私情入りまくりww)

次のゲーム4章は、虫が苦手なひとには多分めっちゃ難しい(リアルでキモい虫だらけ!!)蜘蛛妖怪&ムカデ妖怪の回、「盤糸洞」。

以降は大分ペース落ちます。さすがにゲームばっかやってられなくなってきたのでほんの少しの合間でちょっとずつ進める予定。また次の回noteが更新できますように!ではー。





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