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夏と撮る楽しみを思い出させてくれたZfcと

 バッグからカメラを取り出して、キャップを外したら電源を入れる。それからファインダーかモニターを覗き込んで、ようやくシャッターを切る。カメラを普段から持ち歩いていたところで、首からぶら下げていない限りは毎回これだけの動作が発生してしまい、その度にやれやれと嘆くのだ。

 だったら常日頃からストラップを付けてぶら下げておけばいいんだけども、職業カメラマンならまだしも、趣味で撮るだけのサラリーマンではなかなかに難易度が高い。いつ誰と遭遇するかも分からないのである。

「あらこんにちは」
「こんにちは」
「カメラなんて持ってどうしたんですか」
「ちょっと写真が撮りたくて」
「そうですか。頑張ってください」

 こんな会話で済めばいいのだけれど、現実はそう甘くもない。お昼休みという限られた時間でカメラを首からぶら下げる男。変人だと思われても仕方ない。変人であることを否定するつもりは毛頭ないが、これ以上変な人物だと思われてしまうのも困る。ストレスで頭の毛が減ってしまう。

 そんなこんなで仕方なくバッグにカメラを潜ませておき、良い被写体を見つけるなり素早くカメラを構える。しかしここで冒頭の問題が発生する。都合よく被写体と出会ったとて、構える前の段階でも時間が過ぎていく。鳥は飛び、魚は潜り、一筋の影は大きな影に飲み込まれて消え去る。

 毎日カメラを持っているといっても、そうそうシャッターチャンスに恵まれるとも限らない。一枚も撮らない日だってよくある。そんな日はバッグを重くするだけで、とても残念な気持ちになる。カメラなんて防湿庫に戻しておけばいいと感じる。しかし、ついバッグに入れてしまうのだ。

博多皿うどん(ホウテン食堂 奉天本家)

  夏を迎えてからというもの、暑いせいで外をふらふら歩き回る気力もなく、昼休みにどこかで撮影をしようと思う回数も減っていた。ところがここ最近は撮る機会が増えている。それは何故かといえば、単にランチを撮りやすくなったからだろう。

 フルサイズが出ているというのに、よりコンパクトでついでにニコンのAPS-Cセンサーを補完するという理由で買ったZfc。これがスナップから料理写真まで非常に撮りやすく、何よりもお昼時の時間帯に取り出しても目立たないコンパクトな佇まいが実に良い。

 カメラ趣味のない人からすれば十分大きなカメラなのかもしれない。それでも所有しているD780やG9 PROよりは目立たず、fp Lよりも寄れる(寄れるレンズを買えばいいというツッコミは禁止しておく)。涼しくなるまではランチを撮るという楽しみが出来たのである。

 とはいえ元々よくわからない着眼点と凡人的発想によるスナップがメインだったせいで、料理写真はよくわからない。食べるのは好きだから、とりあえず自分がそれを見て、「これ食べたい!」と思えたら正解なんだと思うことにしている。写真なんてそんなものでいいのだ。

 ああ、夏の間に料理写真が上達するといいなあ。

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