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春を感じるヒサカキの匂い
「春を感じる匂いはなんですか?」
そう、聞かれたら私はいつも迷わず答えます。
ヒサカキの匂い、と。
そんな話をすることなんて滅多にないでしょう、と思われるかもしれませんが自然の活動をしていると、そういう話もたまにあるわけで。
せっかくなので、ヒサカキとの出会いを振り返ってみようと思います。
ヒサカキの匂いをnoteでは伝えられないもどかしさ。そんなものも心の隅におきながら、扉を開いてみたいと思います。
さてヒサカキの匂いの思い出は、大学生のころ。駅から、山の斜面を削って作った大学までの長く緩やかな坂道を歩きながら、春の湿った空気のなかに、むわっと漂ってくる匂いが、このヒサカキの匂いでした。この匂いがしてくると、土の中から生き物たちがごそごそと出てくるような気配を感じたものです。そう、時は啓蟄(けいちつ)。※二十四節気
はっきりと認識したのはこのころが初めてかもしれません。でも、山や海に囲まれた子ども時代。たぶんあちこちで匂っていたような気もします。
大学生の当時は、この匂いがヒサカキの匂いだとは知りませんでした。なので、この匂いは、「生き物が土から出てくるときの匂い」だとずっと思っていました(笑)
では、どこでヒサカキの匂いだと知ったのか?舞台は、生まれ育った大分から、はるか遠く、海を越えて、遠く離れた西表島。
2014年1月に、沢登りのために西表島に行きました。本来の目的では沢登りだったのですが、到着時の気温がなんと20℃以下!さすがに寒く沢登りは断念し、西表島縦断トレッキングに変更に。工程は確か山中に1泊2日、全体で2泊3日の予定だったと思います。
河口から、船でずんずんと上流へ。川岸には見ることがない植物。カンムリワシがいないかと、空を仰ぎ見るものの、肉眼では不可(笑)ワクワク感を胸に、遺跡のような船着き場に到着しました。
大分とは違う、瑞々しいジャングルな感じ。しめっぽくて、植物の勢いが圧倒的で、覆いかぶさってくるような存在感。新鮮な体験でした。
道中、少し開けた滝のある大きな岩の上で休憩をとったとき、ふっと鼻の奥をくすぐる、懐かしい匂いがしてくるではありませんか。きっと自然の中で嗅覚も研ぎ澄まされていたんだと思います。そのまま、匂いのもとをふんふんと、まるで犬の気分で辿り、やっとのことで(大袈裟)、この春の匂いのあなたを見つけることができたのでした。
当時の写真が見つけられず、たくさんの思い出は記憶の片隅に辛うじて残っている程度ですが、大自然の中にたっぷりと浸って吸い込んだ感覚は今でも心のなかに大切に残っています。
参考に拝借。