江口章子の詩を味わう【追分の心】
郷土の詩人、北原白秋の第2の妻であった江口章子について調べています。江口章子は生涯に2冊の詩集を出版しました。
それが、「女人山居」「追分の心」の2冊です。
今回は「追分の心」を見てみたいと思います。
(リンク先は、豊後高田市立図書館所蔵の初版)
昭和9年9月1日初版発行
平成7年9月1日発刊
著者 江口章子
著作権者 池田幸子
発行者 原達郎
追分【おいわけ】
街道が左右に分かれる所、分かれ道
詩集「追分の心」は、
「朝のざんげ」「追分の心」「片葉の葦」「むらさき」の4つの章で、詩が53編、そして短歌22首がまとめられています。
出版は、昭和9年(1934年)9月1日。章子46歳の時。
出版前月の8月に、章子は蓼科に観音堂を建立しています。「詩集 追分の心」は蓼科の観音堂を完成させる目的で、有料で配布されました。12月には出版記念会を開いたそうです。「追分の心」出版の年には、行方不明だった姪の幸子が章子を訪ねて聚光院で再会する、という章子にとって喜びの出来事がありました。「追分の心」の著作権も池田幸子さんにあると奥付に記載があります。
ちなみに、北原白秋との離婚は、章子が32歳の時。
「女人山居」の出版は章子が40歳の時。
「追分の心」序文を書いた生田春月が亡くなったのが42歳の年の5月でした。詩集の出版は、4年以上の歳月を経た作品だったことがわかります。
ーーーーーーーーーーーーーー参考文献:女人追想
詩集「追分の心」から詩「追分の心」を見てみた記事がこちら。
「追分」という言葉がピンとこなかったのでその由来についても調べてみました。
「むらさき」の章では、2編の詩があり、京都市北区紫野の大徳寺で過ごした章子の心がつづられています。その一つ「むらさき」という詩には
紫の/紫野/むらさきを/るりむらさきの/わが紫の
といった「むらさき」の言葉がちりばめられて、章子の言葉と色の彩りが楽しく味わえます。とはいえ、詩集全体を通して、章子の恋に揺れ動く心、嘆き、郷愁、都会を懐かしむ心などがひしひしと切なく私の心に伝わってきました。
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