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短文バトル第3回目「一番古い記憶」

近所に大きな日本庭園があって、週末は父と出かけていた。ある日、いつものように池のまわりを歩いていると、茂みでうずくまる猫を見つけた。なでようと手を出したら、勢いよく引っかかれた。痛くて、怖かった。

最初の記憶は、「その人が最も嫌悪すること」を表すと聞いたことがある。ドイツの心理学者アドラーも「人生初期の強烈な記憶は、当人の人生観を示している」と主張した。これは私の場合、「不条理な暴力が許せない」となるようだ。真偽はともかく、私は今も猫が怖い。

#短文バトル


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