5番糸原が批判される理由
目を疑うような情報が飛び込んできた。
開幕まであと3日と迫った今朝、糸原健斗が開幕5番を務めることが決定的となったのだ。
しかしこれにファンから批判が相次いでいる。
これがなぜなのか、分析してみようと思う。
大山という存在
もともと、5番打者は大山悠輔が務める予定だった。
大山は20シーズンはHR王争いに絡むなど、ここ数年の阪神打線の軸と言っても過言ではない存在だ。
昨年までは4番を務めていたが、大砲タイプの佐藤輝の台頭により今季は4番を明け渡すことになった。
しかし、大山の残した実績は十分であり、今年もクリーンナップとしての活躍が期待されていたのだ。
その証拠に、オープン戦でも主に5番を打っていた。
大山がホームランで打点を稼ぐタイプの打者なのに対し、糸原はそのお膳立てをするタイプの打者。
糸原自身は長打力には欠けているものの、粘り強いバッティングや小技で走者を進める役割をする打者である。日本がかつて目指していたスモールベースボールを体現したような打者といえよう。
5番打者に求められるもの
5番打者というのは、3番や4番の打者と共に打点を稼ぎ勝負を決める役割を持っている。
しかし、この5番打者の役割に糸原は全くと言っていいほど適していないのだ。
糸原が普段心掛けているのは「走者を進めるバッティング」。仮に初回に5番に打順が回るタイミングで、その役割が発揮される場面はいくつ回ってくるだろうか。ほとんどの場合一死か二死でそれどころではないはずである。打つしかない場面が多くなる。
少なくとも糸原が本来打っていた2番よりはその機会が減ることは間違いないだろう。
逆に大山がこの打順に入ればどうなるだろう。
勝負強いバッティングが持ち味の大山にとって、この仕事はまさに天職といえるのではないだろうか。
現在大山は調子が悪いが、それと同じように糸原もあまり調子が良くないのでこれは考慮に入らない。
やはり5番に糸原が入るのはおかしいのである。
過去にも試した実績があるが…
実は糸原が5番を任されるのは今回が初めてのことではない。
昨年の9月頃、糸原はよく5番に入っていた。
しかし、これはあまり批判が集まらなかった。
なぜなら、本来5番を打っていたサンズ(昨オフ退団)が夏場を迎え絶不調に陥ったからである。
そこで本来4番を打っていた大山を5番に据えようとしたが、その大山も不調だったからである。
よって、そのときの打線でクリーンナップを任せられるのが消去法形式で糸原しかいなかったのだ。
実際にこのときの5番転向はそれなりにはハマった。
おそらく今回の5番糸原を発案した井上一樹ヘッドコーチはこうなる夢でも見ているのであろう。
1人の夢でチームを壊すのも大概にして欲しいものである。