8人目の外国人
打線に若干の不安を抱える阪神。
阪神はここ2年間、助っ人外国人を8人体制にして戦ってきた。他球団もビックリの数である。
一軍外国人枠が5人(特例のため。従来は4人)であることを考えると「外国人の抱えすぎでは?」と捉えられてもおかしくない。
しかし、ここ2年間の阪神の立ち位置は彼らなしには決して成し遂げられなかったものだろう。
2年続けて在籍してきた選手でいえば、ジェフリー・マルテが3番打者として定着し、またジョー・ガンケルは1年目の20年は中継ぎとして、2年目の21年は先発として大車輪の活躍。そして欠かせないのが、在籍した2年間の両方でセーブ王を獲得したロベルト・スアレス。
彼ら以外にも、20年には「ファイアボール」でファンに愛されたジャスティン・ボーアや、中継ぎの穴を度々埋めてきたジョン・エドワーズなど、ファンの記憶に残る多くの助っ人たちが活躍した。
そして、彼らの中でもトップクラスの貢献度を果たしたのが、ジェリー・サンズである。
20年にボーアと共に来日。来日当初の注目度はボーアに比べて劣る部分もあったが、昇格初試合で逆転3ランを放つなどしてスタメンに定着。一時は得点圏打率が5割を超えるなど勝負強さを発揮し、クリーンナップとして阪神打線の屋台骨として支え続けた。
守備でも、範囲こそ広くはなかったものの、球際に強く、幾度もハッスルプレーでチームを鼓舞した。
自身のホームランパフォーマンスとして考案した「ハッピーサンズ」はグッズ化され、また不振に陥った選手の打撃コーチ役も買って出るなど、タイガースファンに愛され続けたが、昨オフに退団となった。
しかし、阪神は"外国人8人制"の継続を公言しているものの、現在タイガースに所属する外国人選手は7人。8人目の外国人を探している状態なのだ。
現在、タイガースが新外国人として求めているのは、外野両翼を守れるクラッチヒッター。
打率はそこそこでも、ある程度長打力があり、また勝負を決めてくれるような打者が必要なのだ。
来日2年目のロハスJr.がこの役割を期待されているが、昨季大不振に終わったことと、今季もオープン戦で未だ本塁打が出ておらず、また調子の波が激しいなど、活躍するのかは保証できない状態だ。
そんな中、とんでもないニュースが舞い込んできた。
なんと、日本でも実績を残していたサンズが、この時期になってまだどのチームにも所属しておらず、アメリカで現役続行を目指しトレーニングを続けているというのだ。
先ほど述べたような選手像にピッタリと当てはまる外国人選手といえば。
ジェリー・サンズ。この男ではないだろうか。
確かに年齢は今年で35歳になるなど少し高齢気味ではあるが、阪神にはもう井上や前川といった外野両翼のレギュラー候補がおり、おそらく彼らが一軍でレギュラーを張れるようになるのもそう遠くない日であろう。あと数年だけ待てばいいのだ。
おそらく彼が40歳になるまでには井上や前川が大成しているはずだ。
そう考えると彼の再獲得もアリではないだろうか。
昨年も前半戦までは打ちまくっていたし、成績だけを見れば、ロハスJr.よりも良かった。
実績も残しているので、仮に再来日してもそれなりに活躍してくれるはずである。
現に、阪神は2016年オフに退団したラファエル・ドリスを翌17年開幕前に再獲得している。その後ドリスがセーブ王を獲得したのは有名な話だ(そのドリスも現在FAなので、本当なら再獲得して欲しいが…)。
このように、再獲得する土壌は全て出来上がっているのだ。あとは球団の今後の動きを見守るのみだ。
もう一度球場でサンズのバッティングを見たい。タイガースファンはただそれだけなのだ。