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ユーラシア大陸横断日記10 中国出国・カザフスタン入国
ユーラシア大陸を西へ西へ、中国の上海からポルトガルのロカ岬まで。
陸路・海路でユーラシア大陸を横断した、ユーラシア大陸横断(2008)の記録です。
ウルムチでカザフスタンビザを取得し、国境を越える国際寝台列車に乗りました。
一夜明けいよいよ中国出国、そしてカザフスタン入国です。
前回の記事はこちらです↓
中国出国
翌朝、うっすらと夜が明ける中を列車が走っていく。
まわりは枯れた草の茶色い草原、建物も何もない景色が延々と続いている。
どこまでも地平線が広がる世界。日本ではなかなかお目にかかれない。
ひたすら続く枯草の草原を駆け抜けて、列車は無事に中国側の国境、『阿拉山口(アラシャンコウ)』に到着した。
ここで中国を出国、ということになるので、当然いろいろとチェックを受ける。
国境の係員らしき人たちが列車に乗り込んできて、1人1人パスポートや持ちものなどなど身のまわりのものもかなりこれがかなり念入りに調べられた。
自分も、ザックの中はもちろんのこと、パソコンの中の画像ファイルまでくまなく確認。
乗客全員のチェックが終わらないと列車は出発できない。
パスポートチェックや持ちもの検査が終わって一安心、車内で待っていると、係員の方が再びやってきて、自分も一緒の女性も列車から降りるようにとの指示が…
えっ…、2人で顔を見合わせ、
「自分たち一体どうなるんだろう…」
とお互いめちゃくちゃ不安なかんじになりながらも、従わないわけにはいかない。
2人とも列車を降ろされ、駅にある建物の方へと誘導される。
行ってみると、ほかにも日本人のグループが列車を降ろされていた。
こちらは東京大学から調査に来た先生方5人。
「こんなところですが初めまして」と謎のあいさつを交わす。まあおおらかな人たちだった。
それぞれ取り調べのようなものを受けたので、お互いの状況は分からない。
自分は、簡単な英語と身振り手振りを交えながら、持っているもの、パソコンの中身、ありとあらゆるものを調べられる。
取り調べをしている男性は50代くらいで色黒で、ただ悪い人ではなさそうで、むしろあまりに自分が不安で困った表情をしているものだからか、
「ごめんな、ちょっと見させてちょうだいな…」
みたいなかんじですごくやさしかった。それがせめてもの救いだった。
おそらく解放されるまで1時間以上はかかったと思う。
陸路で海外の国境を超える、初めての経験はなかなか大変だった。
カザフスタン入国
自分たちを待って列車もずっと停車していたのだけど、ようやくみんな無事に列車に戻り、ほどなくして動き出した。
そこからしばらく走るとカザフスタンに入る。
中国出国の際にさんざん調べてもらったからか、こちらはパスポートをチェックするだけですんなり入国できた。
カザフスタンと中国では鉄道の幅が違うので、入国チェックの後に列車の台車を取り換える作業が入り、ここで時間ができた。
東京大学の先生方が
「降りてもいいみたいですよ~」
と言うので、列車を降り、好奇心のおもむくまま、一緒になって交換作業を眺めていた。
すると、いつの間にか自分たちの列車の交換が終わったのか動き出し、先生方ともども置いて行かれそうになって慌てて列車を追いかけ走ったのはご愛敬。
国境での取り調べよりも、こんなところで置いて行かれる方が気持ち的には焦った 笑
台車の交換も終え、列車は快調にカザフスタンの草原を走っていく。
どこまでも続く枯れた草原。
話を聞くと、今年は雨が少なくて草原の草が枯れてしまったらしい。
本当なら、緑でいっぱいの草原なのだそうだ。
そんな姿も見たかったなと思いつつ、この茶色い草原にも情緒があって好きだった。
やがて地平線に夕日が沈み、しばらかくしてカザフスタンの第2の都市、アルマトイ(アルマトゥ)に到着。
ここで、東京大学の先生方、領事館で一緒だった女性とは別れることになった。それぞれがそれぞれの目的地に向かって進んでいく。
めちゃめちゃ寂しいけれど仕方ない…
そういえばここ最近はずいぶん賑やかだった。
急に寂しくなってきて、これが一期一会なんだなとしばらくのに賑やかだった時間を噛みしめた。
こちらに続きます↓