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なるべく明るい乳がん日記29放射線治療とホルモン療法を始めます!

〜前回のあらすじ〜
あれこれ副作用を抱えながらも抗がん剤4クールをやりきった!
とにかくもうこの頃は何がすごいってバスケが最高だった!!(そっち?)『スラムダンク』の単行本に書かれた夢が叶ったのも泣ける。
今年は多くのスポーツ選手が積み重ねてきたことが最高の形で実現した年になった。何百回見ても感動する場面をリアルタイムでたくさん見られた。治療中だから見る時間が作れたと思うと、これも悪くないかもと思えるような気もしないでもない。(どっち?)

頑張った人には頑張っただけハッピーはやってくる。きっとやって来る。
信じたっていいと私も思うのだ。(  この曲好き)

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【9月中旬】
朝起きて顔を洗う。うがいをすると甘く感じた水から久しぶりにちゃんとした水の味がした。水が水だー!!ようやく味覚が回復してきた。

洗面所の鏡を見る。医療用帽子を取って頭を触る。ん??よーーーく見る。
毛のないところにうっすらと産毛のような毛が生えてきている……!!!
黒くはない。全体的に白い。え?まさかこのまま全白髪?産毛みたいに細いから白いの?なんでもいい。
ちゃんと生えてきたーー!!バンザイ!!!


【抗がん剤4クール終了後の診察日】
朝、顔を洗うと右の眉が剃り込みを入れたみたいに一部どこかへ消えた。
抜けたか……まぁそのうち生えてくるだろう。
1ヶ月以上ぶりの外出。
セルフ長距離運転にて病院へ到着。

採血をして呼ばれるまでひたすら待つ。
お昼前にやっと診察室へ呼ばれた。
主治医の先生に時々咳が出ることを伝えると「レントゲンならすぐ撮れる」と胸部レントゲンを撮ることになった。結果を確認して特に問題はなかったので予定通り放射線治療を始めることになった。
ここでもし胸にカゲがあれば放射線治療を始めることは出来ないんだそう。

放射線治療へは平日毎日通うことになるので、自宅から通いやすい距離にある病院を紹介してもらうことになった。私が行くのはこの病院へ転院する前に行っていた総合病院になる。駐車場が広いので助かる。(←重要)

紹介状やらなんやらは送ってくれるそうなので、あとは総合病院からの連絡を待つだけ。楽だわー。


同時にホルモン療法も始めることになった。
ホルモン療法はホルモン受容体陽性タイプの乳がんに有効な治療方法で、がんのエサとなるエストロゲンを飲み薬でブロックし続けるという治療方法。その服用期間は私の場合10年間になる。10年間がんを兵糧攻め。
最終月経から1年経たないと閉経とはいえないので、どちらの状態でも服用可能なタモキシフェンを使うことになった。

先生に「先発がいいか、ジェネリックでも…どっちがいい?」と聞かれる。センパツがよくわからなかったけど安い方がいいので「ジェネリックで」と答える。院内薬局には先発(商品名ノルバデックス)しか用意がないとのことで院外の薬局で受け取ることになった。


院外薬局へ行くと薬剤師さんからオーソライズドジェネリックをおすすめされた。なんですかそれは?

薬は最初に開発された先発医薬品と、先発医薬品の価格に乗っかっている開発に関連する費用や時間分を取っ払った安価な後発医薬品(ジェネリック)に分けられる。ジェネリックといっても製造会社によって有効成分は同じでも添加物や製造方法に違いのあるものもあるそうで、オーソライズドジェネリックはそれらが先発医薬品と全く同じで価格が抑えられた薬なのだそう。

「お得ですよ。」丁寧な説明の後、薬剤師さんがニヤリと笑った。私もニヤリと笑い返し、タモキシフェン錠DSEPという薬を1ヶ月分入手した。1ヶ月分で1070円。ジェネリックって本当にありがたい。

それから毎日朝ご飯を食べた後タモキシフェンを飲んでいるが、すでに自前の更年期を発動しているので、特にこれといった追加の変化はない。なんかちょっと暑いな〜という波がちょこちょこあるくらいで、更年期の症状自体も私はかなり軽い方だと思う。

抗がん剤の副作用と思われる涙目はなくなった。
髪はほぼ抜けて毛量がミニオンになったがそれも時が経てばうっすらと産毛が輝くようになった。私は生きているのだと実感する。
ちゃんと生えてきたことが嬉しくて毎日鏡を見るたび愛でている。洗面所の明かりに照らされ銀色に輝く産毛。
銀色?黒くなる?これ?
白髪混じりなのは元々そうなのでいいとしても全白髪にはまだ早い。
そのうち黒くなるのだろうか。

髪がなくなってみて発見したことがある。私は耳が動かせるのだ。耳と頭皮がミリ単位だがちょっと動く。おもしろくなってしばらく風呂上がりのたびに動かして遊んでいた。(すぐ飽きたけど)


ある日、抗がん剤の時にお世話になった薬が余ったので片付けようと自宅の薬箱を出した。ついでに中身を整頓しようと全部出して見ると、そこに見慣れたいつもの病院の薬袋が入っていた。処方された日は全摘手術の2日後。中にはプリンペランという吐き気止め。吐き気止め??

全然記憶にない!ここに入れた記憶もない。でも私しか入れる人はいない。え?どういうこと?なんで飲んでないの?っていうか入院してた時この薬病室にあった?え、でも2錠飲んでる。いつ飲んだ?全然わからん。


………とりあえず薬を袋に戻し、そっと薬箱の蓋を閉じたのだった。

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