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【O-MENZ阿形生誕企画】「末っ子あぎょたん」の特権〜阿形はキュアマリンである〜

12月20日はO-MENZのメンバー、阿形(あぎょう)の誕生日である。今回はバースデー企画として、O-MENZの中での阿形の「末っ子性」に迫る。

あ ぎ ょ た ん でーーーーーーす!!!!


※「O-MENZ(オーメンズ)」とは、プロのストリートダンサー達がお面をかぶり素性を隠して活動する「謎のお面ダンステロリスト集団」である。詳しくは以下を参照。


O-MENZにおける阿形のキャラクター性

O-MENZのメンバーは般若、おかめ、隈取、狐、阿形の5名。阿形はこのメンバーの中で最年少だ。メンバーの中でもかなりいかついお面をつけているが、口を開くと「どーもー!阿形でーす!」と甲高い声が飛び出してくる親しみやすい人物である。
年下キャラにもいろいろあるが、阿形は悪ガキ系だ。メンバーがちょっと噛めばすかさずツッコみ、悪ふざけすれば止まることを知らずリーダー般若を手こずらせ、下ネタに大喜びする。

(おかめに「『ピー』入れるのめんどくさいんだからね」と言われた阿形が嬉々として際どいワードを連発する様子)

最年少とはいえ、隈取とは同級生という話なのでほかのメンバーと大きく歳が離れているわけではない。こうした自由奔放なキャラクターは、おそらくもともと持ち合わせているものなのだろう。

隈取・狐との比較

ちなみにO-MENZはメンバーチェンジを経て現在の5名で活動しているが、阿形は2020年の結成当初からのオリジナルメンバーである。

https://twitter.com/o_menz_official/status/1318353475290370048

https://twitter.com/o_menz_official/status/1474273833050075139

オリジナルメンバーから烏天狗が卒業し、隈取と狐が2代目となったのが現在の5名だ。この5名をキャラクター性という観点で見てみると、

  • オリジナルメンバー(般若、おかめ、阿形)は素に近い

  • 途中加入メンバー(隈取、狐)はキャラを作り込んでいる

という分類ができる。このうち阿形は、当初は現在よりもややハイテンションなキャラクターを作っていたが、今は比較的素に近いと思われる。加入後アニメ的なキャラクター性が強調されていった隈取・狐と対照的だ。

この2人と比較して感じるのは、「阿形にはこのキャラクター以外は演じられないだろう」ということだ。隈取はオラオラ俺様系キャラ、狐は敬語紳士キャラを与えられているが、これは明らかに素のキャラではない。それでも2人はそのキャラクター像を自分なりに解釈し、2年かけて「ここで『隈取』ならこう返す」「『狐』はこう言わない」というところまで昇華してきた。

しかし、阿形はそれに対して異常なハイテンションキャラを脱ぎ捨て、よりナチュラルな現在のキャラクター像に落ち着いた。その理由は、良くも悪くも隈取や狐より真面目ではないからなのではないかと思っている。現に、配信で後から登場した狐に「来た、敬語(笑)」などとキャラクターの徹底ぶりを茶化すような言葉を掛けている様子が見られた。

実を言うと、こうした阿形のナチュラルな悪ガキキャラを、筆者はO-MENZにハマった当初やや疎ましく感じていた。しかし、5名で一緒にいる様子を見れば見るほど「今、阿形がツッコんでくれて良かった」「今、阿形が空気変えたな」という瞬間ばかりで、彼がO-MENZになくてはならない存在だと気づかされることになる。現在の5名のバランス感は、阿形なくしてはあり得ないのだ。

それではここからは、ほかのメンバーにはない阿形だけが持つ「末っ子性」について検証していく。

阿形の末っ子性①抜けがけムーブ

阿形は、ダンス中もそうではない時も、ほかのメンバーと違う動きをしていることが非常に多い。ひとまず直近で気づいたものをまとめたが、これ以外にもダンスでひとりだけ手数が多い、阿形だけがルーティン終わりにターンしている、などということもよくある。これは彼が高速ロッキンの使い手でスピードスターであるから可能なわけだが、下手をすれば目立ちすぎだと思われかねない。これが許されるのは、末っ子あぎょたんだからこそであろう。

ひとりだけピース

2024-2025年 フリーライブツアー「百戦錬磨-賽-」の告知画像。ほかのメンバーが証明写真のような正面顔で写る中、阿形は目元にピースサインを添えている。O-MENZはそれぞれ固有のポーズを持っており、このピースは確かに阿形の個人ポーズなのだが、それにしても完全に浮いている。

ひとりだけサムズアップ

動画「【狐&阿形】『はいよろこんで/こっちのけんと』踊ってみた」のラスト。背中合わせに立ち、狐がそのまま立ち去っていくのに対して、阿形はさらっとサムズアップをして去っていく。

O-MENZ狐、阿形

ひとりだけ足を上げている

演目『第ゼロ感』における般若のソロパートで、ほかの全員が倒れ込みセンターに般若が残るという振り付けがある。ここで引用するのは、2024年12月7日 百戦錬磨-賽- 上野公園下町ハイカロリーフェスの様子だ。4人がステージに伏せる中、阿形だけが手や足を上げ、おちゃらけていることがわかる。この現場に限らず、このパートで何かしらふざけている様子はほかの動画でも確認できる。

O-MENZ 下町ハイカロリーフェス

阿形の末っ子性②やっかみムーブ

阿形は自身より人気のあるメンバーへのライバル心を隠さない。同じビッグマウスキャラでも隈取は根が穏やかであるため他メンバーをいじるような発言はそれほどないのだが、阿形は素直に文句を言っているイメージがある。

狐への当たりが強い

先述の敬語いじりのように、阿形は狐をいじる場面が多い。これにはふたりの付き合いが長く気の置けない仲だという背景があるのだが、端から見るとなかなかのいじりっぷりだ。狐も拒否せず素直に応えるため、阿形の容赦のなさがさらに強調されて見える。

「けっこう見るよ、きっつんの切り抜き(動画)。しょーもない!」
「ギフトに対して全力で(リアクション)やってみてよ」
(おかめが狐のTikTokばかり伸びていると苦言を呈したことに対して)「謝罪して!カメラに向かって!」

漫画の三枚目キャラが二枚目キャラをやっかむようなやり取りが自然になされている点から、O-MENZ達のキャラクター性の面白さが感じられる。

ちなみに、この2024年10月18日配信のいじりについてはファンからも若干引き気味なコメントが見られた。そのフォローの意味もあるのか、後日ファンクラブのブログで阿形も狐も互いの絆について語った文章をアップし、ファンを安心させている。

※狐ファンから「いじりすぎ」という意見があったことについて阿形が話している動画があったかと思うが、探し当たらないため割愛する。確か「やってやんよ」という旨の挑発的なコメントだったように記憶している。さすがとしか言いようがない。

「俺は?!」

@o_menz_potachi2

2024.10.18 TikTokライブより 🦊きっつんとおかめ🥚 #o_menz #omenz @1000投稿目に何か起こる謎のお面集団

♬ オリジナル楽曲 - さんだー⚡️ - さんだー⚡️

こちらも同日の配信より。

(コメントを読んで)「『きっつんとおかめ大好き』……俺は?!何が?(ふたりの)どこがいい??」

なかなかの押し出しぶりだ。その後「ポッパー組(おかめ・狐)と宇宙組(狐・阿形)が好きです」というコメントで破顔一笑。現金である。
また、こちらも動画が見つからないのだが、Twitterのフォロワー数について自分が5人中最も少ないことを気にして「全員フォローしちゃったら同じだから俺だけフォローして!」と呼びかけていたこともある。
こうしたわがままが許されるのはやはり末っ子気質によるものであろう。

阿形の末っ子性③「Innocence」

阿形の三枚目な側面を紹介してきたが、末っ子というからにはピュアで真っ直ぐな面も紹介しなくてはなるまい。そう、自己紹介時の肩書き「Innocence of O-MENZ」にもある「純粋」な顔だ。

才能と努力

結成以前から全員がプロダンサーであったO-MENZ。ダンスへの思いが各々深いのは言うまでもないが、阿形の場合は言葉にできない天賦の才能や勘という側面が大きいように感じる。どちらかというと理論で押していくおかめのようなタイプとは正反対だ。以下は阿形が「ダンス感」(正しくは「ダンス観」かと思われる)について語ったブログだ。

自分のダンスについて「音が見える」「音が鳴ったらそれが見えてそこに自然と体を合わせていく」と話している。コメント欄で触れている人もいるが、これはいわゆる「共感覚」に近いものがあるのではないだろうか。

共感覚とは、ある情報 (文字、音、月日の概念など) を頭の中で処理しているときに、その情報が一般的な形で処理される (例:文字が文字として認識される) ことに加えて、一般的にはそれと無関係と考えられるような種類の感覚や認知処理まで引き起こされる (例:文字を見た時に色の印象を覚える) というもので、人口の数%程度の人しか持たないと考えられている認知特性 (情報処理の特性) です。

https://www.u-tokyo.ac.jp/biblioplaza/ja/H_00038.html

もちろん、仮に音が見えたとて、それに動きを合わせていくスキルと身体能力がなければ思うように踊ることはできない。そのすり合わせには血の滲むような努力があったと推察される。ちなみに、阿形のダンスについて年長組(般若、おかめ)は「アーティスト性が高い」「こだわりが強い」「5人で踊る時はこちらが合わせられないから手を抜いてほしい」などと評している。こだわりのあまり、ひとりで突き進んでしまうという点もまた阿形らしい。

@kimiusay

年長組ダンストーク🖤💜あぎょたんのかっこいい所❤️キングの振付け、幼なじみ組に、カウント問題ダンサーあるある☝️ 今回も一部@mohu さんの動画をお借りさせていただきました♡ブレてない上に完璧アングルなんです🥰ありがとうございます🥺@オーメンズの日常 OーMENZ #般若 #おかめ #あぎょたん #年長組

♬ オリジナル楽曲 - 🎭🇯🇵きみ💙💜 - 🎭🇯🇵きみ💙💜

自分が信じた道を軽やかに駆け抜けていくその姿はまさに天衣無縫。重力を忘れたかのように舞い踊る阿形は、肩に天の羽衣を羽織っているに違いない。

いつか君のヒーローになるから

2024年11月、初の全国ツアーにおけるファイナル公演 Zepp新宿の終盤。3rdシングル『HERO』直前の阿形の動画をお借りする。

「僕は昔、ひとりでは立ち直れないような出来事があったんです。トンネルが長くて長くて、いつ立ち直れるかわからなかったです。この中にももしかしたら、そういう方がいるかもしれません。今、僕の目の前で笑顔で手を振ってくれたり、ペンライトを振れたりしている人の中にも、日常生活がつらかったり、苦しい思いをしている方もいるかもしれません。
でも僕は、つらかった時に隣を見たら、偉大なる存在がいて、その人のおかげで今こうやって舞台に立てております。こうやってみなさんの前でパフォーマンスできております。
自分もいつか誰かの支えになれるような、偉大な存在になれるような、そんな人間になりたいと思って、こんな曲ができました。
みなさんも、つらい思いをしている人もいると思いますが、いつかきっと必ず心は晴れますので、一緒にがんばっていきましょう。聴いてください、『HERO』」


この後、歌い出した阿形だったが、Aメロで声を詰まらせ、歌が続かなくなってしまう。

それを見て口々に歌い出す観客たち。ステージを降りて歌唱を見守ろうとしていたメンバーが、次々と阿形のもとに戻って肩を抱く。
(先述の「いじり」に遭っていた狐が、ここで真っ先に戻ってきたところにも注目したい)

曲が終わると「お面の中がぐちゃぐちゃですよ(笑)」と笑い飛ばす阿形。そうして明るく切り替えていく様もまた阿形らしい。

『HERO』は阿形が作詞を担当しており、その歌詞は実体験をもとに作られたと以下のブログで語っている。

その経験とは、ひとつは中学時代にあった「心が引き裂かれるような事」。もうひとつは、コロナ禍でダンスをやめようかと思ったときのことだ。このうち中学時代の出来事は、サッカー部で3年生最後の試合でレギュラーを外されたというエピソードだと思われる。こちらもブログを参照されたい。

曲フリのMC中、阿形はこうした記憶を思い起こしていたのだろう。「自分もいつか誰かの支えになれるような」と言うが、あの光景を見るに、ファンにとってもメンバーにとっても君はもう「HERO」なのだ

結論:阿形はキュアマリンである

突然のプリキュアの登場をお許しいただきたい。ここまでまとめてきて、筆者は気づいた。

阿形は、キュアマリンだ。

キュアマリンとは

2010年放送のTVアニメ『ハートキャッチプリキュア!』に登場するキャラクター。中学2年生の来海えりかが変身する。サブ主人公に当たり、主人公であるキュアブロッサム・花咲つぼみとともに番組開始直後から活躍するプリキュアだ。

えりかといえば、それまでのプリキュアのイメージをぶち破るマイペースで自由奔放なキャラクター性が特徴だ。第1話で転校してきた、引っ込み思案なつぼみの自己紹介に対し「字がちっちゃくて見えないよ~」「はぁ~~~??声まで控えめなんだ?」と無神経な言葉を投げかける。

自分の欲望に忠実で、部屋を片付けるためだけにプリキュアに変身する、宿題をやりたくないあまりに怪人に「学校を破壊して」と口にしかける、など、およそ正義のヒロインとはかけ離れた行動も取る。
一方、人気モデルである姉に対して強いコンプレックスがあり、「どうせ私なんか」というわだかまりを抱えているという一面も持つ。

それでも、明るさと行動力はピカ一。尻込みするつぼみの手を引いて、次々と新しいことを始めてしまう。何度失敗しても笑い飛ばす芯の強さに、ほかのプリキュア達も、視聴者も勇気をもらったのだった。

そんなキュアマリンは、放送終了後の歴代プリキュアが集合する映画でも狂言回しのような目立った活躍をすることが多い。中でも特筆すべきなのが、『映画 プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち』のビジュアルだ。

32人のプリキュアが横を向いてずらりと並ぶ中、キュアマリンはひとりだけカメラ目線でウィンクをしている。当時の最新作である『ドキドキ!プリキュア』も差し置いてのこのムーブ。しかしプリキュアファンの間では「えりかならしょうがない」「安定のえりか」といった反応だった。

いかがだろうか?底抜けの明るさと破天荒さで周囲を振り回し、自分だけが目立とうと抜けがけすることもあるが、なぜかメンバーにもファンにも許されてしまう。そして、いざという時には真っ直ぐに前を見つめ一番に駆け出していく。阿形はやはりキュアマリンであるとしか言いようがない。

ちなみにキュアマリンは全プリキュアの中でも高い人気を誇り、2019年放送のNHK BSプレミアム『発表!全プリキュア大投票』ではレジェンドたる初代『ふたりはプリキュア』の2人に続き3位にランクインしている。投票当時は放送から10年が経過していたが、それでもなおこの人気である。

メンバーの中でも別格の扱いを受けるが、それが嫌味にならず、いつまでも愛される存在。阿形も、これからも末永くメンバーとファンに愛されていくことだろう。

最後に

筆者は子どもの頃、クラスのひょうきん者であるT君のことを「うるさいし、こういう人ってクラスにいらないよな〜」と思っていた。今思えばとんでもなく浅はかである。T君のような人がいてくれたからクラスの和やかな空気が保たれていたし、みんなが笑顔でいられたのだろう。
阿形はそうした、クラスにひとりはいる、いや、いなくてはならない存在だ。どうか、彼がいつまでも変わらず天衣無縫に羽ばたいていられますように。
そして、彼の一年に幸多からんことを。

* * *

※キャラクター性にフォーカスしたため今回は触れなかったが、阿形のステージ上での魅力は世界大会で1位を獲得したスピード感が強みのロックダンス、そして甘くクリアな歌声だ。これらがここで述べてきた自由奔放なキャラクターとのギャップを生み、阿形のファン「あぎょ担」を魅了している。
今回「かっこいいあぎょたん」を紹介できなかった罪滅ぼしに、最後に動画をいくつか掲載しておく。

『はいよろこんで』
2024年11月8日
五大都市ツアー「AREAROCK」完走記念凱旋フリーライブ
イオンタウン成田富里
狐と息を合わせたキレのいいロックダンス。

『イケナイ太陽』
2024年8月5日
百戦錬磨ー昇- 熱海海上花火大会2024
阿形ソロ部分。ライブのソロパートは客目もあってか非常に熱量が高く、踊ってみた動画を見ているだけではわからないギラギラした輝きがある。

@o_menz_2nd

イケ面パラダイス② 阿形 ジャンル:ロックダンス🔑 中居正広と同じジャンル。 TikTokに書いたら何故か視聴者が気に入って阿形=中居正広になっているが、本人は赤西仁が好きらしい。 @VEATM #熱海花火大会 #オーメンズ #VEATM

♬ Ikenai Taiyou - ORANGE RANGE

『Seven』
2023年8月27日投稿の歌ってみた動画。BTSのメンバー・ジョングクのソロ曲の日本語バージョン。軽やかでピュアな高音域が魅力。


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