天才オタク君とその親の話3
前回の続きです。
発達障害の子供にちゃんと接してほしいという願いが両親にことごとく通じない事に失望した先生は価値観や考え方が、普通の人と根本的に異なる両親を理解できず自己不審に陥っているようにさえ見えました。
私は彼女にどうアドバイスしようか少し考えました。というのも私の悪い癖で、つい発達障害のことを分析したくなってしまうのです。しかし彼女に必要なのは共感ではないかと思いました。「それは保護者がおかしいよ」と言ってあげるところから始めました。
彼女が徐々に気を取り直してきたので私は発達障害の話にも触れることにしました。まず私は両親は大人の発達障害ではないかと言うことを伝えました。そして通常の話し方だと話が噛み合わない発達障害的な傾向のある人の特徴を伝えました。
・言葉を字面通りに受け取る
・その場の雰囲気がわからない
・相手の立場を汲み取ることができない
彼女は驚きました。子供ならまだしも大人でもそういう人がいるのかと信じられない感じでした。
私は、「発達障害は基本生まれつきの脳の特性なので、大人になって知識が増えて回避する方法が増えても根本的には変わらない」と言うことを伝えました。
更に「発達障害者は、話が堂々巡りになったり問題の本質からどんどん遠くなってしまったりすることもよくある話だ」と言うことも伝えました。一般に発達障害者は話す内容を順序立てて説明するのが苦手なのです。ただ彼女はそういうのにも程ってものがあるだろうといぶかしがっていましたが。
私は発達障害のある保護者と建設的な話をするためのNGワードをいくつか彼女に教えました。
いかがですか
どうですか
よく考えてください
具体的に内容のない言葉は発達障害者には伝わりません。彼女は両親にいちどお子さんの授業風景を見てくださいと伝えましたがその理解は授業中の子供の言動を見ると言う先生の期待ととは裏腹に、先生の授業を観察しビデオに記録することとして両親に理解されていました。
発達障害の人に丁寧で婉曲的な表現はときとして通用しません。彼女が本来言うべきセリフは
A君が落ち着いて先生や友達の発言を聞くためにはどうすればいいか考えてください。
そのために実際にA君の授業中の動きや発言を見てどこを直せば良いか考えて欲しいのです。
彼女は「そこまで言わなければ通じないの」と言っていましたがこれまで起きたことを踏まえるとそうせざるをえないと納得してくれました。
私は同時にA君の両親のことも気になりました。そこまで変わっているというか、非常識とも取れる言動に、ご近所や職場の理解を受けられず孤立感を抱いたり人間不信に陥っていないかなぁと思いました。
人生楽しくストレスなく暮らしたいものですが、そのためにはお互いが大きなエネルギーを使うことになりそうです💦