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京都観光 JR京都駅〜西本願寺を歩く

JR京都駅前


京都は、歩くのが楽しいまちです。

 ただ、目的地まで大通りを歩くより、交差点ごとに右折・左折を繰り返して、じぐざぐ歩くと、かわいい町家のカフェがあったり、小さなお寺があったり、意外な出会いや発見があります。
 「碁盤の目」の京都だからできる、まち歩きの楽しみ方です。

JR京都駅から右折左折で「じぐざぐ歩き」で歩きました


JR京都駅から西本願寺まで、ぶらぶらまち歩きで、京都散策。

 七条新町の交差点にある、洋風建築ビルの「富士ラビット」。自動車販売の日光社の社屋として大正時代1925年頃に建築されました。「日光」をデザインした最上部中央のアーチ窓が特徴的で、1階のステンドグラスには、アメリカフォード社の輸入販売業務を行っていた当時の様子が伺えます。

洋風建築ビル「富士ラビット」
クルマを描いたステンドグラス

 現在は1階のテナントで牛丼の「なか卯」が営業していて、登録有形文化財の中でおいしい牛丼を味わえます。ステンドグラスがきれいで、遠くに京都タワーも見えるので、夜に見るのもおすすめです。

中央市場の元仲買人が目利きした新鮮野菜が買える。
京町家の「まあちゃん青果」

 七条通を渡って新町通を北へ進みます。古い町家が並んでいるので、歩いて楽しい、通りです。町家の軒先に並ぶ野菜を発見しました。「まあちゃん青果」は、まあちゃんこと柴田正勝さんと奥様の奈津子さんが、2020年に開業された、町家の青果店です。

「まあちゃん青果」の柴田正勝さん、奈津子さん

 毎朝11時頃から軒下に新鮮な野菜を並べて、お店が始まります。
まあちゃんは、京都中央市場の仲買人だったので、その経験と人脈で京都と滋賀の美味しい旬の野菜を仕入れて、販売されています。「まあちゃん青果」は、地域の交流の場だけでなく、地域の見守りにもなっているようです。

京都・滋賀の野菜を販売されています


下京警察署が制作・配布した
アマビエの「疫病犯罪退散」のシール

 若宮通で、アサヒ飲料の自動販売機に貼られた、購入方法のPOPに気づきました。英語・中国語・韓国語で記されて、英語のタテ書き表記や、商品を取り出した後に、お釣りの返金まで説明する丁寧さが、日本らしい。イラストが舞妓さんなので、京都限定でしょうか。

 その後に気づいたのが、「疫病犯罪退散」のシール。
 京都府警の下京警察署が、2020年9月に制作して配布したもので、「疫病退散」「犯罪退散」「詐欺退散」「交通事故退散」の願いを込めて、妖怪アマビエを描いた短冊シールです。 

 もらった方が自販機に貼ったのでしょうか。日焼けで赤のインクが消えただけですが、まるで役目を終えたアマビエが去っていったかのようです。

タイの五つ星ホテルが、鬼門封じで厄除け

 タイの5つ星ホテル「デュシタニ 京都」の角に、二宮金次郎像を見つけました。明治2(1869)年に町衆によって開校し、明治7年にこの地に移転してきた植柳小学校。平成22年に統廃合され、学校の跡地が「デュシタニ京都」になっています。元小学校であったことを記すために、小学校の正門横で、長年、子どもを見守ってきた二宮金次郎像が設置されています。ここは南西で「裏鬼門」にあたるので、ホテルの角地を落として鬼門を封じています。タイの五つ星ホテルが、鬼門封じで厄除けを行う。京都の伝統や文化を重んじる姿勢に、ちょっと感動しました。

デュシタニ京都の南西の角をなくて鬼門封じ

アート作品のような花壇

 旧花屋町通を左に曲がり、しばらく行くと、ゲストハウスの前に、アートな花壇を見つけました。脚の部分がネコになっていて、花壇の下に隠れてあたりを伺う様子が、ネコっぽい。側面には、馬、乗馬する人、笛を吹く羊飼いか、牛飼いの様子が、立体的なレリーフで描かれていて、なかなか見応えがあります。こういう発見もまち歩きの楽しさです。

花壇の脚がネコになっていて、潜っているようなデザイン


古タイヤに入ったコンクリートブロックの「いけず石」

 六条通の交差点で、ちょっと変わった、「いけず石」を見つけました。コンクリートブロックを古タイヤの中に入れた「いけず石」で、これならぶつかっても、車は傷つかないし、建物も守れる。
 思いやりのある家主さんが設けた、いけず石ならぬ「やさしい石」です。


骸骨を屋号にした京念珠・仏具の専門店。
芝川骸骨堂

 六条通から西中筋通を経て、堀川通に出ます。右手に西本願寺が見ながら左折して旧花屋町通に入ったところで、珍しい店名に目が奪われました。
 芝川骸骨堂。京念珠や仏具を扱う専門店ですが、店頭のショーケースには、念珠以外にも頭骸骨や観音像、古物などが展示され、何だかとっても怪しい感じ。正直、入りにくかったのですが屋号の骸骨の理由だけでも教えてもらえたらと、思い切ってドアを開けたところ、5代目で代表取締役の芝川佳三さんが丁寧に取材に応じてくださいました。

 安政2(1855)年に創業され、3代目の芝川文次郎氏が、西本願寺の高僧より「骸骨になっても不信用せぬ」と骸骨堂の屋号を授かったそうで、それから芝川骸骨堂に変更されたとか。

 骸骨になっても信用をなくしてはならない。また人間は亡くなれば、皆、等しく骸骨になる。西本願寺の高僧から骸骨の名を授かった芝川骸骨堂。他では手に入らない希少な念珠から、お手軽に手にできる「うでわ念珠」などさまざまな念珠が揃っていて、念珠のこと、骸骨のことなど、たくさんのお話しを聞かせていただけるので、外観やショーウインドーの頭蓋骨に、二の足を踏まず、思い切ってお店のドアを開けてください。

骸骨のデザインの京念珠


21歳の若さで討ち死にした中井正五郎殉難之碑

 油小路通を京都駅側に向かって歩き、しばらく行った右手に「中井正五郎殉難之碑」がありました。旅籠屋の天満屋があったところで、暗殺された坂本龍馬・中岡慎太郎のを討つために、海援隊の陸奥宗光らと共に中井正五郎が天満屋を襲撃しますが、新選組と戦って討ち死にしたそうです。
 碑を見るまで、中井正五郎のことを何も知りませんでしたが、21歳の若さで亡くなっており、殉難を伝える石碑が建てられたのは、正五郎はまわりからとても可愛がられ、愛されていた青年だったんだろうと想像でき、胸が少し熱くなりました。

本願寺伝道院

 油小路通を南へ進むと「本願寺伝道院」があります。真宗信徒生命保険株式会社の社屋で、明治45年に東京帝国大学教授・伊東忠太氏の設計、竹中工務店の施工によって建築。国の重要文化財であり、現在は、浄土真宗派僧侶の布教・研修の道場として使用されています。一般公開されていませんが、学びのご縁を結ぶ講座が開催されているので、詳細は西本願寺のホームページを参考にしてください。

西本願寺
西本願寺


京都人が案内する京都まち歩き
京都じぐざぐ歩き

 今回紹介した京都まち歩きは、YouTubeチャンネル「京都の」で公開しています。出会った方のインタビュー動画もあり、詳しく紹介していますので、ぜひご視聴ください。


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