丸ノ内線サディスティックとポスト渋谷系
2/12 (日)
前日の予報で気温が15度になると言ってたのでこれは外で遊ばなきゃいけない。そういう時に気軽に誘える友達がいるということは素敵なことだなと思いながら文学部の同級生の成瀬を誘い、二つ返事でOKだった。外で遊びたい、どこかに行きたいと思った時は散歩か自転車かレンタカーか、その3択で悩むことから始まる。その日は夜に高円寺でライブを観る予定があったので自転車で帰るのはめんどくさいから散歩を選んだ。
どこを散歩するか、それは集合する中野坂上に向かうまでの電車で考えた。中野坂上、東京に住み始めて知った街。常に東に高層ビル要素としての新宿を見据えつつ、西には意味のわからないエリアが広がる、それが俺の中野坂上のイメージ。丸ノ内線の方南町方面とか特に訳が分からない。こんなに駅があるのに、南の笹塚までは駅空白地帯がある。地図で見ても謎が深まるばかりなのでここを歩いて知覚することにした。フィールドワーク。
皆さんもGoogleマップを眺めている時に駅から遠いエリアがベージュ色に塗られているのを見つけると「なんでこんな駅から離れたところが商業的に栄えてるんだろう」と心踊ってしまうと思うのですが、何も考えずに歩いて両サイドにお店が増えてきて次第に路面もかわいく舗装されたりしてきたなーなんて思って、柱に〇〇商店街って書かれてるのを見つけた時はまた興奮しますよね。人はいつも、想像の範囲を超えたあたりで栄えたものを好む。中野新橋駅から10分のところに伸びている川島商店街がこの日のハイライトだった。
他にもバッグインバッグみたいなノリで商店街イン商店街があったり、公民館的なとこでみんなでゲームをやろう!という子ども向けのチラシに映されてるゲームがスマブラ64(全員カービィでプププランドだった)だったり、数百メートルの往来に面白要素が多すぎて往復してしまった。その中でも、パッと見オシャレに寄せすぎてるのではと見た目で敬遠してしまったSAZARE BOOKSがよかった。
神保町や下北沢、吉祥寺にはあると聞いていた"棚貸し"をやっている本屋。棚ごとのセンスが光る。この店はどの棚もやかましい本がなく、新書のラインナップが人文学寄りなのが刺さった。各棚の入れ替えも早そうだから頻繁に行っても楽しめそう。読書が習慣になりつつある俺がここに出会えたのはとてもよい偶然で、その偶然をずっと噛み締めるために田山花袋『東京の三十年』を300円で購入。今読んでますけどめちゃくちゃ面白い。俺の拠り所は自然主義にあった。あとエッセイが好きなんだね。高校の時に気づけたらもっと国語が得意になれていたのでしょうか。読書が好きなだけで現代文が得意だと勘違いしていた人を「趣味の読書と試験問題の読解は違うから」と蔑んでいた性格の悪いあの頃の俺はどう思うか。性格は今でも悪いし。
出会った街で消費するのは楽しい。思い出した。その楽しさで笹塚まで南下(笹塚には石橋である程度お世話になったスーパー、サンディがある!)し、そこからさらに方南町まで歩いて立正佼成会の教会を見てバスに乗って高円寺まで行った。楽しかったから22時過ぎまでライブを見た。
pops paradeの10周年ライブ。往年のギターポップ、渋谷系に浸れる。客の年齢層が4,50代中心ということもあり、主催側が配慮して隣のバーを休憩所にしたり出入り自由にしたりしていた。イベントってこうあるべきだと思う。お客さんが最大に楽しめるために、時間を使ってもらうために、いい思い出になるようにと気を巡らせている。イベントをいいものにしたいという思いが伝わる。音楽ライブのいろんな意味での身動きのとれなさに辟易していた30歳の俺はそれで救われた。ただMC中も大声で喋る、演者との距離感がバグってるタイプの客が多いのも鬱陶しかった。渋谷系のライブの客はベレー帽着用率が異様に高いのですが、数年前に比べてボーダー着用率が大幅に下がっていた。ボーダー着てる人って市井でもあんまり見かけなくなったな。
帰りにドリンクをもらおうと思っていたのにドリンクチケットをなくした。この日以降、財布もなくすし最近ハマり始めたカメラは電源が入らなくなるしイヤホンのケースは割れるしで本当に嫌。それでも楽しく生きていくしかない。今ってカメラめちゃくちゃ高くて困る。2019年に中古でSonyのRX100M4を4万円で買った人は次にどのカメラをいくらで買えばいいの?