卑怯者
私は卑怯者
卑怯者で臆病者。私はとにかくヨイショをする。自分がその人のことで思ったことを大げさに言ったりその人が言って欲しそうなことをすぐさに察知し伝えるのが得意なのだ。しかし、森羅万象全ての事柄に言えることだが「やりすぎてはダメ」なのである。
私は「やりすぎて」しまった。
西の一番恐い人に「あいつ、ヨイショしてるんじゃないか?」と勘繰られてしまった。チェックメイト一歩手前。
私は西の一番恐い人によく仕事で会う。その時に彼の髪型、スーツ、ネクタイ、革靴の行き届いた手入れ、腕時計、その他もろもろその日の微妙な違いを察知しヨイショした。もちろん察知しているだけで私自身それらを全く良いと思っていない。しかし私は「己騙し・信じ(おのれだまし・しんじ)」という生まれ持った能力を持っている。人は思っても無いことを言うと声、表情、動きのどこかに違和感が必ず出てしまう。しかし私は「己騙し・信じ(おのれだまし・しんじ)」という能力を持っているため、自身に一度催眠をかけ‘‘限りなく本当に思っていると同じ状態‘‘に‘‘気持ちを持っていけるのである‘‘。それがどれほどの実力かというと、私はサッカーなど1ミリも好きでは無い、今日にでもサッカーという文化が消滅しようと何も気にも止めない。嫌いとかでは無く、興味が無い。そんな私が自身に‘‘サッカーが死ぬほど好き‘‘という「己騙し・信じ(おのれだまし・しんじ)」をかけ、サッカーの試合で腹から声を出して一方のチームを応援したところ、そのチームの監督にスカウトされ今では年棒130万で声出しとして専属契約させて貰っている。そんなこと、本当に死ぬほど好きでないと起こらない奇跡である。私は起こせる。
そんな私である。方々から好かれてしまう。かくもまさに西の一番恐い人にも好かれていた。
しかし、今月の8月、そのヨイショが‘‘ピークを越えてしまった‘‘。
純度の高いヨイショは「本心」と何も変わらないとは言え、ピークというものはあるのだ。
そのヨイショの表面張力から疑いという一粒の濁り水が溢れだそうとしていた。
私は西の一番恐い人に呼び出され防波堤があるコンテナ置き場に呼び出された。
西の一番恐い人「お前、オディディのことヨイショしとんのけ?」
オディディとは西の一番恐い人の自分の事である。初めて聞く一人称に恐れおののいた私は反射的に「己騙し・信じ(おのれだまし・しんじ)」を発動し、そのオディディという一人称のオリジナリティを一切の淀みなくヨイショしたのであった。その日から私は西の一番恐い人に好かれている。
私は西の恐い人に「ヨイショしていない。」と言い、その場を去った。
危なかった。少しでも間や表情に嘘を感じさせてしまえばどうなったことかわからなかった。
しかし一応の危機をなんとか凌いだ私は、それが束の間の休息だという事を知っていた。
私は東の一番恐い人にも「あいつ、ヨイショしてるよな?」と勘繰られていた。恐い人は面子が命よりも大事である。ヨイショとは実のところただの嘘で、嘘に翻弄されるものなら面子が丸つぶれである。ただのヨイショに気持ち良くなっていたら部下にも舐められ、誰もついてこなくなるのである。
私は東の一番恐い人にクラブのVIPルームに呼び出された。
東の一番恐い人「おどれ、‘‘マイネームイズ‘‘のことどう思ってる?」
‘‘マイネームイズ‘‘とは東の一番恐い人が飼っているチワワの名前である。私が一番ヨイショしていたのがこのマイネームイズだ。
次の一言で私が彼やマイネームイズにヨイショしていたのがバレるかバレないかが決まる・・・
慎重に言葉を選び・・・かつ大胆に返事をするんだ・・・・・
「‘‘船が転覆して裏っ返った船にしがみ付いていると、クジラが10メートル先に居て、潮を噴きました。その10秒後の世界。‘‘みたいな感じです・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(かつてないほど真剣な顔)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
私は東の一番恐い人に握手をされ、家に帰ることを許された。危機を逃れたのだ。
しかしそれは戦士の束の間のお昼休憩のおにぎりを食べているだけに過ぎないという事を私は頭の片隅で知ってしまっていた。
私は、北の一番厄介な人にも「あやつ、オディミにヨイショしてるぜんなァ?」と勘繰られてしまっていた。
北の一番厄介な人は厄介でかつ北で一番恐かった。歯が数本しか無くて何を言っているかが聞き取りづらいし白黒が交互に折り重なる長い靴下しか衣服を着てないのである。おでこの部分だけピエロのメイクをしているのである。白で塗っているだけなのでピエロだとわからないのだが、一度ヨイショあぐねていると「オディミ、オディミな?オデコに赤ちゃんピエロ飼ってるぜんな?」と言われ「だからなんですね。」とヨイショしたらお尻を地面について手と足を壊れるんじゃないかというくらいバチバチ叩いて嬉しがってくれた。そこから現在まで気に入られてしまっている。
私は北の一番厄介な人にカラフルな巨大風船が天井中に敷き詰められて顔にピエロのメイクを無理やり描かれた椅子でぐったりしてる老若男女が至る所にある小さな球場に呼び出された。
北の一番厄介な人「ツミ―(‘‘俺の中でお前の好意が積みあがっていく。俺は今まで何人も人間を人形のように壊してきた。自分以外の人間について何か積みあがるものが無いからだ。自分の中で何かが積みあがったのはお前が初めてだ。‘‘という由来)、オディミのピーピー(ピエロのベイビー)が楽しやってるジャグリングの玉、やってる最中で一個取ったりしないぜんな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・??????」
私「・・・・・当たり前…
‘‘パァン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!‘‘
突然赤色の大きな風船が割れた。私は頭が真っ白になってヨイショが揺らいでしまった。途端、10メートルほど先に居た北の一番厄介な人が一瞬で距離を詰めてほぼゼロ距離まで顔を近づけてきた。動けない。瞬きもせず目を見開いている。見極められている。鼻から洩れる吐息はお弁当に入っている緑色が強いきゅうりの漬物とハイターを混ぜたような臭いだった。
次の一言で私の運命が決まる・・・・・・
正確無比にカウントを数え、華麗に舞って魅せなければ、非情ともいえるこのワイドスクランブルを渡り切れないのだ。
「取ったりしてません・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ピエロの赤ちゃんのボールを)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(無言で振り返り「やっぱり君は、幸せの青い鳥だったぜんな。」と言って去っていく北の一番厄介な人)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
間一髪で信じて貰えたようだ。私はホッと胸を撫で下ろし帰り道のスターバックスコーヒーに寄り「ITOSHI(愛し)を、グランデで。」とだけ言って家に帰り熱いシャワーを浴びた。
しかし私はその熱いシャワーがマヤカシの‘‘冷たい砂糖水‘‘だって事は自分の運命認印が運命受領書に印を押しているとヒシに感じていた。
私は、ついに、ついに『南の一番厄介な人』に勘繰られてしまった。
一番恐れていた事態だ。
南の一番厄介な人はこの世で一番厄介で南でどころかこの世で一番恐かったが、一番ヨイショをしてこれまでの誰よりも仲が良かった。
しかしヨイショというのは複数人にすると効果が反転することがあり、私が西の一番恐い人、東の一番恐い人、北の一番厄介な人と仲良くしている事が南の一番厄介な人に伝わり、「そんなに色んな人と仲良くするなんて、もしや彼が自分に向けた今までの事はヨイショなんじゃないか?」という疑惑に変わってしまった。
私は国会議事堂に呼び出された。彼は政治家である。内閣の一人である。
実は、彼は、45の歳までゴルフ場でプロゴルファーに‘‘眼汁‘‘をかけていた。
彼は無類のゴルフ好きであった。小さいころからの夢はゴルフ選手であった。しかし、19歳でほっぺがこの世で一番柔らかくなる奇病にかかり筒から強風が出て口の中が丸見えになるアイドルの定番罰ゲームのようにどんな微風でも口の中が音を立てて丸見えになってしまいプロゴルファーの夢を諦めてしまった。
次の年から彼はゴルフコンペでプロゴルファーがコースを回っている時に観客として見ていて、プロゴルファーが背中を向けたとき目から‘‘目の中の汁‘‘をビームのようにビーッと搾り出し、選手の背中に汁を付ける、という事をやり始めていた。眼汁を出したあとの目はしわしわになっていたという。白のタキシードに白の日傘を差していたことから「白着眼(シキキャ)」と呼ばれ恐れられていたという。
50の歳の時、「このままではいけない、国を良くしたい。」と決心し、政治家を目指した。そして見事に政治家になり今現在国を動かす1人となっているのだ。
そんな地球で有数な厄介で恐い人間に気に入られ、そして今勘繰られてしまっている。
私はなんと総理大臣の部屋に案内された。部屋に入ると奥に普通に総理大臣が居て南で一番厄介な人も居た。総理大臣は「どうぞ私はお構いなく。私は所詮彼が経営するコンビニのおでん置き場の1コーナーに過ぎませんので・・・・・」と言って人形みたいな目で恐縮した姿勢のまま固まってしまった。
彼は白いタキシードに白い日傘を差している。‘‘今の私はあの頃の私、白着眼(シキキャ)に戻っているぞ‘‘ということだろうか。
南で一番厄介な人「ヅんづんビ薇っ章(づんづんびびっしょう)(‘‘あなたとヅっと付き合っていきたいし、本当にづっと。薔薇をあげます。それくらいあなたの事を信頼しています。私の人生を章で区切るのであれば、今は確実にあなたの章です。‘‘という由来)が、
私にヨイショをしてるらしいとの情報が入ったのですが?」
私「…………いえ、滅相も無いですよ。」
南で一番厄介な人「・・・やはりそうでしたか、声を聞いて嘘では無いとわかりました。これからもよろしくお願いしますよ。」
「「「ちょっと待ちんベイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
私と南で一番厄介な人は声のする方へ眼を向けた。そこには西で一番恐い人、東で一番恐い人、北で一番厄介な人が立っていた。
まずい…!!これはまずい…………!!!!!!!
西で一番恐い人「オディディ、おかしいじゃないけ。」
東で一番恐い人「こんなにヨイショしてるんいうんはちょっとなァ?おどれェ」
北で一番厄介な人「ツミ―、やっぱりオディミのピーピーのジャグリング、一個取ったぜんな・・・・・????????????」
南で一番厄介な人「ヅんづんビ薇っ章、どういう事か説明して頂けますか?」(眼に汁を溜め始めている)
次の行動、次の行動で私の全てが決まる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少しかがみ背中に微量に力を入れる。
私「‘‘お相撲さんの形の、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、メラミンスポンジ‘‘ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ガタガタガタ
ガタンッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
次の瞬間四人は脳梗塞を起こした人間のように少しフラフラしたあと後ろに受け身無しで倒れて気絶してしまった。
人は自分が思っている以上に繊細に筋肉を動かせる。例えば筋肉が発達している人間が右左どちらかだけの胸を上下に動かしたり、細かい作業をする人間も指の筋肉を繊細に動かしている。
逆もあるのである。なにかに緊張したり嫌な事があったり動作に癖があったりするとある一部の筋肉を強張らせたり、使い倒す形になり、凝ったり最悪壊れてしまうこともある。生活習慣や会う人や物事やそこで思う事によって使う筋肉が決まってくる。それはつまり、意識や動きの誘導によって‘‘相手の筋肉も自在に動かせる‘‘ということであった。(簡単なもので言うと手をあげたら相手は身体を強張らせるなど)
私はヨイショで人の気持ちも探る過程で人の気持ちの動きのようなものが手に取るようにわかるようになった。だから‘‘このように体を動かせば相手の身体の『ここ』が『こう動く』‘‘というのがわかるようになったのだ。
‘‘少しかがみ背中に微量に力を入れ、「お相撲さんの形のメラミンスポンジ」と叫ぶ。‘‘
これをすると『相手の人間の脳の後ろ半分が‘‘何かに逃げるように急激に後頭部側に移動する‘‘』。脳も筋肉である。当然動かせないはずが無かった。私の気持ちの研究によって編み出した緊急術である。4人は脳の半分が一時的に急激に後頭部側に寄って圧がかかり脳震盪を起こし後ろに倒れて気絶してしまったのだ。
私は国会議事堂から逃げた。
逃げて走って走って上へ行った。
こうなったら西にも東にも北にも南にももう逃げられない。
上だ。
死んで天へとかそういう比喩じゃない。
‘‘上‘‘。
あらゆる手段を使って上へ逃げた。
今は楽しく上で暮らしている。
昼は鹿の背中でお昼寝をし、夜は光る木に囲まれたジャグジーに入って女をはべらし、チェリーをチュパチュパしている。
私は卑怯者。
卑怯者である。