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鳥のきもち「毎日同じご飯じゃイヤ!」

私は若い頃、好きなものばかり食べていました。
 たとえば、ヒマワリの種。毎日これだけでも大丈夫でした。本当においしいから。しかも、一粒ずつ種を割って、中身を取り出すのがとても楽しい。飼い主さんも喜んでいましたよ。なぜなら安いですからね。

 他にもあります。麻の実やサフラワー、小粒ですがカナリーシードもおいしいですね。私の場合は、人間の食べ物も好きでした。人間がおいしそうに食べているお菓子を、ギャーギャー騒いで手に入れたら、これが何とも言えないほどおいしい。特にイチゴケーキは最高です。

 でも、これは私たち鳥にとって、本当によい食事でしょうか?
 健康的でバランスのよい食事でしょうか?
 約40年近く、毎日ヒマワリの種を食べていた私の友だちがいます。彼女の場合は、クチバシが他の鳥の2倍くらい長く伸びていました。ほうっておくと食事も食べられなくなるので、1年に2回くらいクチバシを切りに飼い主さんが動物病院に連れて行っていたそうです。

 それがあるとき、いつもクチバシを切ってくれる動物病院がたまたま休みだったので、別の病院に行ったところ、そこは鳥専門の病院でした。そこの先生は私の友だちを見て驚いたそうです。クチバシが長く伸びていたことは当然のことながら、ヒマワリの種だけで40年近く生きていたことが驚異でした。すでに内臓系もかなり悪くなっていて、いつ亡くなってもおかしくないと飼い主さんに告げたそうです。飼い主さんは心を痛めて、友だちを私がいる施設にあずけました。そして、私のときと同じように食事改善に取り組みました。そのおかげで友だちは今も元気で、長老として仲間からあがめられています。

 でも、昔からインコ、オウムにはヒマワリの種というのが定番でしたが、なぜいけないのでしょうか?
 それはヒマワリの種には脂肪分が約50%あるからです。人間で言えば毎日天ぷらを食べているようなものだとどこかの獣医さんがおっしゃっていました。

 単にヒマワリの種が悪いのではありません。同じものばかりを食べさせることに問題があるのです。同じものを食べ続けるということは、栄養分が偏ります。
 私たち鳥だって、人間と同じように栄養バランスがよい食生活をすることがとても重要でしょう。

 ではどんな食事がいいのでしょうか。
 野菜、果物、ヒエ、アワ、キビ、麦などの脂肪分の少ないシード類をバランスよく食べるのがいちばんよいに決まっています。でもバランスよく食べなさいと言われても、難しいですよね。好きなものを先に食べちゃいますね。それでは、栄養が偏ってしまいます。

 そこで確実にバランスのよい栄養をとるために考え出されたのがペレットというものです。ペレットは鳥たちに必要な栄養がバランスよく調合され、どれを食べても大丈夫という優れものです。

 ただし、問題はあなたが好きか嫌いか。食べられるか食べられないかです。無理なく食べられれば問題ありませんが、食わず嫌いであったり、食事として認識できなければいつまでもたっても健康になれません。そういう場合は、脂肪分の少ないシードや果物、カルシウム(ボレー粉など)をとりましょう。もちろん、ひとつのものばかり食べていてはダメです。私も、私の友だちも、実はペレットを主食に替え、果物や野菜を食べ続けたおかげで、こうして元気になれました。

 現在のところペレット以上に栄養のバランスがとれた食事はありませんので、まずはペレットを食べられるように努力してみましょう。

 もし、あなたがヒナのときにフォーミュラというベビーフード(流動食)を食べていましたら、意外と簡単にペレットが食べられるでしょう。実はフォーミュラとペレットはとても味が似ているのです。ぜひ、チャレンジしてみましょう!

 海外では、一時期、鳥の手作り食が流行したこともありましたが、食材の選び方が難しかったりするため、日本ではあまり広まらなかったようです。今は、健康食として、豆類や穀物を茹でたものに野菜、果物を小さく刻みミックスしたマッシュが、アメリカでは人気があるようです。

 ペレットは加工食品ですが、シード類は生きた食事です。シードを土に植えると芽が出てきます。理想をいえば「農薬を使わない生きた食事」が最高でしょう。そこまで飼い主さんがしてくれるのですから、私たちが好き嫌いを言わずにバランスよく食べればいいことなんです。

 友達の話では、飼い主さんが鳥たちにとって安心な食材を使って、楽しんで食べさせてくれる健康食を手作りしてくれているそうです。食材は調理法によっては、大好きな飼い主さんと一緒に食べられると食欲も増すかもしれませんね。
 
 食べるものを選ぶのは飼い主さんでしょうから、私たちはバランスよく食べることをイヤがらずに、健康優良鳥を目指しましょう。

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