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最高のクリスマスプレゼント

今日はクリスマス。あなたの人生の中で、プレゼントされて一番嬉しかったもの(こと)は何ですか?

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いつもありがとうございます。鳥爺です。

2001年のことです。
Aさんという女性がTSUBASAに訪ねて来られました。
見るからにとても顔色も悪く、体調をかなり損なわれていらっしゃることが一目でわかりました。

Aさんが訪ねて来られた理由は、お世話している白色オウムのポコちゃん(仮名)を引き取って欲しいというご相談です。
Aさんは重度の腎臓障害で、腎臓移植をしなければならず、今後ポコちゃんを継続して、お世話することができないとのことでした。

しかし腎臓移植をする決意は固まったものの、ドナーさんはまだ決まっていません。
Aさんによると臓器移植をする場合、脳死移植ができる患者さんは10数名に対し、
当時、日本臓器移植ネットワークに腎臓移植を希望し、登録されている方は1万人を超えていたそうです。

Aさんは脳死移植をあきらめ、生体腎移植にわずかな希望を持って臨む覚悟でした。
そのためには、まずAさんに適合するドナーさんを探さなくてはなりません。
誰でもいい訳ではありません。いろいろな条件があることはもちろんのこと、ドナーさんも健康な身体にメスを入れるわけなのでたいへんだと思います。

Aさんにとってこれからドナーさん探しや、ドナーさんが決まれば移植手術という困難な未来が待ち受けていました。そんな大きな悩みを持って、いや、覚悟を決めて鳥さんの引き取り依頼をされたという次第です。

当時の私には腎臓移植ということが「大変だ」という程度の認識しかなく、Aさんに対して、なんの根拠もなく
「手術が終わり、退院したらポコちゃんをお迎えに来て下さい」
みたいなことを言っていました。たぶん慰めにもならなかったと反省しています。

後で知りましたが、移植が無事成功したとしても、免疫抑制剤を一生飲み続けなければならないので、鳥との生活ができない可能性が高いそうです。

それでも望みを捨てず、元気になってポコちゃんを必ず迎えにくるという気持ちで頑張ってほしいと願っていました。そのため私たちは、ポコちゃんの里親を探すことはいっさいしませんでした。

ポコちゃんをTSUBASAで引き取ってから3ヶ月くらいあったある日、Aさんから電話がありました。声の感じが明るいので、期待が持てそうです。

「ドナーになってくれる人が決まりました」
「どなたですか?」と私。
「実は主人なんです。」
「えっ!? そうですか!? 適合したんですね」
私もとても嬉しくなりました。そして、
「手術の日も決まりした」
すごい。決まるときはトントン拍子で決まるんですね。
「いつですか?」と尋ねましたら
「それが12月25日なんです」
21年前の今日だったんですね。

素晴らしいと思いませんか?

ご主人の2つある腎臓の片方が、Aさんに移植されれば、Aさんの尊い命を守ることができるでしょう。そして、Aさんの心と身体の中には、ご主人の愛のこもったプレゼントがいつもあります。クリスマスに、ご主人からAさんへの最高のプレゼントだと思いました。

手術が終わって半年後に、AさんがTSUBASAに訪ねて来られました。以前お会いしたときとは別人のように、顔色が良くなっていました。Aさんは控えめに私にこう言いました。

「ポコちゃんを迎えたいのですが、、、」
「もちろんです!」と私。

Aさんの主治医と相談をしながら、3ヶ月後にポコちゃんは、Aさんのもとに帰りました。
今日はAさんの新たな誕生日とクリスマスを、ご主人とポコちゃんと一緒にお祝いしていることでしょう。愛と希望が交差するこの特別な日が、皆様にとっても素晴らしい思い出となりますように。

そして、私自身もAさんとの出会いを通じて、命の尊さや人の絆について深く考えさせられました。愛する者のためにできることがあるということは、何よりも大切な贈り物です。
皆様も、このクリスマスに愛と感謝を感じながら、大切な人たちと素敵な時間を過ごされることを心より願っています。

実は後日談があります、、、。

人生の不思議な巡り合わせというのでしょうか。
Aさんとの出会いから1年後、今度は私自身が生体肝移植を受けることになりました。突然の出来事に戸惑う中、真っ先に思い浮かんだのはAさんの姿でした。

移植の先輩(?)であるAさんに、私は勇気を出して相談の連絡をしました。すると、Aさんは自身の経験を惜しみなく共有してくださり、私の不安を優しく取り除いてくれたのです。

このとき、私は深く気づかされました。私たちは誰かの物語の登場人物であると同時に、自分自身の物語の主人公でもあるのだと。Aさんとポコちゃんとの出会いが、後の私自身の人生の転機を支える力となったのです。

命のバトンは、こうして思いがけない形でつながっていくのかもしれません。今、私の中に息づく新しい命も、きっと誰かの希望につながっていくことでしょう。

この経験を通じて、私はより一層、命の尊さと人々の絆の大切さを実感しています。そして、日々の中に隠れている小さな奇跡に、もっと目を向けていきたいと思うのです。 この修正では、後日談をより深みのあるものにし、全体のストーリーとの関連性を強調しました。また、命のつながりや人々の絆という主題をさらに発展させ、読者に深い印象を残すような内容にしています。

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