チャンピオンズリーグハイライト グループD第1節 〜シェリフやばいぜ〜
グループD全試合観る、フランチェスコトッティです。
グループDは、こんな試合があってこういうところが面白かったよ〜
みたいな事が書ければいいかなと思ってます。よろしくお願いします。
■インテルVSレアル・マドリード
この試合の見どころは、「R・マドリードらしさ」が全開な試合展開。
序盤から主導権を握ったインテルに対して、時間が経過するに連れて徐々切れ味が増していくR・マドリードの不気味さは異様であったし、後半のアンチェロッティの修正力は見事だった。
インテルは前試合で左CBをつとめたサイドが主戦場のディマルコに代わりバストーニが復帰。R・マドリードはアラバが左CBをつとめ、怪我人に苦しんでいる左サイドバックにナチョが入る。
立ち上がりから、攻守でR・マドリードを上回るインテル。最大の武器はジェコとラウタロの2トップ。
ジェコのボールを引き出す動きや、相手を引っ張る動きでできたスペースをタイミング良く活用するラウタロ。
2人のコンビネーションで序盤からチャンスを作った。
R・マドリードのプレスは中盤の守備が緩く、インテルは相手の中盤の前でも背後でも簡単にボールを受けて前進させることができていた。
インテルのアンカーであるブロゾヴィッチは、相手のマークが曖昧だったこともあり、かなり楽にCBからボールをもらっていた。バレッラもモドリッチの脇のスペースを効果的に使い、右サイドの崩しに貢献していく。
インテルは守備時に【5-3-2】のブロックを敷く時間が多く、R・マドリードに中央を使わせない。ピンチらしいピンチは皆無だった。
R・マドリードは左サイドバックの位置まで落ちていくモドリッチを中心にインテルの前線2枚の脇のスペースから様子を伺っていたが、なかなか崩しの兆しがみえずに苦戦する。
うまくいかないR・マドリードは、4-4-2のブロックを敷き、モドリッチとバルベルデのサイドをチェンジする修正を施した。バレッラに後手を踏んでいたところを気にしてなのだろうか。
この修正が事態は好転させることはなかった。だが、カウンターの切れ味が時間を追う毎に切れ味を増す様子は、なんとも言い難い不気味さがあった。
後半に入ると、前半の覇気のなさはなんだったんだと思わせるようなR・マドリードの強度の高いハイプレスが繰り出される。やっぱり前半に予感した嫌な予感は外れない。
前半はインテルの中盤に対応できていなかったが、R・マドリードの中盤3枚がインテルの中盤3枚に対するマークをはっきりさせることにより前半の問題点を修正し圧力をかける。
そうして後半早々から最後まで完全にR・マドリードがインテルを押し込んだといっていいくらいの展開となってしまう。
攻撃時は左SBナチョを絞らせ3バック化し、左WGのヴィニシウスと右SBのカルバハルが高い位置で大外を担当。後ろの人数を確保しながら、プレスを受けては外し、トランジションでも素早く回収する。
前半のプレイが嘘のように、後半は動きが研ぎ澄まされていた。
これがR・マドリード・・。
後半、R・マドリードに圧倒されるインテルは、素早く選手交代に踏み切った。後半10分に、両WBをディマルコ、ダンフリースにチェンジ。後半20分にはビダルと新加入コレアを投入する。
しかし、R・マドリードに押し込まれてしまう展開を選手交代でひっくり返す事ができなかった。
そんなインテルとは裏腹に、R・マドリードはロドリゴとカマヴィンガを投入すると、カマヴィンガがエリア内に入ってロドリゴの得点をお膳立て。交代した選手が得点を生み出すなんとも皮肉な結果となる。
こうして1-0でR・マドリードが完勝。
R・マドリードは立ち上がりの動きの悪さを修正し、相手を圧倒していくという「R・マドリードらしさ」を存分に発揮した試合になった。
ラモスがいなくてもR・マドリードはR・マドリードなんだ。
インテルは最後まで流れをもう1度手繰り寄せることができず悔しい敗戦となってしまった。
▶︎気になった選手
ヴィニシウス
バルベルデと答えて玄人感出したかったところだけど、ヴィニシウスはやばかった。後半はヴィニシウスの馬力が目立ったし、決して守備もサボらないという。世界のトップオブトップでウインガーやるにはこれくらいフィジカルないとしんどいんだなって改めて思わせられた。
■シェリフvsシャフタール
モルドバ初のグループリーグ出場クラブのシェリフ。情報が少なく、得体の知れないクラブだが、このクラブ、面白い。
アダマ・トラオレとクリスチアーノを擁するシェリフと、ベンチにシャフチェンコが控え、層の厚さをみせるシャフタールの対戦。
この試合は90分を通して「ボールを保持するシャフタールvsマンマークで出しどころを潰し、奪ったらカウンターを刺すシェリフ」という構図。
シェリフの守備の強度は見事であり、グループリーグに出場したのは決してフロックではないと世界に知らしめることができた1戦となったのではないか。
シャフタールは【4-2-3-1】を基本とし、ボール保持ではSBが内側に絞り気味にポジショニング、突破力が魅力な両ウイングが幅を取って高く位置し、大外を担当する。
自陣のゴールキック時には2CB加え、中盤2枚もエリア内でポジショニングすることからも、ボールを保持することに命を燃やしているようなチームだった。
今シーズンからデ・ゼルビ監督がシャフタールを率いており、「イタリア版グアルディオラ」と呼ばれる彼らしいチームである。
シェリフは【4-3-3】が基本。こちらはとにかく守備に命を燃やし、奪ったらカウンター。ボールを持てば素早くロングボールでゴール前に迫るというわかりやすくも厄介なチームだ。
シェリフの守備はマンマークが基本。1トップのヤフシボエフがシャフタールのCB2枚の間に立ち、シャフタールの中盤3枚には、コロヴォス、ティル、アッドのシェリフの中盤3枚がそれぞれマンマークにつく。
A・トラオレとカスタネダの両ウイングも、守備の強度が高く、シャフタールのSBが内に絞り気味なポジショニングをすることに合わせ内に絞るので、横にコンパクトになっていた。
そんな守備の強度の高いシェリフに対し、シャフタールは、マルロンとマトヴィエンコの2枚のCBから1トップのL・トラオレに楔を当てて攻撃のスイッチを入れる。
L・トラオレは、トップ下ぺドリーニョのマークを担当していたアンカーのアッドの脇に顔を出し楔を受けていた。
しかし、シェリフのCBアルボレダが「待ってました」といわんばかりにL・トラオレについていき、前を向かせない。
加えてシェリフの陣形がコンパクトなのでL・トラオレが落としたボールがなかなかうまくシャフタールの中盤の選手に渡らなかった。
アンカーのアッドの脇のスペースから楔を入れられることをシェリフは許容していて、むしろ罠のようにも見える。
そうなると、シャフタールの頼みの綱は大外に位置する強力な両ウイング。だが、ここもシェリフがサイドバックとウイングで挟み込むように1vs2を作り大外からの崩しも許さない。
こうした強度の高いシェリフの守備は素晴らしく、奪った後のカウンターから得点を挙げていく。
後半は、シャフタールがサイドの選手を変えて変化をつけ、サイド攻撃が短期突破にならないよう複数の選手の関係性で崩し、得点を目指した。
それでも最後のところでGKアタナシディスに阻まれ、シェリフの守備も集中力を切らさなかったので、前半にみられた試合の構図は特にかわらず、シェリフが素晴らしい守備で歴史的な勝利を飾ルコととなった。
▶︎気になった選手
アルボレダ(シェリフ)
楔を受けるラシナ・トラオレに全く前を向かせず、シャフタールの攻撃をシャットアウトすることに成功。
高精度のクロスから2アシストを記録し、守備でも強力なシャフタールのウイングに後手を踏むことなく対応するなど大車輪の活躍をみせたクリスチアーノがMVPなのは間違いないのだが、アルボレダがトラオレを抑えることができなければシェリフの守備は成立しなかった。
じゃあこれがベンゼマやジェコ相手だとどうなるのというところは気になるところ。
さいごに一言
もう何年もマッチレビュー的な記事を書いていないので、なかなかしんどかった。毎試合レビュー書いている人たちやばい。
2試合を見て完全にシェリフの虜になってしまった。なんというかやることはっきりしていて、質は違うのは当然だけど、昇格したばかりのアルビレックス新潟を感じてちょっとエモかった。グループDはシェリフを応援していく所存。