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「18歳以下はすべて無料」プロジェクト枠組みをぼかしながら新しいスタンダードを築く

こちらの記事から、仕立て屋のサーカスが立ち上げた、「18歳以下はすべて無料」プロジェクト。

「世界中すべての子供たちが、平等に文化や芸術を享受できる環境をつくること」 「今あるすべての文化や芸術を継承していくこと」をミッションに、曽我氏が発起人 となって立ち上げた「18歳以下はすべて無料」のプロジェクト。

出典 https://business.nikkei.com/atcl/plus/00066/121800007/

プロジェクトのトリガーとなった社会の矛盾や違和感

「18歳以下の子供は、制限なく働ける権利がない。そんな子供からお金を取るのはおかしいのではないか。 親がお金を出す場合、子供たちは親の嗜好のえり好みに影響を受けるのではないか。また、 自分の嗜好を親に検閲されることになるのではないか。だったら、子供も18歳になるまでは、 映画や舞台、美術、飲食、場合によっては移動手段まで、無料で提供されるべきではないだろうか。 そういった考えから、18歳までは無料としました」(曽我氏)

出典 https://business.nikkei.com/atcl/plus/00066/121800007/

この世の中の仕組みや構造に、「おかしい」と感じることは、新たな行動への大きなトリガー(きっかけ)になると思います。

「親ガチャ」という格差

「親ガチャ」という言葉が象徴するように、子供は生まれた家庭環境によって人生が大きく左右されるという「生まれてくる子供は親を選べない」状態。

経済的な格差のある家庭環境では、教育や就職など様々に制限され、経済成長期をとうに終え、努力しても実らない、社会は変わらない、と感じている若者の心に深くささったと言われています。

ある意味では、「親ガチャ」に外れたことで、人生は決められていると割り切り、未来への期待をしなくなる・・・

様々な体験ができないので、新しいつながりも、視野も狭くなり、選択肢も狭まる。

「移動できる者」と「できない者」の二極化、移動格差も起きている

移動が階層化されていることを意味しよう。学歴、そしておそらく特別の資産やコネをもたない者は、地方を出づらい傾向が高まっているのである。

出典 https://gendai.media/articles/-/48598?page=2

移動といっても、進学、就職、旅行、移住、2拠点生活などの重い移動だけでなく、イベントや文化体験、今まで参加したことのないコミュニティへの参加など、いつもと違う場所に行くことも小さな移動です。

移動による新しい体験、新しい発見、出会い、自分の地元への思いの再確認、新しい気づきなど、移動には人生を豊かにする要素が詰まっています。しかも最近の研究では、移動は幸福度や健康にも影響があるようです。

日々の移動が人間の脳に良い影響を与え、ストレス耐性を高め、健康を改善することが示されています。また、移動手段に関わらず、新しいことを見たり聞いたりすることでポジティブな感情が高まるとも言われています。

出典 https://globe.asahi.com/article/14502555

それらの移動も家庭環境によって体験が制限されてしまう。
「移動できる者」と「できない者」の二極化、移動格差も起きています。

既存の枠組みをぼかしながら、新時代の新しい社会のスタンダードを築いていく

社会全体で子供を育てていく。「18歳以下はすべて無料」のプロジェクトは、生まれた環境に左右されず、自分の興味を追求しながら育った子供たちが築き上げる新しい社会を目指す活動です。

それぞれの個性や興味が日々ぶつかり合い、毎日、さまざまな化学反応があちこちで生まれるんです。そのまま友人と得意なことを生かし合い、会社を立ち上げてもいい。どの家に生まれ落ちたか、どの家庭で育ったなんて関係がなくなる。移動の自由もあれば、どこにでも行けるようになりますよ。

出典 https://business.nikkei.com/atcl/plus/00066/121800007/

「著作権の必要性はあるにせよ、70年ではなく5年程度に短縮する提案をミュージシャンの仲間に話しています。そうやってルールや枠組みをぼかしていきたい。多様性を重んじるのはコストがかかりますが、今ならテクノロジーと人々の考え方が追いついて、枠組みをぼかしながら新しいスタンダードを築いていける気がしています」

出典 https://business.nikkei.com/atcl/plus/00066/121800007/

既存の枠組みをぼかしながら、新時代の新しい社会のスタンダードを築いていく。二項対立的に既存の枠組みと対立せず、その既存の枠組みをぼかしながら新しいスタンダードを築いていく。新しいことにチャレンジしようとするときに、とても参考になる考え方です。

「ジェネラティビティ」次世代を導き確立することへの関心の転換

アイデンティティーを世に広めたエリクソンは、中年期(40歳以上~)の心理社会的発達課題として、「次世代を導き確立することへの関心」を「ジェネラティビティ」と名づました。

自分が人生の中で培った経験やスキルを、自分のためだけでなく、次世代を導くことに関心を向け実行するといった内容です。「自分のため」だけでなく「人のため」「世の中のため」、特に未来の社会を背負う若者たちに意識を向ける。

社会全体で子供を育てていく。という既存の「意識の枠組みの変換」は一人ひとりにも大切だと思います。「自分のため」という既存の枠組みをぼかしながら、「人のため」「世の中のため」という新しいスタンダードを気づく
チャンスになりかもしれません。

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