部活の話 1
あの日私は部活を辞めた。
理由は単純だ。
勉強に支障が出てしまうからだ。
・・・・・
こんなもの建前だ。
逃げたんだ。あの日々を。適当にそれっぽい理由をつけて。
純粋に楽しんでいた部活動がつらい日々になって、自分にとって邪魔でしかないと感じ始めた。
アスファルトに手を置くと焼けるほどの熱さを持ってる道を通って、部活を行くまでの道が嫌になることは無い。
1日中クーラーが効いた部屋にいて、お菓子食べて、ゴロゴロして、ゲーム三昧。
「どうしちゃったんだ、おれ」
その時私は、部活のために部活をしていたと思っていた自分を悔やんだ。自分が自分でいるために部活をしていたんだ。でも、部活が勉強に与える支障は少なからずある。あるデータでは、勉強と部活動を両立している人の方が、勉強だけの人よりも成績が良い、というデータがあるらしいが、私には当てはまらなかった。私が所属している部活は厳しい方で、休みは月1(テスト期間に入るため)だった。テスト期間(約1週間)の半分は部活があった。私の体力は元々そんな多いタイプではなかったことも原因として考えられるが、部活から帰ってきても勉強をせずに、寝てしまうことが多々あった。部活動では声をめちゃくちゃ出さなければならず、声は毎日枯れていた。私の趣味はカラオケ、ギター、スポーツだ。スポーツはできる。問題はカラオケだ。声が枯れる、これはカラオケ好きにとって死活問題だった。「じゃあ正しい声出しをすればよかったんじゃないか?」その通りだ。けど、枯れた。一日中声出しをすることはとても大変なんだ。ほんとに無理な声出しは嫌いだ。
「面白いけど、嫌い。」
私が部活中、よく口にしていた言葉だ。
「面白くて、好き」が1番なのだが、私にはそれがなかった。私はソフトテニスをしていて、とても面白かった。ソフトテニスは2 vs 2の試合が基本である。サッカーのようなチームスポーツではないのだが、コンビネーションが意外と大事なのだ。……まぁ、ここではソフトテニスの面白さは言わないが。それで、なぜそんなことを口にしていたのか。
理由は単純で、部活の内容が嫌いだったからだ。
今でも言える。あれはクソだ。必要ではない場面での声出し、休養時間の無さ、顧問との戦術が合わない、根性論。様々な理由が私を嫌いにさせた。
「ひとつ上の背中」
そんな日々でも私が続ける理由があった。
ひとつ上の先輩。
あの人たちと過ごした部活の日々がなんとか私の精神を保たせていた。