憧れのプロ機 Canon EOS 1D Xの10年遅いレビューっぽいなにか
最近EOS 1D Xを買いました
これはレビューっぽいなにかですが、プロでもなんでもないのでほぼポエムです
いつものTL;DL
1D Xの存在を知り そして…
去年様々な事が起き、今年は人生で初めてボーナスというものが出るらしい という話になり、前回書いた Nikon D300を経てペンタックス K-30が好きになった話 にもあるように好きになってしまったPENTAX K-30の新しいレンズとして smc PENTAX-DA * 300mmF4ED[IF] SDM を買おうとしていた
え、鞍替え早すぎないかって? K-30を買ったのは数ヶ月前の話だから許してくれ
そんな矢先である
親愛なる(そして邪悪な)友人である とんきち a.k.a とんちゃん から1D Xのおすすめをされてしまった
ちょっと前までPENTAXは防塵防滴やとにかくHEAVY DUTYなところに惹かれていた
それが実はキヤノンというカメラ界の巨人もプロ機では当然やってたしなんならレンズもしっかり防塵防滴だった
そんな、それでは俺に流れるキヤノンの血※1が……
ということで1D Xが気になってしまい終わりになってしまった
これが5/27の話である
そして時間は流れ 6/1日に晴れて購入に至り、6/2にはカメラを受け取り祖父の遺産である32年前の EF100mm F2.8 マクロ を振り回していた
※1
詳細は省くが、ちょっと前に祖父の遺産からフィルム時代のキヤノンやPENTAX 67初代モデル等が出てきてキヤノン/PENTAXの血があることが判明したのだ
対面
ありがたいことに付属品はほぼ揃っていて、状態もとてもよかった
故に買い足したものは背面液晶のプロテクター程度だったので出費はとても少なかった
いわゆる即ドリエディション もうレンズをつけて振り回すしかないのだ
ということで仕事の合間にお庭にいき写真をとり、仕事が終わってからは猫をとっていた
最初に感じるのはやはり 重さ
箱を受け取った時点から感じていたし、中身を取り出したその瞬間にも感じていたがやはり重さを感じる
重さを感じるといっても単に重いな~というネガティブな話ではなく、見た目の割に密度がなんかすごい感じがするのだ
これはプロ機を持っているという気持ちにつながるので、決してネガティブな話ばかりではない
いわゆる所有感みたいなものだ
とは言うものの、自分がNikonのD3200 D5000 D300と本体重量を増やして行ったあとにPENTAX K-30でまた重量を減らしていたわけだけれど、今回の1D Xは驚異の本体重量1530g
K-30がバッテリーとSDを入れても650gだ なんと驚異の880g差である
これはD300にバッテリーやらなんやらを入れた重量である825gよりも重い
つまり、K-30にD300くっつけてもまだお釣りが来るぐらいの重量がある
ボディだけで?正気か?
でもそこはプロ機 グリップ形状などからくる持ちやすさみたいなものがやはりあり、気持ち的にはD300とあまり差はなかった
もちろんまっすぐ腕を伸ばせば筋トレでしかないが、脇を締めてひじを曲げて持っている分にはそこまでつらくない
実際はレンズをつけて左手を添えたりする関係でより楽だろう
初日も振り回している間に気にならなくなった
もちろん自分がデカい人間だというのもあると思うが……
ボタンが多い 設定も多い
次に気になるのはもちろんボタンの多さ、そして設定の多さ
設定について語りだすとマニュアルを読んでくださいとなるが、とにかく多い マジで多い 同じCanonのEOS Kiss X5なんかとは比べ物にならないぐらい多い
そしてボタンのカスタマイズも多い
PENTAX K-30で気に入っていた電子ダイヤルを全て自分好みにするほどのカスタムはできないが、それでもMモード時のメインダイヤルとサブダイヤルの差し替えなどはできる
本体にボタンが多いし割り当てられる機能も結構多い
もちろん無効化もできるので、ついうっかり触っちゃうけど用がない人は無効化すればいい
とにかく一度説明書とにらめっこして、実際に触ってみながらボタンアサインを変えていくという時間をしっかり作った方がいい
そんな気持ちになる操作性の豊かさだった
全てを許せる美しさ
ファインダーに若干のチリはあったが、それでも先の100mmマクロを繋いだそのファインダーから見える景色は美しいの一言
初めてプロ機に触ったのはNikon D4Sに純正200-500mmのレンズをつけたものをオフロードに遊びにいった時に友達から借りたときだ
その時感じたのは「肉眼よりもきれい」という不思議体験
この1D Xからもその時そう感じた世界が広がっていた
自分のカメラからこの世界が広がっているのが最初は信じられなかった
今まで見てきたのがAPS-Cの画角というのもあり、同じ焦点距離でもこの広さ、そして綺麗さに感動した
これはフルサイズを手に入れた時にみんなが思うことだと思うのだけれど、やはり自分もそう感じた
もちろん写りもいい
1D Xの画素数は18MP K-30の16MPからたったの2MP増えただけだ
D300から比べると6MP増えているが、最近のフルサイズからしたら少し控えめな数値だ
でもそんな事は気にならないぐらいすごくきれいなんだ
Canon EOS R3は同じフルサイズなのに24MPだし、買おうとしてたPENTAX K-1 MarkⅡは驚異の36MPだ 1D Xと比べると倍もある
そんな中で1D Xは18MPがきれいなのか? 間違いなくきれいだ
画素ピッチというものがあるらしい 詳細は省くが、センサーサイズに対して画素数が少ないと密度が低いからノイズ耐性があがるらしい
それもあってきれい…だとおもうのかもしれない 実際ノイズはすごい少ない
最初の方に上げたISOがオートで5000に設定された猫の写真ですら等倍で見てもあまりノイズが気にならない
これは今まで手動でISOを限りなく下げたり、PENTAXのハイパーマニュアル撮影を楽しんでいた自分からするととてつもない力と言わざるをえない
その他
バッテリー充電器が充電してないときも充電してるときもカチカチと音をたてている
だいたい70cm先にあるけど静かだと気になる 必要に応じて電源は切ろう スイッチはないので電源タップ等のスイッチを使おう
レンズを増やして
約30年前のレンズを使い続けていたが、やはりこの時代のレンズにはISがなかったりとつらさがある
元々PENTAXのスターレンズを買おうとしていた人間 もちろん欲しいのはいいレンズだ
キヤノンにはお星様の代わりにLがいる
Lがつくレンズ それはテレビなどでも報道やスポーツのシーンにおいてはほぼ間違いなくどっかに一本は潜んでる、白いレンズ
EF70-200mm F2.8 IS USM というとても正解の音しかしないレンズも欲しかったが、あいにく同じぐらいの価格のカメラを買った所で予算は少ない
そこで EF70-200mm F4L IS USM を購入した
これはもう、いいとしか言いようがない
設計は1999年と約20年前 このレンズ自体も16年前だが防滴防塵や手ぶれ補正などが追加されたれっきとした進化モデルだ
今はこれの後継機である EF70-200mm F4L IS II USM が出ているのでそっちを買ってほしい
問題はこのレンズを買うとF2.8がほしくなる事 既に超いい 助けてくれ
一日触ってみて
最初に感じていたことは実際気になるのか?
重さは正直なれてしまえばなんら気にならなかった
70-200とペアでなんだかんだ3時間ぐらい連続で首からぶらさげっぱなし、かつカメラバッグとその中には100mmマクロがいる状態で、だ
重さではないがデカさ故の不便さはあった
特に望遠レンズだからトイレに行くときに困った
ただでさえカメラ持ってトイレにいるのは不審者極まりないし、だからといって首の後ろに回すには長すぎてぶつかりそう
結局カメラバッグに入れてからトイレに行くことにした
細身な人には困るかもしれないが、ある程度がっちりした体格があったり重いモノに慣れることができる人ならばこの重量は決して苦ではないはず
カメラを構えるときも問題はなかった あまり重さを感じないというか、レンズも含めて持つので適度に両手に重量が分配されるからだ
操作感
とにかく困ることがなかった
ISOはオートだが、絞りやSSはノールックでできる
AFの挙動や範囲を切り替えたりするには本体を確認しちゃったりするが、これもおそらくなれで解決するだろう
Qボタンという背面液晶で操作できる設定メニューもあるが、あまり使わなかった
うそ、測光だけなんかわかんなくなってちょっと使った
カメラを落としたくないのでついてきたストラップを本体上部の2箇所につけているが、縦位置ではこれがちょっと邪魔だった
いっそ右側を本体下部にあるストラップホールにつけることを考えたが、それはそれで通常時の見栄えの問題でちょっとやめた
このへんは脱着が楽なピークデザインみたいなストラップがいいのかもしれない
周りの目は痛い
休日の牧場が舞台だったが、当然ファミリー層がメインだ もちろん自分も家族といった 一人で行くと異常成人男性がカメラ構えてて怖すぎるから
キッズは動物が大好きだ 親が買い与えた餌を動物にあげるわけだけれど、周りを見てもそんなのばっかなのでとても動物単体でとれるチャンスなどあまりない
つまり、キッズが餌付けしているのをキッズが映らないように写真をとるしかないんだ
しかし考えてもみてほしい でかい男がでかいカメラと白いでかいレンズをつけて横で秒間12枚シャッターを切っている姿を
父親が手伝い、子供が恐る恐る餌を与え、母親がiPhoneを構えてAFのために画面をタップしているその数秒間の間に秒間12回シャッターが切られているのだ
RAWでとってれば4秒ぐらいは撮り続けられる
結果どうなるか?
キッズは「なんだこいつ」なのか「すごい」なのか、好奇心なのか警戒心なのかわからない目をしてこちらを見ている
カメラを持つ時は周りに対してフレンドリーに接することが大事だと心得ているので、子供には微笑みかけ親には会釈 しかし親はちょっと引いている
それはそうだ、繰り返すようだが相手は自分がiPhoneでAFをあわせて写真をとろうとしている横でマシンガンのような連写音を立てているのだから
だがしかし、取れる絵は最高だ
そこに他人の目を気にする必要なんかあるのか? トラブルにならないように配慮すればいい それでいいはずだ
総評
とにかくいい すべてが良い しかしそれでもやっぱり高いし満足するためにはとにかく金がかかる
それは決して本体やレンズにとどまる事なく、フィルターに始まり三脚やカメラバッグと次々と出費が求められる
例えばD300に900gぐらいの望遠レンズをつけてもまだ1700g程度だ しかし1D Xは70-200の軽いほうであるF4をつけても2200g
1500g推奨の三脚はいっぱいあっても4000g推奨の三脚はやはり大きくゴツく、高い
そしてシャッター回数が多ければ大容量の記録媒体が、そして信頼できる大容量のバッテリー(つまり予備)が欲しくなる
純正バッテリーのLP-E4Nは新品を買おうとすると2万円だ
もちろんカメラバッグもそうだ
今まではワンショルダーで事足りていたが、今回は入ると言い張れば入るが決して快適ではない
これは上がりのカメラかもしれないが、同時に沼の深部への入り口でもある
メイドインアビスでは深い層から浅い層へ登ろうとすると上昇負荷がある カメラもそうだ
このカメラを知ったからにはエントリーモデルやミドルモデルを遊び以外で買うことはできない、満足できなくて死ぬからだ
これは呪いに近い
同時に、ここまでいいカメラの次世代機がどうなっているのかを見たくなる
1D XはISO5000を常用できるが、10240だって悪いとは思わない
でもMark Ⅱなら20480までが常用域らしい それってずるくない?
MarkⅢは無印の61点AFに対して191点だ 3倍を超えているし、画素数も20MPになり連続撮影の速度も12コマから16コマになっている
興味がないわけ、ないのである
今まで遠い遠い雲の上だと思っていたから気にもしなかったが、実際にビルの屋上ぐらいまで出てきたら今度は別の高層ビルの屋上がきになってくる
だがそれは最新の最上位モデルを買うことができる人、1D X Mark Ⅲが言うところの「誰も見たことのない世界」に到達したモノのみが許されるのだ
新品定価は88万円 さすがに買えないし、買ったところできっと持て余す
持て余さなかったとしても今度はレンズが増え続ける 終わらない旅なのだ
老子は言った 「足るを知る」と
これはきっと精神的ではなく金銭的にもそうだ
他のことにお金を使えるし、新たな楽しいことをみつけてより豊かになれるかもしれない
だがしかし、足るを知れない人間なのだ
隣の芝は常に青い 青すぎる
きっとこれからも青い芝を眺めて、そして踏み込んだとしてもまだその隣のほうが青いと騒ぐのだろう
終わりに
知っている人は知っているが、このカメラはメルカリで買ったものだ
その人はここ数年流行っているCのせいで買ったもののほぼ使うことがなく、そのままEOS R7に行くために手放すことにしたらしい
その話を聞かせてもらった時に、ほぼ使わなかったといいながらも1D Xに後ろ髪を引かれまくったコメントをのこしていた
きっとこの人も既にこの1D Xという怪物の存在の虜になっていたに違いない
自分自信がそうであるように、このカメラは呪いでもある
一度でも自分のものである期間があると、その後全てのカメラに同じものを求めてしまうのだ
最新のミラーレスがどれだけの進化を遂げているのか、自分にはわからない
しかしどうか、果てのないこのカメラの世界で彼がR7で旅の終着点に到達することを祈ろう