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デンマーク赴任帯同・現地出産 ④家探し・入居

現在妊娠8ヶ月の妊婦(初産)です。1ヶ月ほど前、夫の赴任に帯同しデンマーク・コペンハーゲン近郊に引っ越しました。現地での妊婦生活・出産について備忘を兼ねて書いていきたいと思います。

▼前回記事


1. デンマークの賃貸事情

デンマーク人は持ち家に住む人が多く、出回っている賃貸物件が少ないためマーケットが常に逼迫しており、物件が出ると即座に希望者が列を成すので内見までたどり着くことも難しい。不動産情報サイトに登録料が必要。詐欺も多い…など言われていますが、幸い私たちは夫の会社が契約したリロケーション支援会社に家探しをサポートしてもらえたため、そういう大変な思いをせずに済みました。駐在員って恵まれてるな〜(好きで留学するのと違って会社命令で仕方なく行くんだからそれぐらいしろよという話ではある)。

2. リロケーション支援会社とのやり取り

赴任日の1ヶ月ほど前に、リロケーション会社の担当者とZoomミーティングをし、今後の流れやデンマーク生活について教えてもらいました。ちょっと面白いなと思ったのは「同僚が家に招待してくれなくても『嫌われてるかも』と思わなくてくださいね。デンマーク人はシャイなんです」。確かにアメリカ人などは家族ぐるみでホームパーティーやバーベキューに招いたりするのが普通だから、声かけられないと「ハブられてる?!」となるのかもしれないですね。日本はそういう文化ないので関係ないですが(むしろ個人的には人付き合い苦手なので助かる・・)。

担当者の説明では、とりあえず家具付きのマンスリーアパートに滞在しながら現地でゆっくり家を探すのが普通のようでしたが、私たちの場合は出産が数ヶ月後に迫っているので、マンスリーアパートを挟まずになる早で入居して生活を落ち着かせたいと希望しました。
4件まで内見同行してもらえるサービスだったので、取り急ぎ夫の出張のタイミングで内見を入れてもらうことにしました(普通は夫婦一緒に内見するのでしょうが、私は特にこだわりがないので…)。
担当者からは、賃貸マーケットは非常に流動的なので人気物件はすぐに埋まる、迅速な決断が必要だと何度も強調されました。

家賃上限や条件(コペンハーゲン市内中心部と近郊、エレベーター付きなど)を大まかに伝えると、数日で「現在出回っている物件リスト」が30件ほど送られてきたので、翌日中に賃貸サイトやGoogle Mapを見て職場への距離や間取りで優先順位をつけて8件の内見希望リストを送りました。
うち、内見アポが取れた4件(第一希望は既に売れていました・・)について、夫が出張中に内見し、動画を送ってもらって私も確認することにしました。

3. 入居先決定

内見したのは中心部2件、郊外2件で、事前の下調べでも内見結果でも一番良かったのは中心部の物件でした。面積も一番広く立地も申し分なし、歴史的建造物で内装も綺麗ということでこれに決まり、担当者にメールしようとなった矢先、Google Mapを見ていたら1階にナイトクラブを見つけ、不安がよぎって同じ建物内にあるB&Bの口コミを検索。すると「一晩中うるさくて眠れなかった」との声多数。ギリギリ2番手の郊外の物件に変更し九死に一生を得ました。最悪大人は耳栓で耐えられても、赤ちゃんが寝てくれないと最悪です。
短期滞在なら中心部が何かと便利でしょうが、住みやすいのはやはり閑静な郊外の住宅地だよなと思い直しました。

4. 賃貸契約

決定した物件を担当者に伝えると、すぐに家主にコンタクトを取ってくれて入居日(=夫の赴任日)が決定し、メールで賃貸契約書とその英訳版が送られてきました。こちらからは署名した契約書の返送(メール)と、保証金の送金を行いました。
鍵の引き渡しの際は、家主立会の下で物件に瑕疵がないか確認する必要がありますが、現地到着時間の関係で都合がつかなかったため、これも担当者が代行してくれました。おかげで夫は到着日にホテルに泊まる必要もなく、空港から新居に直行して担当者から鍵を受け取ることができました。

5. 新居の整備

夫が先に赴任して、1ヶ月後に私も一緒に本渡航という流れだったので、入居から1ヶ月は夫の一人暮らしでした。そのため、現地調達の家具(ベッド、ソファ、テーブル、照明、棚など)はIKEAやAmazonドイツで買って仕事の傍ら一人で組み立てることになり、(私がいても妊婦なのであまり役には立たなかったと思いますが)相当大変だったと思います。
家具付きであれば便利だったでしょうが、家具付きの賃貸物件自体が少なく、また2人とも他人の使用した家具を使うのはなんとなく気持ち悪いという感覚があり家具なし物件になりました。

6. デンマークの家の困ったところ

デンマーク人は家の内装に相当こだわりがあるらしく、照明の場所やカーテンの付け方も自分で決めたいのだそうです。だから賃貸物件といえども、照明を取り付けるための穴も、カーテンレールもついていません(前の住人の開けた穴は埋められてまっさらの状態←開けっぱでいいよ・・)。
コンクリートの天井に穴を開けるには、3万円ぐらいする巨大な専用ドリルが必要とのことでハードル高くて諦め、取り急ぎスタンド型照明でしのぎつつ本渡航の際に日本から運んだ木材や突っ張り棒を駆使してなんとか穴を開けることなく天井に照明を取り付けました。元々DIY好きの夫でもだいぶ苦労していたので、DIYに無縁な人は相当困ると思います。
カーテンレールも、ニトリで買った突っ張り式のカーテンレールのおかげで天井に穴を開けることなく取り付けられています。これらの木材や突っ張り棒、カーテンレールを本渡航の際に運ぶのがなかなか大変でした。

また、物件自体は約100平米と東京の住環境に比べるとかなり広いのですが、水回りがとにかく狭いです。キッチンも巨大なのにシンクは異様に小さくて浅いから洗い物すると水が飛び散るし、バスルームも単身用物件か?ってぐらい狭いです。リビングの面積削っていいからもうちょい広くならないのか?と思いますが、デンマーク人は体も大きいはずなのにこの面積で足りるのでしょうか。
シャワーブースはドアではなくシャワーカーテン用のレールがついていましたが、シャワーカーテンをつけると狭すぎてまともにシャワーが浴びられないため、夫が柱と蛇腹式のドアを設置し広くしてくれて何とかなっています。

他に困ったのは、服をかけられるクローゼットがないので洋服タンスを調達する必要があることです。IKEAで買ったのですが、大きすぎて組み立てるのがめちゃくちゃ大変そうでした。
いくら狭くても、デフォルトでウォークインクローゼットがついている東京の賃貸物件は本当に便利です。

こんなに苦労して入居したのに、数年のうちにまた退居しないといけなくなることを考えると今から戦々恐々としています。

7. 言うほど困ってないこと

逆に、在住者のブログやYouTubeで言うほど困ってないなーと思うのは以下です。

・浴槽がない
日本でも面倒臭くてシャワーだけで済ませていたので、困りませんでした。

・硬水
地域によるのかもしれませんが、髪もそこまでギシギシにならないし、調理に使っても違和感ありません(鈍感なだけ?)。ヨーロッパの他の国と同レベルだと思います。飲んでも特に不味くないです。
赤ちゃん用の調乳は軟水が良いと読んだので、一応AmazonドイツでBRITAを買いましたが、いまいちBRITAを通した水と蛇口の水との味の違いはわかりませんでした・・。

・エアコンがない
日差しが強いので室内はそれなりに暑くはなりますが(28℃程度)、風が強いので窓を開けていれば涼しい空気が入ってくるし、扇風機でしのげるレベルです。

・ゴミの分別
分別の種類は若干細かいですが(紙、段ボール、プラスチック、金属、ガラス、牛乳パック、食品etc.)、逆に分別さえしておけばゴミ出し指定日や指定のゴミ袋等もなく(食品ゴミを除く)、ゴミ捨て場の巨大なコンテナにポンポン放り投げればいいのでむしろ楽です。粗大ゴミも、日本の場合はネットで申し込んで券を貼って指定の日に家から出して・・と面倒ですが、こちらではリサイクルセンターに持ち込めば無料で回収してくれるみたいです。
「一般ゴミ」(restaffald)の分類があるので、ぶっちゃけ細々とした分別面倒なゴミはその中に放り込んでおけばいい感もあり。

8. 良かったところ

引っ越してきて、いいな〜と思ったのは以下です。

・乾燥している
部屋干ししてもジメジメせずすぐ乾きます。また、夏限定かもしれませんが朝の日差しが半端ないので、洗濯物をベランダに干しておけば一瞬で気持ちよく乾きます。乾燥機付き物件ですが今のところは不要でした。
また、東京の家ではキッチンや風呂場の排水口にすぐヌメヌメや黒カビが溜まってイライラの元になっていましたが、こちらではシンクもほっといても綺麗だし(そもそも排水口の皿がない)、シャワーブースの床も水はけが良くて全然ヌメヌメしないのが助かります。

・食洗機がある
食洗機不可のものや、すぐまた使うもの(包丁、まな板など)はシンクで洗い、他は1日分を食洗機に溜めておいて、昼間の電気代が安い時間帯に回しています。1日溜めておくと開けた時の臭いがちょっとやばいですが、洗い終わったらピカピカになっているのでまあ大丈夫だろうと思っています。
東京の家はカウンターキッチンだったので、いつもテレビやYouTubeを見ながら皿洗いをしており特に苦ではなかったのですが、こちらに来て壁に向かって延々と皿を洗うのは結構ダルいなあと感じたので食洗機があって助かりました。

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