桜、幻像
「オレ、桜って、あんま好きじゃないんだよね」
と言い出した、息子、小二の春。
えっ、キミ、去年まで「お花の中で、さくらが一番すきー!」とか、おっしゃっていましたよね。何かありました?
あるいは、何か失くしたのか。
特に詮索するつもりはなかったけれど、ためしにちょっと訊ねてみた。桜を好きだった記憶は、息子になかった。
そういえば。子どもだったある年、思う桜のピンクはクレヨンや色鉛筆で上書きされていた色だと、怒りとともに気づいた。もう騙されないと、屹と見つめた桜はほの白く、樹の肌は黒かった。
そして今、ゆるりと目をやれば、桜はあの白よりはピンクに染まり、樹も黒といっては大げさだと思う。
それに、われわれが各自の思考の中に、各自の器官の中に、それぞれの現実を持っている以上、現実を信ずるとは、なんという子どもらしいことであろう!われわれのそれぞれ異なった視覚、聴覚、嗅覚、味覚は、地球上の人間の数だけの真実をつくりだしている。そして、われわれの精神は、これらの器官からまちまちの印象を受け、あたかも、われわれひとりひとりが異なる種族に属するかのごとく、理解し、分析し、判断する。
人間の約束にすぎない美の幻像!うつろいやすい一つの意見にすぎない醜の幻像!けっして不易ではない真の幻像!あんなにも人生をひきつける卑賎の幻像!大芸術家とは、人類に自分独特の幻像を押しつける人間のいいである。(モーパッサン著『ピエールとジャン』、鈴木力衛訳)
『モーパッサン怪奇傑作集 』、ギ・ド モーパッサン (著)、榊原 晃三 (翻訳)、福武書店 (1989/07)、あとがき212p-213pより
モーパッサン様に痺れる、2020年、春。
見出し画像は、日本のサクラからインスパイアされたゲランのフレグランス、ラブリーチェリーブロッサムのボディ&フェイスパウダー。
十年以上前に購入した古いお品で、香りはほぼ飛んでいます。
紙箱コレクション、目の春です。
筒形の紙箱が好き。
スキウサギも好っき!
以下、たいへん可愛らしくて面白い4コマ漫画×3編です。
是非ご覧くださいませm(__)m
あれこれ盛りました。
桜のタイムラインに乗りたく、でも、ご近所ではもう散っておりまして。