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「地域に根ざしたホストクラブをやりたいと思ったんです」
そう語るのは代表の松村さん。彼は自身が生まれ育った佐賀県の村に初めてホストクラブをオープンさせました。接客するホスト達もすべて地元の若者たちというこの異色のホストクラブが今、県内外から大きな評判を呼んでいます。
「ホストと言ったらお酒を一気飲みするイメージがあると思うんですけど、うちのお店ではホストたちが餅を一気飲みします」
このホストクラブがある佐賀の村では、毎年、豊年祭の一環で「餅すすり」と呼ばれる伝統行事が行われます。これは、村の男たちがつきたてのお餅をお湯の中で長く伸ばし、それをそのまま口に運んで噛まずに飲み込むもの。一見、危険極まりない行為ですが、地域で400年以上続く「餅すすり」の文化を地元の若者が受け継ぎ、今ではホストクラブのホストとして客から注文を受けたお餅を飲み込んでいきます。
「やっぱり餅を噛まずに食べる男って女性から見ても格好良いと思うんですよね。男らしさの象徴というか」
このホストクラブでは、女性客から「お餅(一升)」の注文が入る度にカラフルなレーザー照明が明滅し、爆音でダンスミュージックが流れます。そしてバックヤードから炊き立てのもち米が入った臼が運ばれてくると、女性客とホストは一緒に杵を持ってもち米をついていきます。その際、「よいしょー」という他のホスト達による威勢の良いかけ声が響いて店内は大変な熱気に。そうしてお餅が完成すると、いよいよホストによる「餅すすり」が始まるのです。
手拍子と餅すすりを煽るコールの中、指名ホストは女性客の手の甲にキス。そして、臼の前に片膝立ちし、お湯に浸された餅を長く伸ばして口に運んでいきます。その様子を女性客はうっとりしたように見つめ、ホストも微笑みながら餅を飲んでいきます。その後、一升の餅を無事に平らげたホストは女性客をゆっくりと抱きしめ、耳元に
「ごっつぉーさん(ごちそうさま)」
と囁くのです。売れっ子ともなると1日に5升以上の餅を飲み込むこともあるのだそう。
さて、気になる「お餅(一升)」のお値段ですが、米の等級によって異なり、
3等級…5万
2等級…8万
1等級…20万
とのこと。最近では県の内外のみならず海外からも客が殺到し、地域経済への貢献も計り知れません。先月には知事がホストクラブを表敬訪問し、実際に「餅すすり」を体験。喉につまらせて大変なことになりました。
「人の良いホストばかりでこういった所が初めての人にもお薦めです」
店舗には駐車場や無料のキッズスペースも完備しています。
テレビの前のみなさんも、炊いた餅米の香りで包まれたホストクラブ「実(みのり)」に足を運んでみては如何でしょうか? お店の周りには収穫を待つ金色の稲穂が風に揺れています。