【苦味、馴染む】
カカオ95%のチョコレート。
これは人間の食べ物ではないって思った。
肌ツヤに良いと聞いて、食べようと思ったのが初まりだった。
しかし、今まで一度も食べた事がなかった。
それなのに200個入りの大入り箱をAmazonで頼んでしまった。初めて一個食べた時は、己のしでかしたことが信じられず、頭を抱えた。
だけれど、2ヶ月ほど経てばその苦味に慣れてしまっている自分がいた。
その苦味が、分かるようになった。
舌が進化したのだろうか?
いつも呑んでいるウイスキーが、甘く、深く感じた。
先月買った、ブーツがある。
少しお値段の張るブーツ。本革製の良い奴だ。
デザインが気に入って、一目惚れで購入した。今までブーツなんか履いた事ないのに、高い奴を買った。お手入れ?知らん。そんなものは。
だから、最初は失敗したと思った。
ブーツのヘリの部分がアキレス腱と擦れてとっても痛くて、1km散歩するのだって億劫だった。それでも、飛んで行った諭吉さんのことが忘れられず、根性で履いた。
だからか、今はこんなに歩きやすい。
ブーツが私の足に馴染んで、この冬に欠かせないアイテムになった。
苦手が、馴染む。
苦味が、馴染む。
人生の苦さ、これも徐々に馴染めば
「自分」を表現する欠かせないものになるのだろうか。