時々フィクション日記
小さい頃から日記が嫌いだった。物心ついたときからずっと本の虫だけど日記だけはどうにもダメだ。日記避けのために、学校に提出する絵日記で桃太郎翻案ファンタジーを長期連載していたこともある。正直、相性の悪い先生だったが、毎日怪文書にコメントをつけさせる苦行を課していたことを思うと、同情を禁じ得ない。
なんで日記が嫌いなのかって、そこに嘘の余地があまりないからだ。自分が日々感じていること、考えていることをそのまま書くのは怖い。高尚なことを考えているわけではないし、感受性が豊かなわけでもないし、ディズニープリンセスみたいに街を歩いているだけで歌が溢れ出しちゃったりもしないし。フィクションの形で成形してあげないと、他人様に見せる仕上がりにならないよな……とうじうじしてしまう。
ただ日記嫌いをうたいつつ、「ほぼ毎日何か文章を投稿しよう」という密かな決心に沿うと、ただの日記の頻度はどうしても高まってしまう。だから日記自体を「虚構かもしれないよ」という建前込みにしてみる。多分大仰な嘘はつかないけど、そっちの方が息がつきやすいから。
自分の陰鬱な部分やひねくれた部分は、所詮浅瀬のチャプチャプに過ぎないのでそこまでお出しする気はないけどね。