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映画『1941』は立派な反戦映画である

「観もしないDVDをいつまでとっとくの!」

家族からの圧力に屈し、DVDの断捨離を始めたトランボです。映画好きのトランボは、数多くのDVD(映画)を保有しています。その多くが名作の誉れ高い作品たちなのですが、例外だってあります。DVDを整理していて見つけました、そんな一品を。

『1941』

みなさんは、この作品をご存じでしょうか? ちまに、これ「イチ・キュウ・ヨン・イチ」と読みます。1979年公開の作品で、監督はスティーブン・スピルバーグです。すでに80歳に手が届こうとするご年齢ですが、『1941』製作時はまだ30代前半。『ジョーズ』(1975年)で世界的な大ヒットを記録し、続く『未知との遭遇』(1977年)でSFブームを牽引しました。この2作品の後に製作されたのが、『1941』です。

前2作が傑作だっただけに、この作品に対する期待も大きかったわけですが、興行的には大失敗で、本国アメリカだけでは製作費を回収することができませんでした。

真珠湾攻撃から6日後の1941年12月13日、カリフォルニアを舞台に人々が巻き起こすドタバタの一夜を描きます。スピルバーグ監督唯一のコメディ映画です。ジャンルとしては戦争映画になるわけですが、戦争を笑い飛ばすには少々、時が早すぎたのかもしれません。第二次大戦が終了して30年以上が経過しているとはいえ、まだまだ戦争体験者のみなさんは健在だったわけです。パールハーバーで大切な人をなくした人も数多くいたはずです。

かくして『1941』は人々に受け入れられることなく、スピルバーグ唯一の失敗作として映画史に記録されました。

ここまでは一般論。世の評判に反し、トランボはこの作品が大好きなのです。だからこそ、マイコレクションにこの作品を加えたわけです。家族からのプレッシャーがあっても、この作品は手放せません。ということで、ここからは作品の弁護を。

トランボは、映画『1941』が立派は反戦映画であると思うのです。その最大の根拠は人が死なないこと。戦争映画なのに。ガソリンスタンドが爆発しても、飛行機が墜落しても、観覧車が壊れ海に落ちても、そこにいる人々は誰一人死にません。かように命を大切にする戦争映画が他に存在するでしょうか。コメディというスタイルをとったからこそ、できたことです。

登場人物は皆ハチャメチャですが、どこか愛嬌があり、憎むべき人物はどこにも見当たりません。『1941』は人への愛で溢れています。

ご興味を持たれた方は、スピルバーグが残した異色の一品をぜひご鑑賞ください。

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