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徹底分析!国民民主党衆院選公約① 「動け、日本」スローガンに込められた決意を読み解く

国民民主党が衆院選公約とCMを発表

 衆議院が解散された14日、国民民主党の玉木雄一郎代表は、議員会館で会見を開き、衆議院選挙の公約を発表した。また、17日には衆院選向けのCMも発表した。

 CMも公約に盛り込んだ主要政策を内容とするもので、政策を訴えていこうという国民民主党の決意がうかがえる。

 この記事の前編では、国民民主党の衆院選公約のうち、経済政策、教育政策に絞って解説していく。明日までに投稿予定の後編では、国民民主党の外交安保政策、コロナ対策について解説する。

参考:「真水48兆円」国民民主党のコロナ経済対策案は、合格点を超えた!

経済政策は、金融緩和の継続とより強い積極財政

金融緩和と積極財政

 国民民主党は、「名目賃金上昇率が一定水準に達するまで積極財政と金融緩和を継続」することを明記している。

 市中に流れるお金の量や、金利をコントロールするのが、金融政策である。金融緩和とは、日銀が市中にある国債を購入するなどの手法により市中に流通するお金の量を増やしたり、金利を引き下げたりする政策である。このことで、融資を受けやすくなり、企業の投資が活発化するというメリットがある。

 国民民主党は、国会議員5名以上の政党で唯一、金融緩和と積極財政を同時に行うべきであると、公約の中で明示している。

財政破綻しないのか?

 しかし、コロナ禍が始まった直後の積極財政により、「国の借金」が膨れ上がっているとして、財政破綻を懸念する声があるのも、事実である。

 これについては、国民民主党は実質的に統合政府論を取る立場を明確にしている。すなわち、政府機関である日銀が保有している国債は、「政府が負っている債務」であると同時に、「政府が持っている債権」でもあると捉え、実質的に「国の借金」には含まれないという考え方である。

 これについては、コロナ前に高橋洋一嘉悦大学教授が解説してくれているので、詳しくはこちらに譲りたい。

参考:「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…

 そうであれば、いわゆる「国の借金」の半分近くは、今年3月現在日銀が債権者であるため、そこまで日本の政府債務は深刻な問題ではない。

 大塚耕平代表代行は、上記の統合政府論を念頭に置きつつ「日銀保有国債の永久国債化」を主張している。

 国民民主党の積極財政は、アベノミクスを支えたいわゆるリフレ派と同じ金融政策を継続することが、基礎となっている。

 左派野党(立憲民主党、社民党、共産党)も積極財政のような政策を掲げているが、これらの政党はアベノミクスの金融緩和を全否定している。もし金融緩和をストップして財政支出をした場合、円高不況という形で歪が現れるだろう。

 積極財政は、あくまで金融緩和あってのものである。国民民主党が左派野党と部分的ですら政策協定を結ばず、独自の立場で衆院選を戦うのも、左派野党が最低限の経済常識すら身につけてないからである。

積極財政の具体的中身は?

 そして、肝心の積極財政は、コロナ禍で冷え込む家計の可処分所得を増やすことが念頭にある。旧国民時代から引き継ぐスローガン「家計第一」の減税策、財政支出策である。

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 具体的には、今年4月に提案した上記のパネルの通りである。ただし、①現金給付は現役世代のみならず国民一律で10万円とした。対象を線引きすると、国民を不用意に分断する上に、関連事務の委託でより経費がかさむからであろう。なお、現金一律給付の再支給を訴えている主要政党は国民民主党だけであり、昨年の10万円給付を最初に提案したのも国民民主党である。

 これに加えて、②消費税を5%に減税し、コロナからの経済回復を加速させていく。消費減税と現金一律給付により、国民の可処分所得の増加、消費の回復が期待できる

 さらに、③コロナの影響を受けた事業者に対して、固定費の最大9割を支援する。この政策は事業規模に応じた補償を具体化するもので、後編で詳しく取り扱う。

 他にも、個人・事業者に対する社会保険料の猶予減免措置を拡充するとしている。

人づくりこそ国づくり 教育・子育て政策重視の政党

 国民民主党は、結党以来教育・子育て政策を重視し、チルドレンファーストの先駆けたる政党であり続けてきた。

 そして、衆院選では、「教育国債」の新設により、惜しみない未来への投資を行うべきであると掲げている。これにより教育国債が建設国債と同等の位置づけとなり、財政の影響をほぼ受けず、長期的視野に立った大胆な人への投資が可能となる。国民民主党は、毎年5兆円の教育国債発行を見込んでいる。

 これにより、まずは近年削減されている理系基礎研究など、科学技術への投資を十分に行うことができるようになる。

 次に、親の所得により格差を受けやすい幼児教育を無償化し、高校までの修学費用完全無償化を行う。

 また、日本の将来を支える子どもを支援するため、児童手当を拡充し、18歳まで支給対象とする。

「動け、日本。」に込められた思いとは?

 国民民主党は今回の衆院選に向けて「動け、日本。」という新スローガンを発表した。

 日本が長年停滞した中で、今の20代は、アベノミクスが始まるまでの約20年弱もの間、好景気らしい好景気というものを見たものがなかった。明日も物価が上がらない、給料もベースアップしないのは当たり前、親のボーナスはなくなってしまう。

 そのような長い停滞から脱却しかけたのはアベノミクスである。しかし、金融緩和の効果は、消費増税というブレーキを同時に踏んだことで、かなり相殺されてしまった。アベノミクスには、目先の増税をいつやるかに囚われて、大局的な財政政策という観点が無かった。

 国民民主党の玉木雄一郎代表も、アベノミクス第一の矢(金融緩和)は認めた上で、第二の矢(積極財政)が足りなかったと主張している。

 積極財政と未来に向けた投資策で、長い停滞から抜け出そうというのが、「動け、日本。」に込められた国民民主党所属議員の思いである。

 岸田政権と本質的な政策議論ができる野党は、国民民主党しかないだろう。
















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