日給130万(予定)

朝3時半にアラームが鳴り、自宅のリビングにて目が覚める。始発でもギリギリ間に合うかどうかといった時間に飛行機を取ってしまったせいで早起きを強いられた。

雪なのか雨なのか分からない物が降る中最寄り駅に向かう。数駅で降りた後に乗り換えでバスに乗車。普段は電車を乗り継いで羽田に向かってたから新鮮な気分。ただバスが10分遅れで運行していたため保安検査場の通過はギリギリだった。

飛行機の中は離着陸の際だけ起きて、あとは寝た。札幌には7時半頃に到着。朝ごはんを済ませて、地元の麻生へ。車窓から眺める雪景色に合う音楽を探しながら時間を過ごした。

バスから降りたあと、徒歩10分で実家へ到着。母親がちょうど車の雪掻きを終わらせた所だった。一緒に実家に入り絶賛骨折中の親父に調子を聞く。今は体重の2/3の荷重をかけて歩いているとの事。順調に回復してきているようでよかった。


元寅吉の部屋には、今でこそ親父の私物が沢山置かれているが押し入れには寅吉が昔大事にしていたおもちゃ達がある。佐倉杏子のフィギュアやポケモンカード、元カノと買ったであろうぬいぐるみ。毎回、実家に帰った時はそれらの思い出を漁るのが楽しみだった。

ふと、2年前網走に行った時に従兄弟の部屋のMTGカードを漁り、高額カードを回収出来た事を思い出した。何を隠そうこの寅吉という男、パチンコや競馬などのギャンブルは負け続けるのに変な所で豪運を発揮する。従兄弟の家には1枚20万円のカードがあった、素人目に見ても分からないので「どうせそんなに価値もつかないであろう」と思いつつ査定に出したら『かなり良い状態です、20万円です』と言われた。とても運が良い。

そしてそのカードを個人でやり取りしたいとDMを送ってくれた聖人がいた。しかもその人は運良く札幌住みだったので、帰省のタイミングで顔を合わせての取引が出来た。マジで豪運、ギャンブルで勝てない分変な所でヒキがいい。

そんな網走でゴールデンカムイを掘り当てた寅吉、もしかしたら実家にも掘り出し物があるのでは??と想いポケモンカードを物色。

高くなりそうだな、と思うカードは目星が着いていた。「ピカチュウ スター(☆)」というカードだ。寅吉が小学生位の頃に発売されたカードで、色違いのピカチュウが腕組みしてる絵が特徴的だ。

某サイトによると、最高10万円で取引している店があるとの事だった。昔の俺はこのピカチュウを自慢気にデッキに入れていたため、傷はかなりついている。恐らく半分以下の値段になるだろう。それで良いのだ、価値が下がっている分、得た思い出が大きいのだ。

宝を探している間に、1円の価値もつかない最高の宝物があった。こういうのなんだよな、世間的な価値じゃなくてさ、その人だけ大切にできるものが1番大事なんだよ。はたから見たらただの石ころでも、ある人にとってはダイヤモンドのような輝きを放っているんだよ。そういう自分にだけ価値のわかるものを大事にしていきてぇ。



宝探しを続けていると「シロナの想い」というカードを見つけた。これは普通にパックを剥いて出てくるカードだった気がする、普通にデッキにも入れていたし、全然価値は無いだろう。何故かキラカードで下にプロモマークが着いているが、そこまで価値は上がんないだろう。




??????


売値が130万円だった。13万じゃなく、130万。
今手元に130万円の紙切れがある。なに????なんで俺の押し入れからこんなもんが出てくるんや?なんでそんな高いんやこのカードは。

なるほどな。確かに覚えがあるわ。札幌大会に出た覚えあるわ。その時流行ってたデッキにぶっ刺さるカードがたまたま手元にあって、それでゴリ押ししてたらなんかトーナメント戦まで行って準決まで行ってたわ。そんときに貰ってたわ、こんなの。「シロナかよ要らねー!」とか思って直ぐにカードホルダーに閉まってたわ。今見てみたらすげー綺麗で、どんだけこのカードに興味がなかったんだよって感じだわ。

他にもいろいろ調べたら、このカードHIKAKINも持ってるらしい。

HIKAKINとお揃い?ちなみにHIKAKIN曰く超美品で450万円らしいです。450万??????俺の年収よりも遥かに上なんだが。


ひとまずスリーブとよくわかんねープラ袋に入れて保存。その後ダイソーでちゃんとしたスリーブとカードホルダーを購入した。これ以上カードが悪くなることは無いだろう…


しかし、また豪運が出た。去年〜今年、ギャンブルで一切勝てなかった俺に確率が収束した。今までの負けの分を払ってもお釣りが来るくらいの豪運だ。正直怖い、人の視線が怖い、「アイツは高額カードを持ってるぞ、殺せ!」と言ってるような気がする。

というか俺はこのカードを北海道から関東に持って行かなきゃダメなのか???助けてくれ。俺の事を今すぐ晴れる屋2に転送して早く売らせてくれ。


飯を食ったら落ち着いた。ローストポーク、めちゃ美味かった。というかなんで俺は小説口調で話してんだ。よくわかんねー出来事が起きると人間って変になるんだな。

ひとまずこのシロナをどうするかは関東に戻ってから考えるとして、今はとにかく帰省生活を楽しむことにします。帰省して軽い気持ちでおもちゃを見てたら日給130万円を稼いだ寅吉のお話、続きはまた今度。


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