ヨルシカ「爆弾魔」 死んだ目で爆弾片手に口を開く
ずいぶん若い同僚に「ヨルシカがいい」と教えてもらった。
そのときに同僚が挙げていた曲は「だから僕は音楽を辞めた」だった。
聴いてみた。
「きれいだけど泣き出しそうな声」と「追い詰められ過ぎて叫び出す寸前の思いを絞り出したような歌詞」。この組み合わせに一瞬で心を奪われた。
ライブを見たいと思っているけど、コロナ禍でまだ参加できないでいる。
「だから僕はー」には、「どうでもいい」という言葉が、中盤以降に5回も登場する。
スピッツは春の歌で、「『どうでもいい』とかそんな言葉で汚れた心 今 放て」と歌っているね・・・。春の歌の対極にあるような曲とでも言えるかもしれない・・・。
そないに繰り返さんでもいいやん!って思うくらい「どうでもいい」と強がる。痛々しさが、聴き手側に伝わるように歌詞を作っているんだろうけど、そうなのだとしたら、とてもうまい。いわゆる中二病感をきれいに作り出している。そのあたりにとても魅力を感じる。
ウィキペディアによると、コンポーザーのn-buna(ナブナ)さんと、ボーカルのsuis(スイ)さんによる2人組のロックバンドとある。
いま、リリースされているアルバムなどをすべて借りてきて片っ端から聴いてみた。
今の私に最も刺さったのは「爆弾魔」。
「死んだ目で爆弾片手に口を開く
さよならだ人類、みんな吹き飛んじまえ」
冒頭の言葉で、聞き手の頭を吹っ飛ばしてしまいそうな勢いを持っている。
爆破ばかりのフレーズが並ぶ中、爆破が出てこないフレーズが二つだけある。
「もっと笑えばよかった ずっと戻りたかった 青春の全部に散れば咲け 散れば咲けよ百日紅」
「ずっと泣けませんでした ずっと笑えませんでした 青春の全部に君がいる 風が吹けば花が咲く」
これほどにも痛々しく、悲しい歌詞になぜ、50歳のおじさんが感銘を受けるのか、うまく説明できません。いつか生の演奏を聴いてみたい。
50歳にもなって、何もかも吹き飛んでしまえばいいって、深層心理で思っているのかしら?確かに楽しいことなんて、ほとんどないもんなあ・・・。
2022年6月8日 トラジロウ