【思い出】彼女のこと 2

また彼女の夢を見た。久しぶりに彼女が尋ねてきたので何かと思ったら弟が亡くなったという。人手が足りなくて困ってるというので、もしよかったら手を貸すよと言った。そのあと朝っぱらから架空の上司にプールサイドに呼び出され個人的な頼み事をされる。丁重に断って彼女に連絡したが、もう連絡はつかなかった。

二十年以上前に出会って数年暮らした彼女の夢を今でも毎晩観る。とても切ない。
夢に見るたびにどうしてこんなに可愛い子と別れたのかと思う。結婚すればよかった。心の底から愛していた。
しかし当時の私は野望に取り憑かれていた。それは自分の出自に基づくものだから日本人の彼女には関係のないことだった。
彼女がだんだんと別れたいと言い出した。どうも私がピリピリしていて気まずいらしい。また彼女は私を嫌いになったわけではないらしく、むしろ私が彼女に愛情がなくなったと思い混んでいるようだった。私は何度もそんなことはないよと言ったが、彼女の心には届かなかった。
「あなたと結婚するものだと思ってたよ。」
彼女は泣きながら家を去っていった。
それでもお互いに未練があるのか、彼女は引っ越し先を教えてくれて、しばらくは同居前のように彼女のアパートを行ったり来たりしていた。
しかし会社が傾き、自分の仕事でいっぱいになって連絡をしないでいた。久しぶりに訪ねてみるとすでに引っ越していた。

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