年間70試合プロ野球観戦したオッサンがおすすめする、席種別 野球観戦の楽しみ方
2022年3月25日は我々野球ファンにとっては元旦である。昨年は僅かの差で涙を飲んだ我がタイガースも、今年はきっと。
私は昨年70試合近く現地で観戦した。主に甲子園のライトスタンドであったのだが、何試合かは内野スタンドのチケットも入手した。ビジターゲームでもあらゆる座席から試合を楽しんだ(楽しめない試合もあったが)。
そこで今回は2022年開幕を前に、席種ごとに野球観戦の楽しみ方を書いてみる。特に、いつも同じ席種を選んでいる方や、観戦頻度が低い方、あるいは今年初めて観戦しようと考えている方はぜひ参考にしてほしい。
外野席
「応援」に重きを置いている方は文句なく外野席を選ぶべきである。阪神タイガースの本拠地、阪神甲子園球場ならライト側の外野席がタイガースの応援席となっている。ビジターゲームの場合は一般的にはレフト外野席がタイガースの応援席であるが、交流戦などパ・リーグ主催のゲームではライト側がビジターチームの応援席となることもある。チケットを入手する際には注意してほしい。
試合の中心となる内野からは距離があるので、バッテリー間の細かなやりとりなどは視認性が低くなる傾向にはある。しかし外野席でもポール際ではなくスコアボード寄りを陣取ると、投手の球筋も追うことができる。変化球なども識別しやすく、意外としっかり野球を見たい方にもおすすめできるポイントでもある。(なので中継のカメラもスコアボードのすぐ横に設置されている)
一方、「攻撃の時のみ応援に勤しみ、守備時は酒盛り」という顧客層も一部ではあるが存在する。楽しみ方はそれぞれなので決して悪く言うわけではないが、守備攻撃に関係なく選手の一挙手一投足を見届けたい方にとってはノイズになる場合もある。
また、現在感染症予防のために声を出しての応援は建前上禁止されている。しかし昨年2021年度の甲子園での公式戦では、外野席に限っては実質無法地帯であった。目立つケースでは申し訳程度に係員が注意するものの、まったく効果はない。この点については、球団・球場が厳格に対処してほしいものである。(関東の球場や京セラドームでは外野席でも観客のマナーはよく係員の対応も毅然としたものであった)
・こんな方に推奨
トランペットに合わせて応援歌を歌いたい方
ひいきチームの攻撃時に盛り上がりたい方
※2022年開幕時現在、感染症予防のため声を出しての応援は禁止されている。
・こんな方には非推奨
選手を近くで見たい方
サインの交換やシフトの状況などしっかり試合を見たい方
1塁側・3塁側内野席(前方)
内野席は前方と後方でまったく違う楽しみ方ができる。内野席前方の席はとにかく選手との距離が近い。試合前など選手に声をかけると応えてくれる場合もある。
また、ベンチに近い座席ならひいきチームの守備が終わると全員が自分の方に帰ってくるような錯覚を覚える。選手を見るなら内野席前方に限る。
ただし、意外と野球そのものは見にくい傾向にもある。
投手の投球は横からの視点となるので高低は判別できるものの、インコースとアウトコースの見分けは難しい(野球経験者ならベンチからの視点に近いので、打者の反応・捕手の足の動きなどから、ある程度コースを判断することは可能である)。
また、鋭いライナーや高く上がるフライなど、グランドに近い目線かつ横から見ているため、観戦に慣れていない方は打球のスピードに追いつけずに打球を見失うことも他の席種よりも多くなる。ほぼすべての打球で「首を左右に動かさなければ」プレーを追えないのも欠点である。
以下甲子園に限った条件。
感染症対策については外野席よりもやや厳しい傾向である。攻守交代のたびに係員が巡回し、マスクの着用などを促している。ただし外野席同様、大声で騒ぐ観客に対しては弱腰係員が申し訳程度に注意をする程度だ。
また、前方の席は比較的金額の高い設定であるにもかかわらず、悪天候時には雨具が必要となる。
・こんな方に推奨
選手を近くで見たい方
プロのプレーを間近で見たい方
選手の喜怒哀楽や選手同士のコミュニケーションの様子を見たい方
・こんな方には非推奨
俯瞰して試合を見たい方
雨に濡れたくない方
とにかく盛り上がりたい方
1塁側・3塁側内野席(後方)
内野席後方座席は、角度が高いために野手の動きが把握しやすい。おそらくこれはサッカーやラグビーでも同様ではないだろうか。選手のフォーメーションなどを見るには究極は真上から見るのが最も把握しやすく、上段席はそれに限りなく近くなるのである。
また、プレーそのものから離れた位置から見るので、多少早い打球であっても視線から外れる頻度は前方座席よりも少なくなる。首を左右に振る角度も少なくて済む。
個人的には状況とプレー全体を把握しながらじっくり野球を見たい派であり、選択できるなら内野席後方を選ぶようにしている。
ただし、これは前方座席のメリットの裏返しになるが、選手を近距離から見たい方にとっては後方座席はメリットが無い。試合前や試合終了後に前方に移動して選手に声をかける風景を以前はよく見かけたが、感染症対策のため自席からに移動を制限されている間はそれも難しくなっている。
・こんな方に推奨
球場全体を見渡しながら観戦したい方
野手のポジション取りなどチェックしながら観戦したい方
・こんな方には非推奨
間近で選手を見たい方
ネット裏
ネット裏は野球というゲームを見るには最も適した席種であることは言うまでもない。すべての野手の動き、走者のリード幅、両軍ベンチの動き、外野手のポール際のプレーまですべて視界におさまった状態で左右に首を動かすことなく観戦できる。グランド内で行われる試合前のイベントなどは基本的にはバックネットに向けられるため、こちらも特等席で見ることができる。
投球のスピード感や球種も把握しやすい。しかし野球経験者でない場合、テレビなどで見ることができるセンター外野席の方が、投球そのものは識別しやすいこともあるようだ。
また、特に甲子園ではOBなどの解説者が通路を通ることもあり、解説席に近い場合は生声でアナウンサーの実況が聞こえることもある。
ちなみに、神宮球場のネット裏2階席は、価格がお手頃であるにもかかわらず高い位置から球場すべてを見ることができる。野球そのものを楽しみたい方には強くおすすめしたい。
基本的に欠点は無いのがネット裏ではあるが、外野席に座ったときにこんな意見を聞いたことがある。
「こないだネット裏座ったけど、葬式みたいやったわ〜」
そう、基本的にはしっかりと野球を見たい方が多く座る席である。実際には「葬式」ほど静かではなく、いいプレーは盛り上がりヤジも飛ぶ。しかし普段外野席にいる方にとっては「葬式」のような静けさであると感じることもあるのだろうか。
逆に、普段は外野席にいる方がたまたま内野席やネット裏に座り、外野で過ごしているのと同じノリで飲んで騒いでいると、本人は気づかないまま周囲から顰蹙を買っているようなこともある。
・こんな方に推奨
基本的にはどんな方にも推奨。
・こんな方には非推奨
立って騒いで応援したい方。
今年からは開幕より入場者制限も解除され、座席を選択できる余地も大きくなっている。ぜひあなたの観戦スタイルに合った座席から、楽しく試合を観戦していただきたい。