あのプレーは走塁妨害なのか? 2023/8/18 Dena対阪神戦
ルール上はアウトとしか言いようが無いようである。
2023年8月18日、Dena対阪神戦で物議を醸したこのプレー。
野手が完全に走者の走路を塞いでおり、明確な走塁妨害であるとVTRを見た瞬間に私は感じた。結果はご存知のとおり「走塁妨害ではなくランナーアウト」である。
一夜明け、さまざまなソースから「走塁妨害」についての定義を改めて調べてみた。走塁妨害が適用されるのは以下のような場合のようだ。
したがって該当のプレー、ルール上は「野手がボールを持って走者をアウトにしようとする時」もしくは「送球を処理する時」にあたる。よって走塁妨害は適用できない、ということになる。
しかし釈然としない。このプレーが発生してから判定が確定するまでの経緯を見てみよう。
・ファーストランナーが盗塁を試みる。
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・2塁ベース上はクロスプレーとなるも判定はセーフ。審判のジャッジはセーフのみ。妨害行為によるボールデッドなどのジャッジは無し。
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・Dena監督よりリクエスト要請。この際審判団を監督との間には会話はなく、単にアウトかセーフかを判断するよう要請したように見える。
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・3分半ほどの検証時間を経たのち、責任審判が場内に説明。「故意にランナーを妨害したとは認めず妨害行為ではない。判定はランナーアウト」。
以上が事実。以下私の疑問を並べる。
・論点はもともとアウトセーフのジャッジであったが、最終的に走塁妨害を適用するか否かにすり変わっている。
・ルール上は「走者をアウトにしようとしている野手」は走塁妨害は適用されないはず。なぜ故意か否かが論点になるのか。
・故意か否かを論点とするなら、故意と判断されれば走者はセーフになったのか。
・何を以て故意とするのか。すべての審判員がこのプレーを「故意ではない」と判断できるのか。できないのであれば故意か否かは判断材料にするべきではないのではないか。
・故意でなくベースを完全に隠しても良いのなら、ファーストランナーがセーフとなる手段は無いのではないか。
本塁上のクロスプレーに採用される「コリジョンルール」がある。以前は本塁生還を狙うランナーに対し、捕手は完全にホームベースを覆う「ブロック」が黙認されていた。しかし本塁上に鎮座する捕手を「除去」するために、走者は格闘技ばりのタックルを行うこともあった。このようなプレーによる衝突行為を避ける目的で生まれたのが「コリジョンルール」である。
冒頭に掲載した動画内で解説者はこう言っている。
「これがアウトになっちゃうと、体を張ってブロックすればアウトをとれるということになる。」
全面的に同意である。本塁以外の塁上で行われるプレーにも、部分的でも良いのでコリジョンルール的な規定を採用するべきなのではないだろうか。
このままでは体を張らない野手はアウトをとる意思が無いと評価される可能性もある。ルールの改正までは難しくても、なんらかのアグリーメントを作成することは必要ではないだろうか。
誰が見ても明確である判定が下されるとともに、選手の無用な故障を避けるためにも、必要な措置を講じて頂きたいものである。
2023/9/4追記 ルール変更され、9/5から適用となるようです。