見出し画像

タタキ屋に学ぶ、日本社会の闇〜漫画「ギャングース」!!

どうも、とらぎつねです。
今回は最近読んでいる漫画のお話。
タイトルは「ギャングース」、未見ですが実写映画化もされているようです。

<あらすじ>

日夜巧妙化していくオレオレ詐欺(特殊詐欺)。
老人から現金を騙し取る犯罪者・・・をターゲットにした強盗団がこの漫画の主人公たち。
詐欺集団から金品を盗み出す行為を「タタキ」というらしいですが、叩かれた側も犯罪者なので警察に被害届を出すことも少ないようです。
かつて入院していた少年院で出会った、恵まれない家庭環境にいた少年たち3人は出所後、タタキ屋となって裏稼業の世界に入っていく・・・。

<作品の特徴>

通常は知られることのない、犯罪者たちの生活や葛藤。
この作品はそれぞれのキャラクターの背景にも触れつつ、作者の取材体験なども注意書きという形でよく入っています。
これが本当にリアルで、裏世界を垣間見るいい教科書になっているように感じます。
と思ったらそれもそのはず、そもそも作者の方はルポライターとして犯罪関係の取材をし、本も出版している方だったのです。

敵(犯罪者)を知ることで、我々は防犯のためにはどうしたらいいのか?という知識も得られます。
同時に、社会にはびこる「貧困」と「無関心」がどれだけ根の深い問題なのかを考えさせられます。

<この漫画からの知識>

まだ読破はしてませんが、もう中盤の終わりくらいには来ています。
ここまででも十分、色々学べましたね。
・特殊詐欺集団の構成は、逮捕に備えて厳重に秘密主義を貫き通している。これがために、現金を受け取る役の若者が逮捕されたところでそれ以上の人員は逮捕されない。
・末端の受け子役は、詐欺集団の仕切り役である「番頭」が1人で儲けていると思っていることも多いらしいが、実際はその上に決して顔を見せない「金主」がいる。
・金主は特殊詐欺集団を「投資対象」として見ており、事務所の賃貸やトバシの携帯電話等の準備にお金を出し、老人から現金を騙し取ってはすぐに撤退している。これを1件の投資案件として捉えているため、決まった人物がずっと犯罪を続けているわけでもないらしい。
・その投資案件が出資に値するかどうかを判断するのに重要なのが「名簿の質」。例えば「1地域の70歳以上の世帯の電話番号」という名簿よりも「資産1億円以上保有しており子供や親族とも1年以上連絡していない間柄で認知症の疑いがある70歳以上の世帯の電話番号」という名簿の方が、質が高いということに。名簿の質と詐欺グループの演技力の高さによって金主は投資するかを判断する。
・名簿は保険会社、調査会社、銀行等あらゆるところから流出する。これはその企業が裏家業人と繋がっているのではなく、その企業の1社員がお金目的で名簿を売ることで流出する。そのためいくら企業側が対策しても、お金に目が眩む社員が1人でもいれば流出を防ぐことは不可能。
・ただし金主は詐欺で儲けた現金を派手に使っているとすぐに足がつくため、「お金はあるが使えない状態」になるらしい。このお金をロンダリングするのにまた費用がかかるし、それ目的で普通の会社を設立して普通に商売もして少しずつ帳簿を誤魔化すといった、地味な管理もコツコツしなければならない。
・末端の構成員も1件の事務所での詐欺が終わったら即解散、同じ集団に属していた詐欺仲間とも連絡禁止となっているため、全体図は全く見えずに与えられた役だけを分業制のようにこなしている。
・構成員たちは決して番頭を目指しているわけではなく、貧困から抜け出すために一発で大きく稼いで、それ以降は2度と犯罪に関わらなくても生きていけるようになりたい、という思いだったり、自分と同じく恵まれない環境(虐待など)にいる子どもたちが「生きていていい場所」を作りたいがために稼いでいる、という思いだったり、貧困による犠牲者が老人に逆襲しているような面が見えることもある。

<2023年、今こそ読むべき漫画なのでは>

ギャングースは今こそ読むべきではないかと思います。
連載は2017年で終了していますが、その後もこの漫画に関係しそうな事件は多数起こっています。
記憶に新しいのはフィリピンにいた金主たち?が逮捕された「ルフィ事件」(この呼び名、やめてほしいんですが・・・。ルフィがやりそうなことでもなければあんな髭面全然ルフィじゃない。だからと言って黒ひげのティーチほどの悪のカリスマ性もなさそうだし。まあ逮捕されてる時点で奴らも業界の中での「末端」だったのでしょう。)や銀座で宝石強盗をした高校生たち、いわゆる「闇バイト」関連の事件でしょうか。
彼らは総じて「若い」です。
なぜ、若者がこんな犯罪に手を染めてしまうのか?
全員ではないにしろ、被虐待児だった背景を持つ者もギャングースから読み取れる事実としては、ありそうです。
ではなぜ親は子を虐待してしまうのか?
その原因に「貧困」がある可能性は十分あり得ます。
そして他人の貧困に無関心な人が大勢いる、というのも、問題をさらに深くしている原因かもしれません。
政治家は票を持たない子どもや投票に行かない若い親たちを無視し続け、お金と票を持っている老人たちにばかり媚びていきました。
これは政治家たち個人が悪いというよりは、今の仕組み上こうしないと政治家であり続ける(得票し続ける)ことができないが故のことなのかなと思います。
そうなると、若者たちによる老人からの金銭搾取は、社会的な逆襲のようにすら思えてきました。
<もちろん、どういう理由があろうと特殊詐欺を働いていい理由にはなりませんし、虐待の背景があろうと犯罪者にならずに真っ当に生きている人だっているはずです。犯罪者のままでは、決して生きていけません。卑劣な詐欺は絶対にダメです。>

以上、今回はこの辺で。
いやぁ、本当に最近は漫画で学べることが多いですね。
入念な取材に基づいた上で描かれるリアリティには、ぐぅの音も出ません。
素晴らしいの一言ですね。
ここでも、お金の勉強の大切さが伺えます。
大切な人のため、家族のため、自分のため。
お金の勉強をして人生に向き合いましょう。
自分はこれを読んで、いつかこういう恵まれない子達の前でお金の勉強をする大切さをセミナー等で伝える仕事なんてしてみたいな・・・と思いました。
知識は武器で防具です。
講演料低くてもいいから、どうにかやれないかなぁ。

ということで今回はこの辺で!
ギャングース、ラストはどうなるんだろう!?楽しみ!!

いいなと思ったら応援しよう!