タイのインター幼稚園に3年間通わせて思うこと
子供をタイのインターナショナル幼稚園に3年通わせた。入園前と実際通わせてみて感じたことにギャップがあったのでそのギャップを書いていきたい。
インター幼稚園を選んだ理由
タイのバンコクには多くの日系幼稚園がある。日本人の先生が日本語で教えてくれ、そこに通う園児もほぼ日本人のみのもはや日本と変わらない環境の幼稚園である。それ以外にも日系幼稚園の中には英語と日本語のバイリンガル教育を行っている園や日系のインターナショナルスクールもある。
そんなたくさんの日本と変わらない環境を選べる選択肢がある中、我が家は日系ではないインターナショナルスクールを選んだ。
それには3つの理由があるが、1番の理由は「タイにいるのに日本と同じ環境で過ごすのはもったいない」という気持ちからである。せっかく海外にいるのだから海外らしさを楽しんでほしい、と考えたのである。
2つ目の理由は、単純に、見学に行ったインター幼稚園のカリキュラムに惹かれたからである。そこはのびのび系の幼稚園で、自分の子供の性格に合っていると感じた。
3つ目はもちろん英語を身に付けてほしい、特に幼児期の耳がいいときに英語に触れてほしい、という思いからインターの幼稚園を選んだ。
感じたギャップ①英語力
英語力が全然身に付かない
これは一番のギャップである。
子供は言語をぐんぐん吸収していくと思っていたため、遅くとも1年通えばそれなりに話せるようになると思っていた。が、1年経ち、1年半が経過した時点でも英語の場合はまだ単語か3語文しか話せず。
もちろんこれは人によるが、同じ園に通っていた日本人の子たちも、割としゃべれる子は、親もぺらぺらで家庭で日常的に英語を使っている家庭の子だった。
英語力がなかなか身に付かない原因分析
これは私の個人的な分析であるが、おそらく通っていた園がのびのび系だったことが原因なのではないかと思う。
のびのび系のためフリープレイの時間が多い。フリープレイなので各々好きなことを園庭でしている。そうなるとそもそも会話の機会自体が限られてくる。
ネイティブの先生の数も、1クラス約15人ほどの生徒に対し1人(アシスタントのタイ人は何人かいるが)。なので園にいる間、先生と頻繁に会話できている、先生が話している内容が常に耳に入るとは言い難い環境だったのではないか。
また友達もネイティブではない子も多く、フリープレイの時に話す会話もお互いに適当な単語や簡単な文くらいのため、吸収できる場面が少なかったように思う。
感じたギャップ②教育内容
教育内容が日本の幼稚園と比べると進度が遅い傾向
これはもちろん学校にもよるが、教育の内容自体は日本の幼稚園と比べると進度が遅いな、と感じることが多かった。
例を挙げると、持ち帰ってくる工作のレベルが3年間を通してあまり変わらなかった。ナーサリーの頃から通っていたが、当時はどんなものでも持って帰ってきたら感動していたが、学年があがっても似たようなものを持って帰って来るとなると話は別である。
算数などの授業内容も、数字を扱ったり足したり引いたりなどはあまりせず、形(丸とか四角とか)を使って遊んだりを長いことしていたようだ。
力を入れない発表会
年に1回、発表会が開催されたが、そこで行う内容もみんなで歌を1曲歌う、など簡単なものであった。もちろんそこまで練習に時間を割くつもりはない、力の入れ具合が違うだけではあるだろうが、日本の幼稚園ではかなりクオリティの高い発表をするので少し戸惑ってしまった。
自分の子供時代を思い出してみても、幼稚園で作ったものはそこそこ形になっていた。子供部屋にずっと飾りっぱなしになっていたものもあるくらいそこそこ完成度は高かったように思う。少なくともそれが何を書いた絵で、年度で何を作ったのか、は十分わかるものだった。
発表会も特に年長の時は割と時間をかけて練習したしっかりとした劇をやった記憶がある。
日本の常識と比べるのがいいこととも思えないが、教育内容に少し焦りを覚える内容であった。
感じたギャップ③食育
食育という概念が乏しい
日本では食育という言葉が存在するように、食べることも教育の一環で取り組んでいる。みんなが席につくまで待ち、そろっていだだきますで始まる。40分ほど時間をかけてゆっくり楽しく、時には食事のマナーを学びながらランチタイムを過ごす。時には自分たちで育てた芋の収穫などを通して自分が食べるものがどこからくるのかも学ぶ。
一方で多くのインターではランチに20分ほどの時間しか設けていない。また各々準備が出てきた人から食べ始め、食べ終わった人から各自遊び始める。
食に対するそもそもの文化が異なるのである。なので食に関して学ぶ機会は少ないと感じた。
バースデー文化
また、子供の誕生日を親が学校で祝う文化があり、誕生日のたびにしょっちゅうケーキがふるまわれる。15人のクラスだと多いと年間15回、インターは1年の1/4が休みなのでそれを考慮するとかなり頻繁に、それも日本人の口からするとかなり甘いケーキを食べていることになる。
幼稚園で提供されるおやつは健康的なものが多いが、バースデーの分だけでも糖分の摂取過剰になりがちである。
感じたギャップ④日本人の文化
突然急増する日本人の数
子供が通っていた園は初めは日本人はそんなに多くなかったが、ある時突然急増した。その原因は学校(幼稚園)紹介エージェントとインフルエンサーさんが紹介したからのようだ。
これはタイ在住日本人あるあるであるが、情報源がSNSやインターネット上のみになりがちであると感じる。それは異国に住んでいる以上親戚やこれまでの交友関係に頼れないのでしょうがないことかとは思う。ただ一方でその情報に振り回されやすい傾向があるようにも思う。
子供が通っていた園もSNS上で紹介されるやいなや日本人の申し込みが殺到し、園側も一時日本人の受け入れを停止するほどにまでなった。入園前はまさか突然このように日本人が急増する状況になるとは考えてもいなかった。
インターでも変わらない日本人の習性
一般的に日本人は固まるのが好きな性格だと思う。
学年を越え学校全体の日本人ママのみのライングループも存在し、イベントや集まりがあったりなどある意味すごく日本的であった。
インターでは基本イベントの参加などは任意であるが、そのグループライン上で「みんなで一緒に参加しよう」と確認しあったり(かつ全員駐在妻で時間に余裕があるという前提)と、そのあたりが日本的でありインターだろうと海外だろうと日本人が集まるとその辺は変わらないんだな、というのを実感した。
一方でギャップはなかったところ
一方で入園前と変わらずギャップがなかったのは、のびのび系のカリキュラムが子供に合っていたことである。そのおかげか仲のいい友達もでき毎日楽しく幼稚園に通っていた。なのでこれ以上幸せなことはないのでこの園に入れたことは全く後悔していないし、むしろ感謝しかない。下の子も同じ幼稚園に通わせたいと思っているくらいである。
ただインターに入れてみて初めて分かったこと、知ったことも多く、インターの幼稚園に入れたことで小学校以上でインターに通わせるかどうかのいい判断材料になった。インターの方が教育内容がよさそう、という漠然としたイメージを払拭しより具体的に検討できるいい機会となった。
まとめ
タイに住んでいてインターにいれるか日系に入れるか悩んでいる方も多いかもしれない。教育的な観点からいうと、個人的には多くの内容において日系の幼稚園の方が教育レベルが高いように感じる。
また、日本語と英語を比べると、日本語の方が習得が難しい言語である。タイに住んでいる以上、親以外と日本語で触れ合う機会はすくないため、英語はおうち英語にして、日本語の幼稚園に入れいろんな方の日本語に触れさせるのも大事だと思う。
また行事(運動会や発表会、季節ごとのイベントなど)も日系幼稚園の方が充実しており、そのあたりもインターにはない大きな魅力である。
どちらを選ぶからはその人次第ではあるが、まずはインター=教育的によさそうという漠然とした期待で選ぶのは待った方がいいかもしれない。