教員から民間企業への転職が難しい理由
教員から民間企業への転職は想像以上に大変なものでした。ここでは、教員から民間企業への転職が難しい理由について書きたいと思います。
スキル・経験不足
民間企業への転職活動(いわゆる中途採用)において最も重視されることは、その人が即戦力として活躍できるかどうか、つまりもっているスキルや経験が十分備わっているかどうか、という点です。企業が新卒ではなく中途採用するのは、欠員や事業強化のためにすぐに活躍してくれる人材が欲しいからです。
私の場合、化学系の研究開発職を希望していたのですが、ほぼ全ての企業において、書類選考(履歴書・職務経歴書)で採用を見送られました。理由は、業務・スキルの経験が満たされていないということでした。(応募した企業は実に25社ほどになります。それでも25社で収まったのは幸運だと思っています。)
教育関係の企業(塾、教材など)であれば、教員の経験はとても強みになるため、転職活動においてプラスに働きます。ただし、教育関係ではない業界や職種を希望する場合には、教員での経験は残念ながら「ブランク」とみなされてしまいます。(私の場合、社会人経験15年のうち、実務経験は4年間、教員の11年がブランク扱い)
別の業種・職種を希望する場合には、
未経験OK、ポテンシャル採用への応募
独立する、起業する
という選択肢になってきます。中には中途採用でも未経験OKやポテンシャル採用(本人の意欲を重視)の企業もあります。ここを狙って応募することになります。採用されれば、そこでスキルや経験を身につけていきステップアップしてくことになります。私も転職エージェントと話をする中で、大学院までのスキルと経験を最大限評価していただけて、入社後からスキルアップを図れる企業が良いだろうということで、最終的には年収は下がるものの技術系のアウトソーシングの企業から内定をいただくことができました。
未経験OKやポテンシャル採用は若い方ほど有利となります。
他業界・職種への転職を考えている方は早めに行動されることをお勧めします。40代目前の私は大変苦労しました。が、40代手前で決められてよかったです。
もう一つは独立や起業という選択肢です。私の中ではその選択はなかったのですが、企業への転職はハードルが高いことから、独立や起業を選択される方もいらっしゃるようです。
タイミングが限られる
教員からの転職が難しい別の理由は、転職時期が限定されてしまう点です。教員の1年は4月にスタートし、3月に終わります。クラスや授業等の関係で、年度途中で転職することは基本できない状況かと思います。
一方で民間企業の中途採用は4月とは限りません。欠員補充や事業強化による増員のタイミングもいろいろです。企業が、人材が欲しいタイミングと応募がマッチしないと転職できませんので、そこが大変ハードルの高いところになります。
教員をやめる場合、私の県では11月頃、おそくとも年内にはそのことを管理職に報告しなければなりません。年明けから県の教員配置が始まってしまいます。
年内に、翌年4月勤務開始可能な転職先に応募し、内定をいただくことは非常に困難でした。民間企業から民間企業への転職のように、1年を通して活動を行い、タイミングを見て転職することができないからです。実際、私は転職活動を始めてから、転職するまでに7年かかりました。年に1度しかないチャンスなのです。
アドバイスとしては、少しでも転職を考えているなら早めに管理職に相談し、転職活動の状況をこまめに報告することです。私は今回管理職に無茶を言って、1月まで待ってもらいました。また、応募先の企業にも学校側の事情を説明し、理解を得てもらうことも重要です。
以上、教員から民間企業への転職は非常に難しいのですが、チャンスがないわけではありません。ご質問、コメントあれば遠慮なくお願いします。