MOSAIC.WAV楽曲とリコーダー多重録音

お誘いいただき、MOSAIC.WAV Advent Calendar 2021にて初参加となります、とらにゃもと申します。
最近はアニメ評論系同人や情報系同人を細々とやりつつ、たまにリコーダーを用いたアニソンアレンジなどやっております。

今回はもう10年も前、M3-2010春にて頒布した「もざいくりこーだーvol.1」という同人CDの話をさせて頂きます。
こちら、MOSAIC.WAV楽曲から7曲を選び、リコーダーを中心とした多重録音でアレンジさせて頂いたものです。
試聴動画がありますので、よろしければご覧ください(0:20から使用しているリコーダーの紹介をしてます)。

ここからは、MOSAIC.WAV楽曲はリコーダー多重録音と親和性が高いのではないか?というお話をさせていただきます。
なおたまたまですが、一昨日のアドベントカレンダーにおいて、いずみー氏による「MOSAIC.WAV楽曲で合唱?」という記事がありますのでぜひご参照を(私も興味深く読ませて頂きました)。

■インストアレンジに合う!

楽曲を構成する要素として、作詞・作曲・歌唱・制作などあります。
このうち、作詞面でもMOSAIC.WAV楽曲は非常に興味深いものがあります。
個人的には例えば「片道きゃっちぼーる」2番サビから間奏にかけての歌詞が大好きなのですが、語り出すと終わらないので別稿に譲ります。

では作曲面で良い楽曲かどうか、私的な見解ですと「インストアレンジした時に映えるかどうか」と思っています。
どうしてもインストアレンジをすると、歌詞の情報が抜けてしまうため印象が弱くなりがちです。例えば吹奏楽をやっていた方は、ポップスのアレンジを演奏している時、何となくの物足りなさを感じた事はないでしょうか(編曲次第で良くなるのですが)。

一方でMOSAIC.WAV楽曲は、ベースとなるメロディラインや全体構成が素敵なだけでなく、バッキングやシャウト等で様々なギミックが凝らされているため、インストだけで聴いても非常に楽しいものになるという訳です。
例えば、オータムリーフ管弦楽団さんは何度もMOSAIC.WAV楽曲を取り上げられていますね(私も「ガチャガチャへるつ・ふぃぎゅ@ラジオ」など生で拝聴しました)。

■リコーダーアレンジに合う!

さて、そこでリコーダーがどのような効果をもたらすかという点です。
リコーダーアレンジというと、例えば栗コーダーカルテットのいくつかの曲をイメージされる方もいると思いますが、どちらかというと「ノスタルジー」「ほのぼの」という印象があります。現代日本では教育楽器ですのでそれは当然ではあります。
一方でリコーダーは、バロック時代から続く楽器でもあり、そうした視点からはよりアグレッシブなアプローチもあるのです。
ここからは、冒頭の動画にて演奏している「Love Cheat!」をお聴きいただきながらだと分かりやすいかもしれません。

リコーダーはアタックが強い楽器です。そのため、ピコピコとした電子音が用いられることがあるMOSAIC.WAV楽曲を表現するには好都合です。細かいパッセージの演奏も小回りが効き、メロディに賑やかなバッキングを添えることができます。
またシャウトが頻繁に出てくる楽曲もあり、なかなか通常の楽器での再現は難しいところ、笛の仲間であるスライドホイッスルを用いれば、うまく処理ができます。

アタックが強いリコーダーは、その裏返しとして音量の調節がしにくいという弱点があります。つまり、フォルテに対するピアノ、弱奏が弱点なのです。
それを解消するために、例えば5〜6重奏の賑やかなイントロから一転して、Aメロではメロと伴奏の2本だけにぐっと本数を絞ることでアンサンブル全体としては音量を下げ、そこからサビに向けてまた本数を足していくことでクレッシェンドしているように聴かせるというのが、私がよくやる編曲テクニックです。
それにもMOSAIC.WAV楽曲はとても向いていて、特にメロディについてはBメロあたりからハモりが入ってきてサビに向けて盛り上がって行く曲が多いので、リコーダー2本でのハモりによりAメロに比べ賑やかになっていく感じが演出できるのです。

■まとめ

言葉で表現された歌詞を言葉で論じることはできても、楽曲について言葉で論じるのは、個人的になかなか難しいものがあります。
例えば「『Love Cheat!』冒頭の若干ノイジーな中低音メロと、2・4・6小節目それぞれ後半に入ってくる機械的な高音との対比が好きで……」とか言ってもなかなか分かりづらいです。
なので、言葉で論じるより演奏して「好き」を表現したい!となったのでした。

ということでこの同人CD、演奏自体は雑な部分もありつつも、MOSAIC.WAV楽曲が持つ勢い・楽しさというものを少しでも表現したいと制作したものでした。
また次の機会があれば、個々の楽曲も公開しつつ具体的に紹介していければと思います。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?